★阿修羅♪ > 原発・フッ素36 > 375.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
"アメリカ原子力合衆国"が伝える恐ろしい事実 私設原子力情報室
http://www.asyura2.com/14/genpatu36/msg/375.html
投稿者 初心に帰るお天道様に恥じない生き方 日時 2014 年 2 月 14 日 22:48:49: 4hA5hGpynEyZM
 


2012年のサンダンス映画祭(ロバート・レッドフォードが主催する米国最大のインデペンデント系映画祭)に優れたドキュメンタリー映画が出品されていました。
"The Atomic States of America"(93分)。直訳すれば『アメリカ原子力合衆国』。NHKの『BS世界のドキュメンタリー』で短縮版(49分)が『原子力大国アメリカ』というタイトルで、12月に放送されました。
今のところ『原子力大国アメリカ』は、DailyMotion で視聴可能です(消されてしまうかも知れませんが)。
オリジナルの英語版予告編はこちらです。

"The Atomic States of America"は、原子力施設近くの住民の健康被害、NRC(原子力規制委員会)が抱えるジレンマ、最終処分場の問題など、幅広く原発問題を扱った秀作ドキュメンタリーです。

なかでも、ニューヨーク州ロングアイランドにあるシャーリー(SHIRLEY)という町からの報告は衝撃的でした。
「女性の9人に1人が乳ガンを発症」「400万人に1人と言われる子どもの横紋筋肉腫という珍しいガンが、同じ通りで2人発症。周辺地域全体の患者数は20人」という事実が示されます。

多数のガン患者が出た原因は、シャーリーに隣接するブルックヘブン国立研究所にありました。
まず、シャーリーとブルックヘブン国立研究所の場所を地図上で確認しましょう。
●Googleマップ:ニューヨーク州シャーリー
 ニューヨークの中心部から東へ100キロ弱です。

ブルックヘブン国立研究所は原子物理学の研究所で、原子炉もありました。ここの使用済み核燃料プールから高濃度のトリチウムを含む汚染水が長年に渡って漏出。汚染水は、周辺13万人の住民が飲料水として利用する水源に流れ込みました。トリチウムの濃度は、最高で米国環境保護局の飲料水基準の32倍(11倍説もあり)という高い値。飲料水を介したトリチウムによる低線量内部被ばくが進んだのです。

トリチウムとは放射性の水素のことです。その恐ろしさについては、当ブログの以下の記事をご参照ください。

●トリチウムの恐怖(前編)
●トリチウムの恐怖(後編)

さて、次の静止画は、"The Atomic States of America"の中で、シャーリーの住民が示した横紋筋肉腫患者の分布地図です。


インタビューでは、20人の患者が出たという説明ですが、地図上には、そのうち19人の自宅の場所が示されています(先ほどのGoogleマップと見比ると分かりやすいです)。

細長いロングアイランドの中程にBNL(Brookhaven National Laboratory:ブルックヘブン国立研究所)があります。ロングアイランドの南北の幅は30km弱で、地図上のBNLからCまでの距離が20km強。いかに狭いエリアで、たくさんの患者が出たのかがよく分かります。普通は「400万人に1人」なのに。

ブルックヘブン国立研究所は、当初、汚染水漏れを認めませんでしたが、次第に事実が明らかになります。管轄する米国エネルギー省も黙殺することができなくなり、1997年、研究所を運営する法人に対して契約打ち切りを宣言。理由は「積年に渡るトリチウムの漏出」です。研究所は1999年、原子炉の再稼働を断念しました。

さて、トリチウムと言われて気になるのは、福島第1の増え続ける汚染水です。
仮にALPSなどの浄化装置が100%理想的な稼働をすれば、他の核種はある程度取り除けるのですが、トリチウムだけはどうにもなりません。水素なので、水(水分子)に組み込まれてしまうと、放射性の水と普通の水を分けることができないのです(実験室レベルは別として)。

実は、スリーマイル島事故の時も、最終的にトリチウムを含む汚染水が残ってしまい、大きな問題になりました。
結局、選択されたのは「蒸発させる」という荒っぽい方法。シャーリーの例を考えると、これは危険な賭けだったと思います。今後、スリーマイル島周辺で、トリチウムによる晩発性放射線障害が出ないとは言い切れません。

福島第1では、すでに海と地下水へのトリチウムの漏出が起きています。東電も国も「環境に影響を及ぼすほどではない」と言いますが、それを信じる根拠はどこにもありません。
最終的には、全部、海に流すことを画策しているようですが、そんなことを許したら、福島の海が蘇る術はなくなってしまうでしょう。
一方、スリーマイル島方式の蒸発は、あまりにも汚染水が多いことや日本の湿度が高いことなどから無理なようです。

今は、トリチウム以外の放射性物質も、ほとんど除去できてない状態ですが、トリチウムによる低線量内部被ばくへの警戒を怠るわけにはいきません。
そして、東電、政府、原発推進派の学者だけでなく、反対派まで含めた知恵を絞って、トリチウムをどうするのかを考えていかないと、何十年か先に悲劇が待っている可能性は十分にあるのです。

この記事の終わりに、秀作ドキュメンタリー"The Atomic States of America アメリカ原子力合衆国"の国内での公開を切望します。



"アメリカ原子力合衆国"が伝える恐ろしい事実 私設原子力情報室
http://nucleus.asablo.jp/blog/2014/02/14/7222347
----------



 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2014年2月15日 00:18:37 : 7Onnx32U7Q
トリチウム入り飲料水をさけよ。

ところで 上水道 ってどこまで大丈夫なのかな。


02. 2014年2月15日 14:37:02 : qF4T1YwunA
>ブルックヘブン国立研究所は、当初、汚染水漏れを認めませんでしたが、次第に事実が明らかになります。管轄する米国エネルギー省も黙殺することができなくなり、1997年、研究所を運営する法人に対して契約打ち切りを宣言。理由は「積年に渡るトリチウムの漏出」です。研究所は1999年、原子炉の再稼働を断念しました。

■原子力ムラの隠蔽体質は同じだ。いつも犠牲になるのは一般の市民だ。

話は変わるが、モンサントの遺伝子組み換え食物の実験データでも捏造・隠蔽などがあった。

良心的研究者が安全を確かめる研究をしようとしても、研究用の種子が入手できないように手を打ってあるという。

こうした企業の欲望に基づく不正な行為が一般市民を犠牲にして肥大化して行く。



03. taked4700 2014年2月16日 12:04:14 : 9XFNe/BiX575U : VLSLDqR3uY
トリチウムとカリウム40はともに、人体に取り込まれたとき、どこか特定の部位に偏在することなく、広く均一に分布するという共通点があると思います。またどちらもベータ崩壊するとされています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%87%8D%E6%B0%B4%E7%B4%A0
三重水素は弱いβ線 (18 keV) を放射しながらβ崩壊を起こしヘリウム3 (3He) へと変わる。半減期 は12.32年である。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A040
カリウム40
放射性崩壊では全体の89 %はベータ崩壊(β-崩壊)により40Caとなる。その崩壊エネルギーは1.31107±0.00011 MeVである。半減期は12.48億年。

違いは、半減期で、カリウム40は半減期は12億年。三重水素(トリチウム)は12年ですから、同じベクレル数があるとすると、カリウム40の場合はトリチウムの一億倍の数の原子が存在することになります。

逆に言えば、普通の大人に4000ベクレルとか6000ベクレル程度存在してるとされるカリウム40と同じだけのベクレル数になるためには、カリウム40の一億分の1の原子数のトリチウムでいいということです。

どの程度の海産物などを取るとどの程度のトリチウムを摂取することになるのか、それが明らかにならないと、どの程度の危険性があるのかを判断できないと思います。

また、半減期が12年ということは、半減期が30年のセシウムの約3倍の放射能強さがあるわけで、かつ、セシウムが主にガンマ崩壊であるのに、トリチウムはベータ崩壊ですから、同じぐらいの原子数を摂取したときの危険性はトリチウムの方が強いとは言えそうです。

もう一つ違いがあり、ベータ崩壊の崩壊エネルギーがカリウム40の方がずっと強く、トリチウムの100倍程度のエネルギーがあることになります。

生体内の電離作用は、崩壊エネルギーが異なると異なった電離作用が起こるようです。この意味でも、崩壊エネルギーが弱いからと言って生体に与える影響が少ないとは言いきれないので、注意が必要であることには変わりありません。

ともかく、トリチウムの毒性について、もっときちんとしたデータが開示される必要があると思います。

http://anshin-kagaku.news.coocan.jp/helr7-423.htm

Z‐4 トリチウムの被ぱく線量評価と人体影響
の中の
Z‐4・2・3マウス動物実験で明らかになったこと
が載っていますが、どの程度の取り込みでどの程度の影響が出るかはよく分かりませんでした。

人体影響の方はリンクが飛べなくなっていて、記事が見れないようになっている様子です。



  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 原発・フッ素36掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧