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福島・飯舘村の山村 /(C)日刊ゲンダイ
60代元営業マンは福島で地獄を見た 「除染はカネになる」の嘘
http://gendai.net/articles/view/life/147574
2014年1月29日 日刊ゲンダイ
“仕事も見つからないし、どうせ老い先短い身。福島原発の除染作業で世のために働くか”――。そう考えているシニアも多いのではないか。しかし、その考えは甘い。同じ思いで福島に向かった中村義男さん(仮名、61歳)を待ち受けていたのは、炎天下でひたすら草取り作業を続けるだけの地獄の日々だった。
3年前に中小企業をリストラされ、ハローワーク通いの中村さんの耳に入った話は「除染はカネになる」。単純な草刈り作業で1日1万7000円、月40万円は堅いという。
■日当1万7000円のはずが…
“ラクしてお金も貯まるなら”と早速、除染現場に人材を派遣している会社を訪れた中村さんだが、提示された日当は1日9000円。1万7000円はフォークリフトやダンプを運転できるエリート作業員の額だった。
“それでも仕事があるだけいいや”。そう考え福島に向かった中村さんだが、すぐに自分の考えの甘さに気づかされた。
朝6時30分、宿舎前からワゴン車に押し込められ、40分かけて現場事務所へ移動。途中、コンビニに寄っておにぎりや弁当、水を買い、朝食は車内で済ませる。
500人が集結した現場事務所で作業上の注意を受けた後、現場へ。最初の配属先は住宅地の除染。中村さんに命じられた仕事は草むしりだった。草刈り機に手をかけた中村さんに現場監督の怒鳴り声が飛んだ。“あんた、資格持ってないからダメ”。
「草刈り機に免許が必要なんて初めて知りました。その後、カマを渡され、ひたすら草刈りをし、刈った草や剥いだ表土を袋詰めし、それを運ぶ力仕事。私は元営業マンで本格的な肉体労働は初めて。“来るんじゃなかった”と後悔しました」
周りの作業員は20〜40代で、体が動く。一輪車をふらつきながら操る中村さんとは大違いで、中村さんは現場ですぐに浮いた存在になった。
それでも続けられたのは、作業がたびたび中断したため。作業前の放射線量を計測し、その写真を撮る。草刈りが終わったり、表土を剥いだ時もやはり写真を撮るからだ。休憩は午前10時と午後3時に15分間あったが、トイレでは苦労した。
「除染作業は自治体の事業。作業員がその辺でトイレをすませると、住民から苦情が役場に集中します。そのため、現場監督が絶えず“トイレ行きたい人”なんて声をかけ、コンビニのトイレに連れて行ってくれるのですが、それが格好悪くて……」
正午から1時までの昼食タイムでも、住宅街だと自由に寝そべることもできず、狭いワゴン車の中で過ごしたという。
「作業をする前は、“地域住民にも感謝される仕事”なんて思っていましたが、むしろ敬遠されていました。彫り物をしている作業員もいましたから。“頑張ってくれてありがとう”って差し入れをくれたのは3カ月間で2人だけでした」
除染というから防護服に手袋を想像した中村さんだったが、ほとんど自前の作業用手袋、作業服、スニーカー姿で通した。
「本当に危ない現場に素人作業員は立ち入らせないわけです。何の資格もない、ノウハウもない作業員は、ひたすら力仕事を繰り返すだけで、安く使われるだけ。しかも、食費はすべて自前。お金も貯まりませんでした」
結局、中村さんが東京に逃げ帰るまでの3カ月間で得たのは現金10万円と7キロの体重減だった。
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