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浜岡・審査申請 地震の巣の上なのに
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014021502000145.html
2014年2月15日 東京新聞
中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)は“地震の巣”の上に立つ。日本経済の大動脈近くでもある。4号機の審査が申請された。だが最も再稼働が難しい原発であることに、今も変わりはない。
南海トラフ巨大地震を念頭に、地震の揺れの強さの想定を引き上げた。高さ二十一メートルの津波に備えて、長さ一・六キロの壁を造った。高台に発電機を設置した−。
だが私たちは東日本大震災から学んだはずだ。自然災害の大きさは、科学の予想をはるかに上回ることがある。
中部電力は「あくまでも対策が新規制基準に適合するかどうかの審査申請。再稼働とは無関係だ」と繰り返す。
その通り。いくら机上の模擬試験で満点を取ったところで、国民の不安はぬぐえない。再稼働には、国民の理解が不可欠だ。
原発は特別な施設である。万が一にも事故が起これば、広範な地域に回復不能な被害が及び、多くの人命を脅かす。回復不能の損失すらありうる。そのことも福島原発事故に思い知らされた。
中でも浜岡は特別な原発だ。東海地震の想定震源域の真っただ中、つまり、地震の巣の上に立っている。東京、名古屋、大阪を結ぶ大動脈の近くでもある。福島よりも、首都に近い。“地元”は、静岡県だけではない。その先行きは国民的関心事なのである。だからこそ、民主党政権は特に停止を要請したのではなかったか。
政権は代わっても、浜岡原発の置かれた立場に変わりはない。中電の原発依存率は一割強と、低かった。ならばこの際、針路を変えるべきではないか。大方の消費者は協力を惜しまないだろう。
対策工事の完了は来年九月。申請を急ぐのは、火力発電の燃料費がかさみ、経常収支が三年連続赤字見込みという背景がある。
しかし、静岡県が独自に設置した原子力の経済性を検証する会議では、浜岡再稼働後の安全対策費など営業経費が、火力燃料費の増加分を上回るとの試算も示されている。
3・11後、火力の発電効率は飛躍的に高まった。
米国やカナダからシェールガスの輸入が始まれば、燃料費は必ず下がると予想される。火力の効率化で原発停止の穴を埋めながら、再生可能エネルギーの進化と普及を図ろう。そんな時代の先取りこそが、中電にとどまらず電力会社と地域の持続可能性に通ずる道ではないのだろうか。
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