★阿修羅♪ > 原発・フッ素36 > 389.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
(書評)桜井淳「日本『原子力ムラ』行状記」(論創社2013年) 西岡昌紀
http://www.asyura2.com/14/genpatu36/msg/389.html
投稿者 西岡昌紀 日時 2014 年 2 月 15 日 12:10:37: of0poCGGoydL.
 


(書評)桜井淳「日本『原子力ムラ』行状記」(論創社2013年)
http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%80%8C%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%80%8D%E8%A1%8C%E7%8A%B6%E8%A8%98-%E6%A1%9C%E4%BA%95-%E6%B7%B3/dp/4846012816/ref=cm_cr-mr-title

5つ星のうち 5.0


原子力発電を知る前に、原子力の専門家達を知れ

2014/2/10

By 西岡昌紀

*

−−福島第一原発事故の表面的な原因は地震・津波です。しかし、原子力安全委員会(特に、安全審査に直接かかわる「原子炉審査専門部会」や「核燃料審査専門部会」)が健全に機能していれば、あのような原発災害は確実に、防止できました。
 私のこれまでの研究・業務内容(原研・安解析・原産)からして、日本の安全審査や安全規制のメカニズムを知りえる立場からすれば、原子力安全委員会は、自民党や東京電力などから人事や権限まで握られ、制限された範囲内での「骨抜き・飼い殺し状態」での安全審査を余議なくされていました。原子力安全委員会は、電力会社に負担となる安全審査や安全規制はできませんでした。まるで、雛壇のお雛様のような存在でした。何もしなくても良い飾りにすぎませんでした。そのことが現実的な安全対策を怠る源になっていました。そのようなシステムは自民党と東京電力(もっと大きく言えば電気事業者)の意向をくみ上げた官僚が作り上げました。−−(本書53〜54ページ)


 類書を見ない驚愕の本である。過去20年以上、私は、自分なりに原子力発電に関心を持ち、多くの本を読んで来たが、こんな本を読んだのは、初めてである。本書の著者、桜井淳(さくらいきよし)氏は、1946年生まれ。東京理科大学を卒業し、同大大学院で理学博士を取得した。その後、桜井氏は、日本原子力研究所研究員として、原子炉物理学および核燃料サイクル施設の安全解析に従事。更に、原子力安全解析所副主任、日本原子力産業会議非常勤嘱託などの要職を歴任して来た。こうした経歴から分かる様に、桜井氏は、原子力発電の専門家中の専門家である。そして、本書の題名にも有る「原子力ムラ」の内部を知る人として、例えて言へば、CIA元職員のスノーデン氏がアメリカの情報活動の裏側を知る様に、桜井氏は、原子力ムラの内部を、そして手の内を知り尽くした人である。
 本書は、その桜井氏が、多岐に渡る観点から、原子力ムラの過去を詳細に語った、驚くべき一書である。例えば、こんな一節が有る。


−−これまで九電力は、原研やサイクル機構(元動燃)に多額の献金をしてきました。両組織は、統合され、独立行政法人原子力研究開発機構(原子力機構)となり、九電力から原子力機構へ年間五千万円弱の献金がなされてきました。福島第一原発事故後、個々の電力会社からではなく、電気事業連合会(電事連)が取りまとめて同額の献金を続けてきました。その額は原子力機構の年間予算の五千分の一です。割合からすればわずかです。しかしその政治的意味は明らかです。
 九電力の意図は、研究や技術開発への見返りだけでなく、安全審査や安全規制にも多くの委員を出している原子力機構への暗黙の協力要請でもあります。分かりやすく言えば、九電力に都合のよい安全審査や安全規制の徹底のための「買収金」です。福島第一原発事故後も、それまでのいかがわしい行為が継続していたことに驚きました。
 私は昔、原研幹部から「原研の研究費には、電力からの献金(電源開発促進対策特別会計含む)が含まれており、そのことを十分に認識した言動をしなければいけない」と諭されました。私の研究は、そのような分野でなかったため、聞き流しました。その後の言動は『桜井淳著作集」(論創社)に記したとおりです。福島第一原発事故は。九電力が作りだした政治構造のネガティブな側面が顕在化したものです。−−(本書27ページ)


 この様な、原子力ムラ内部に居た専門家でなければ語り得ない多くの事実を、赤裸々に語ったこの本は、繰り返して言ふが、類書を見ない驚愕の本である。原子力発電に賛成する人も反対する人も、とにかく、日本の原子力発電を担って来た人々が、どの様な人々であったかを知るために、この本を読むべきである。
 かつて、E・H・カーは、「歴史を研究する前に歴史家を研究せよ」と言った。カーのこの言葉をもじって言ふならば、我々は、原子力発電を知る前に、原子力の専門家達を知らなければならない、と言ふのが、この本が教える事なのだろう。特に、脱原発派の人々は、この本を必ず読むべきである。

(西岡昌紀・内科医)
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori/archives/7106454.html


*  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2014年2月15日 15:59:18 : aiMZAOJQqY
今さらそんな原子力ムラ元住民のザンゲ録を読んでもねぇ、、、

こっちのほうが面白い。

「別冊宝島・原発の深い闇 Vol.1-2」 (宝島社)


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素36掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧