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安倍首相、東電の法的整理「適当ではない」と参院本会議で答弁 国際ルールに無知 歴代自民党政権の責任隠ぺいも(FGW)
http://financegreenwatch.org/jp/?p=40617
1月 30th, 2014 Finance GreenWatch
各紙の報道によると、安倍晋三首相は30日の参院本会議で、福島第1原子力発電所事故を引き起こした東京電力の法的整理論について「福島の再生やエネルギーの安定供給の観点から適当ではない」と答弁した。会社更生法で東電を法的整理すると、被害者への賠償や事故収束作業に従事する関係企業の取引債権が十分支払えなくなる、との論法だ。
みんなの党の松田公太氏の代表質問への答弁。しかし、この首相の説明は、国際ルールである汚染者負担原則を無視しているうえに、今後のTPP交渉にも影響する可能性がある。原因企業を法的処理した後に残る賠償や事故収束は、当然、国の責任で迅速に処理するのが、これまた国際ルールである。それを否定する首相発言は、国が本来担うべき責任を放棄することになり、国政を担う責任者の認識としては、お粗末と言わざるを得ない。
汚染者負担原則は1972年にOECDが勧告したのが始まり。米国もEUも経済活動と環境問題のバランスをとる基本原則として法律の中に織り込んでいる。我が国も、1950〜60年代に激化した公害問題の法的責任を問うた1970年の公害国会で、この原則が、基本判断として据えられた。
そのそもOECDの議論は、公害発生企業が負担すべき汚染費用を国が補助金等でカバーすると、その企業の競争力を高めることになり、国際競争上不公平が起き、貿易に歪みが生じるとの判断が基本にある。したがってTPPが成立しても、日本の特定企業が環境汚染負担をせず、事実上、国によって費用負担されるとみなされると、その企業と政府はTPP違反と見做される可能性がある。
汚染原因企業が、賠償や汚染除去の負担を払いきれずに倒産した場合、賠償や処理は、政府が肩代わりすることになるというのが欧米の法理である。政府はそのために存在すると言ってもいい。したがって、安倍首相の論法は、国の役割を放棄することにもなる。国が責任ある立場に立ちたくないとの思いがチラつくのは、これまでの原子力行政を推進してきたのは電力会社だけではなく、政府が後押ししてきたことが大きいためではないかと思われる。
原因企業の法的整理の後に、国が前面に立つと、過去の政策責任を法的に追及されるのではとの不安があるのではないか。当然だろう。政策の失敗があるとすれば、それを是正するプロセスがないと、同じような失敗を今後もする可能性がある。被害者賠償、事故収束の迅速化に加えて、政策検証を丹念に重ねることが、この国の政策力を高め、国力を増強することにつながるはずだ。
東電を法的整理しても、東電で現在、廃炉対策や賠償交渉に従事している人たちは、新たな国営事故処理会社(仮称)等に移管することになる。新会社は、これまでのように先行き不安や、事故責任に対する負い目等を負わなくてもいい。地域の人々と、前向きに福島再建に取り組むことになる。福島を再建するやりがいのある仕事に打ち込めるのだ。
間違っても、事故責任を抱えながら、ごまかしと、過去のしがらみにすがって生き延びようとする、旧来型東電の再建を優先することがあってはならない。与党だけでなく、国会は国が担うべき責任をしっかり踏まえるべきだ。「失敗した企業」を市場から粛々と退出させる国際ルールが機能しない国は、国際社会から信頼されないことを肝に銘ずるべきである。
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