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福島第1原発:地下水放出、厳格化−−経産省が方針案
http://mainichi.jp/shimen/news/20140204ddm002040037000c.html
毎日新聞 2014年02月04日 東京朝刊
東京電力福島第1原発の汚染水対策で、経済産業省は3日、地下水が原子炉建屋に流れ込む前にくみ上げて海へ放出する「地下水バイパス」計画の運用方針案を公表した。放出する水質について、放射性物質の濃度が通常原発で適用されている法令基準の約2割と厳格化した。
全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は記者団に「国が内外にデータを開示し、風評被害対策を取るよう要請した。その対応を見極めた上で判断したい」と述べ、即答を避けた。
目標値はセシウム134、同137が1リットル当たり各1ベクレル、ストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質の総量(全ベータ)が同5ベクレル、トリチウムが同1500ベクレル。この目標値は法令基準の約2割で、毎日水を2リットルずつ飲んでも年間の被ばく量は0・22ミリシーベルトで健康には影響ないとしている。地下水を貯留タンクに一時保管して目標値の達成を確認後、放出する。超過の場合は放出を止め、全ベータが同1ベクレル未満に浄化後に放出する。【山田大輔、鳥井真平】
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■解説
◇漁業者への説明と風評被害対策必須
地下水が原子炉建屋に流入する前にくみ上げる「地下水バイパス」が昨年、実施できなかった理由は、廃炉作業でトラブルが多発し、東京電力に対する信頼を失ったことが大きい。漁業者の理解を得るには、丁寧な説明と具体的な風評被害対策が不可欠だが、廃炉作業を着実にこなすことも重要だ。
東電は昨年3月、地下水バイパスの設備を完成し、同5月、稼働に向けて地元漁協と協議に入った。だが、その前後から地下貯水槽や貯蔵タンクからの汚染水漏れなどトラブルが相次いだ。地元漁協は、こうした状況で地下水バイパスが実施されると、水産資源への風評被害が避けられないとして反発、計画は頓挫した。
汚染水を保管する貯蔵タンクの容量が限られる中、地下水バイパスを使えば汚染水の発生を1日100トン程度抑えられる可能性がある。東電は3日の記者会見で「非常に重要な対策」と理解を求めたが、日ごろから他の作業を含め一層の説明責任を果たすことが求められる。【鳥井真平】
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