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仮置き場に除染した土砂が積みあがる
被ばく不安の慰謝料払う和解案、東電が応諾 福島県伊達市、飯舘村の住民1200人に損害賠償
http://toyokeizai.net/articles/-/30501
2014年02月11日 岡田 広行 :東洋経済 記者
福島県伊達市霊山町小国(りょうぜんまち・おぐに)地区などの住民約1000人と飯舘村長泥(ながどろ)地区の住民約180人が申し立てていた裁判外紛争解決手続き(原発事故ADR)で、東京電力 <9501> は同ADRを運営する原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介案を2月7日付けで受け入れた。 東電は国による財政支援を踏まえて昨年12月27日にまとめた「新・総合特別事業計画」(新再建計画)で、センターから提示された和解仲介案を「尊重する」と明記。廣瀬直己社長は「賠償額の増加にとらわれず、最後の一人が新しい生活を迎えることができるまで、賠償を貫徹する」と、政府の新再建計画認可を受けての今年1月15日の記者会見で断言していた。
そうした中で、「和解案に示された考え方自体は受け入れることのできないものを多数含んでいる」と述べながらも、国による多額の財政支援で延命を許された東電は、和解案受け入れによる賠償金の支払いに応じざるをえなくなった。
■ 他地域でもADR申し立て準備
両地区での申し立てにたずさわった「原発事故被災者支援弁護団」事務局長の吉野高弁護士は2月7日の記者会見で、「両申し立てについての和解案は、国の紛争審査会が定めた賠償に関する中間指針に明確に書かれていない損害について認められたという点で画期的だ」と説明した。
新再建計画には「中間指針の趣旨を踏まえ、合理的かつ柔軟な対応と被害者の心情にも配慮した誠実な対応を求めている」と明記されていることもあり、「中間指針に書かれていないことについては支払い義務なし」という態度を東電が取り続けることが困難になっていたという事情もあった。
放射線量の高い地域に住んでいたにもかかわらず、慰謝料の支払い対象である「特定避難勧奨地点」の指定から外れた伊達市小国地区などの住民には、精神的苦痛および実生活上の制限に対する慰謝料が初めて支払われることになった。その額は1人につき1カ月7万円で、指定が解除された13年3月末までの22カ月間にわたる。
一方、避難指示区域(計画的避難区域)に指定されていた飯舘村長泥地区の住民には、高線量でありながらも避難が遅れたことによる被ばく不安に対する慰謝料として、1人につき50万円(妊婦および子どもは1人につき100万円)を新たに追加して支払うことが決まった。
このうち伊達市小国地区などの住民を対象とした和解内容は、対象人数が1000人にのぼることや総額15億円という総額の大きさでも特筆される。そして同じく高線量の放射線にさらされながら、避難指示がなかったほかの地域の住民に救済の道を開くことにもつながる。弁護団長の丸山輝久弁護士によれば、「ほかにもいくつかの地区でまとまった人数の住民によるADR申し立ての準備が進められている」という。
ADR申し立てが地域ぐるみで進められたことは、センターの仲介委員に住民の窮状を伝えることにも力を発揮した。
伊達市での地域ぐるみの申し立てを縁の下で支えたのが、地元出身の菅野喜明・伊達市議会議員(37)だった。
「同じ集落内で同じく高い放射線量にさらされているにもかかわらず、基準である年間20ミリシーベルトの推定被ばく線量(3.2マイクロシーベルト/時以上)をわずかに下回ることを理由に救済対象から外されたのはあまりにも理不尽だ。何とか解決の道筋を考えてほしい」
こうした住民からの要請を踏まえた菅野氏の働きかけによって、小国地区では行政区レベルでADRを申し立てる機運が持ち上がった。そして、原発事故被害者救済に力を注いできた丸山弁護士らによる現地視察を踏まえて、原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てが実現した。原発事故発生から2年近くが過ぎた2013年2月5日のことだ。
■ 疲弊著しい農家、小学校は入学ゼロ
ただ、東電が中間指針に明示されていない賠償を支払うことを強く拒否したことからADR手続きは難航。1年かけてようやく和解による決着にこぎ着けた。
菅野市議によれば、「今回の和解成立は、特定避難勧奨地点に指定されて賠償を得た世帯と指定されなかった世帯との格差を是正するうえでの第一歩になる。ただし、地域では放射性物質の除染の徹底や安全に子どもが生活できる環境作りなど、課題は山積している」。
小国地区では、作付制限や賠償縮小などで農家の困窮が著しい。営農意欲を失った農家の廃業も目立つ。放射線被ばくへの不安から、13年4月に小学校の入学児童が一人もいなかった。また、特定避難勧奨地点が指定された11年6月以降、指定されて賠償を得られた住民と指定されなかった住民との間に生まれた軋轢により、春や秋の祭を開催できない集落も少なくない。
和解にこぎ着けたとはいえ、地域の立て直しはようやく始まったばかりだ。
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