http://www.asyura2.com/14/genpatu36/msg/440.html
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原子炉は、中性子を吸収する制御材でできている制御棒を抜き差しすることにより出力を制御する。
原子炉の起動時には、制御棒を徐々に引き抜き中性子数を増加させ、臨界から定格出力になるまで
反応を上げる。逆に停止時は制御棒を挿入し未臨界状態に戻す。
制御棒は車のアクセル・ブレーキに相当する極めて重要な装置である。
日本で主流の原子炉は加圧水型と沸騰水型だが、両者では制御棒装置の位置に違いがある。
「図解・社会 加圧水型原子炉と沸騰水型原子炉」 (時事ドットコム 2013/2/10)
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_soc_energy-genpatsu20130210j-01-w380
関西で使われている加圧水型原子炉は、制御棒を上から挿入する。
もし駆動装置が故障しても、重力により制御棒が落ちて中性子を遮蔽し臨界が止まる、
いわゆるフェイル・セーフ設計である。
フェイル・セーフとは、故障・不具合を想定しそれが起きた際、常に安全な状態になるような
設計手法である。たとえば、車両通過を検出して赤ランプを点灯する鉄道の信号機は、
もし車両検出器に異常があれば、赤ランプが点灯し続けるように設計されている。
異常が起きたらとにかく列車を停止させ事故を防ぐわけだ。
一方、東電などが導入している沸騰水型原子炉は、制御棒を圧力容器の下から挿入する
構造になっている。なぜならば、上昇する蒸気を発電タービンへ送るため、圧力容器上部に
気水分分離器などの装置が必要で、制御棒を上から挿入する構造にはできないからである。
つまり原子炉を通常ないし緊急停止する場合は、重力に逆らって下から制御棒を
挿入しなければならない。稼動中は原子炉内の圧力が高く、さらに挿入しにくい。
また停止中に何かの故障で挿入した制御棒が抜け落ちたら、意図せずに臨界が始まってしまう。
沸騰水型原子炉の制御棒はフェイル・セーフに反する極めて危険な設計であり、致命的欠陥である。
事実、あちこちの沸騰水型原子炉で深刻な制御棒脱落事故が起きている。
重力に反する無理な設計であるから、トラブルが続出するのは当然である。
しかし電力会社と原発メーカーは長年、制御棒の事故を隠蔽してきた。
2007年にそれがバレて大問題になった。
「電力会社は2005年までに制御棒が脱落、御挿入事故が15件(2件は臨界)」 (阿修羅 2013/4/28)
http://www.asyura2.com/13/genpatu31/msg/417.html
「原発事故 浜岡・女川でも制御棒脱落 沸騰水型、臨界には至らず」 (朝日新聞 2007/3/19)
http://nuke-weapon-timeline.news.coocan.jp/news/rinkai-ziko-kakusi02.html
「沸騰水型原発に制御棒引き抜け事故が多発していた」 (市民エネルギー研究所 2007/6-7)
http://www.priee.org/modules/pico2/index.php?content_id=8
http://www.priee.org/modules/pico2/index.php?content_id=10
制御棒脱落事故の多くは定期検査中に起きている。(稼動中は挿入されていないので起きない)
福島第一3号機は、1978年、定検中の制御棒隔離弁の閉操作中に制御棒5本が脱落し、
臨界状態が何と7時間半も続いたという。よく大事故にならなかったものである。
さて福島原発事故では制御棒は正常に動作したのだろうか?
東電の発表によれば、1、2、3号機とも地震の揺れを感知し、制御棒が自動的に挿入され、
原子炉は正常に緊急停止(スクラム)したことになっている。
嘘つき常習犯の東電であるから、発表内容はすべて疑ってかからなければならないが、
燃料溶融により制御棒も駆動装置も原形をとどめておらず検証は不可能だろう。
福島第一原発1号機 正常制御棒は1本だけ (ANN) (阿修羅 2011/9/20)
http://www.asyura2.com/11/genpatu16/msg/651.html
この情報は制御棒が正しく挿入されなかったことを示唆するものだが、
これだけでは判断不可能だ。燃料溶融が証拠隠滅をしたようなものである。
前置きが長くなったが、ここからが本題の4号機である。
東電はひた隠しにしているが、いくつかの証拠から、定検中の4号機原子炉内に
燃料が装荷されているのは確実である。(関連投稿参照)
おそらく税金のかからない定検中に試運転をしてお金を浮かせようとしたのだろう。
もちろん勝手に臨界が起きないよう、制御棒はしっかり挿入されていたはずだ。
ところが何らかの原因で制御棒のいくつかが脱落し、臨界に達してしまったのではないか。
4号機が爆発したのは大地震の4日後、地震の影響があったのかどうかはわからない。
4号機中階で別の爆発があったらしく、それで制御棒駆動装置が壊れたのかも知れない。
いずれにしろ頻繁に脱落事故を起こしている代物である。脱落した可能性は極めて高い。
そして意図しない核分裂が始まり、炉内の水温は急上昇、爆発的に沸騰した。
格納容器、圧力容器とも上蓋は外されており、急騰した水が何度も屋根を突き破ったのだろう。
だが必死で注水したおかげで、水位が下がり燃料が露出・溶融することはなかったと思われる。
その証拠に、4号機では半減期の短いヨウ素131等以外の汚染はほとんど生じていない。
制御棒が容易に脱落し臨界に達して爆発した、という事実が国民に知られたら大変である。
元々無理のある欠陥設計であり、改良は不可能だ。
沸騰水型原発は死亡宣告を受けたのに等しい。
他の沸騰水型原発を再稼動するのは絶対不可能になる。海外にすら影響が及ぶ。
加圧水型の制御棒も見直しが必要になる。
だから何としても事実を隠蔽しなければならない。(IAEAも東電にそう厳命したのだろう)
そのためには、炉内に燃料があったこと自体を隠さなければならない。
これが、4号機爆発について動画を含め東電が一切事実を公表しない理由ではないか。
4号機爆発原因については他にもいろいろな説があるが、定検時に制御棒脱落事故が
頻繁に起きていることからして、これが最も起こり得る爆発原因だと思う。
言うまでもなく、制御棒が脱落し勝手に臨界、核暴走が起きてしまう原発は欠陥商品である。
ブレーキが効かない車と同じだ。危険極まりない。
絶対に他の原発を再稼動してはならないし、まして海外に売ろうなど言語道断である。
東電は潔く全原発の再稼動をあきらめ、4号機の爆発原因を正直に国民に発表すべきだ。
ブレーキの効かない原発をごまかして再稼動すれば、さらに悲惨な大事故・大爆発が起きるだろう。
(追記1)
制御棒挿入に失敗した場合に動作させるホウ酸水注入系が備わっているはずだが、
おそらく地震でダメージを受けて動作しなかったのだろう。
(追記2)
下から制御棒を挿入する方式には、もう一つ重大な欠点がある。
圧力容器底は制御棒が何本も貫通していて穴だらけであり、燃料が溶融したら
簡単にメルト・スルーしてしまうことである。(事実、1-3号機で起きてしまった)
圧力容器底には何の穴も開いていないほうが望ましいのは明らかだ。
(追記3)
制御棒装置がフェイル・セーフだからと言って、加圧水型原子炉のほうが安全だとは言えない。
沸騰水よりはましだが、損傷・変形などで制御棒が挿入できない可能性はある。
加圧水型の格納容器は大きく脆弱で、沸騰水型よりもはるかに危険だと指摘されている。
(関連投稿参照)
また蒸気発生器に問題が多く、頻繁に故障が起きている。
米国サンオノフレ原発では取替えた蒸気発生器に深刻な問題が起き、三菱重工が訴えられた。
ちなみに1979年に重大事故を起こしたスリーマイル島原発は加圧水型である。
(関連投稿)
「東電よ、観念して4号機爆発の原因を公表しなさい」 (拙稿 2013/7/2)
http://www.asyura2.com/13/genpatu32/msg/365.html
「加圧水型原発が安全だというのは大ウソだ - この爆発実験ビデオを見よ」 (拙稿 2012/6/25)
http://www.asyura2.com/12/genpatu25/msg/143.html
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