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イカれてないか!東電と巨大銀行 「生き残り」と「ボロ儲け」で利害が一致。最後は税金を食い逃げする気だ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38192
2014年01月28日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
野山を走り回る子供が首から線量計をぶら下げている。住み慣れた家を離れて仮設住宅で年を越した家族がいる。いまなお過酷な福島の現実を顧みずに、東電と巨大銀行が原発再稼働へと動き始めた。
■再稼働を勝手に決めるな
「そもそも福島原発事故の検証が十分にされていない中で、同じような事故が起きた時にどう対応すべきかの検討もされていないのに、再稼働の議論はできません。東京電力の経営者は、福島第一原発がメルトダウンしているのを2ヵ月間も隠し続けましたが、そうした隠蔽がどうして起きたのかさえ明らかにしていない。
汚染水の問題にしても、現場は早い段階から対策を練っていたのに、東電の経営陣が安全よりカネの問題を優先して、むしろ現場のプランを止めてきた。銀行から借り入れができないと、おカネの問題を言い訳にして、やるべきことをさぼってきたのが経営の現実です。借金や廃炉、汚染水への対処に加え賠償問題で社長の頭の中の9割がいっぱいになっている状況で、原発の安全な運営などできるはずがありません」
こう憤るのは、新潟県の泉田裕彦知事である。
東電が昨年末、驚愕するような計画をまとめた。東電と、東電の過半数の株を握る政府の原子力損害賠償支援機構(原賠機構)が作った総合特別事業計画=再建計画の中に、新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働を盛り込んだのだ。
関係者の話を総合すると、再建計画では、柏崎刈羽原発の6、7号機を今年7月に再稼働させるのを手始めに、その後に1、5号機と順次再稼働させるシナリオが描かれているという。
全世界を震撼させる原発事故を起こした反省などなかったかのように、東電が原発再稼働という「暴挙」に向けて一直線に突き進み始めたのだ。
続けてこの再建計画がまとまると、原発再稼働を後押しするように、三井住友銀行、日本政策投資銀行などの巨大銀行が東電へ5000億円の融資を実行した。
周知の通り、柏崎刈羽原発は、現在原子力規制委員会が安全審査中で、再稼働できるかどうかは不透明な状況である。再稼働には地元の新潟県知事の了承も必要だが、泉田知事は冒頭のように反対の姿勢を続けている。
つまり、東電はできるはずもない原発再稼働を前提にした黒字計画を作り、巨大銀行も「黒字になるなら貸しましょう」と巨額マネーを東電に融資したことになる。東電と巨大銀行の間では、原発再稼働はすでに「決まったこと」として話が進んでいるのである。
どうしてそんな「狂気の沙汰」が行われるのかは理解しがたいだろうが、59ページの表をご覧いただければ、そのカラクリが一目瞭然でわかる。
これは東電と金融機関の間で、どのようなカネのやり取りが行われているかを詳述した相関図である。金融機関に巨額の東電マネー≠ェ次々と流れ込む様が一目で見て取れる。
「(最上段の)約4兆5000億円融資の大半を占めるのが、メインバンクである三井住友銀行を筆頭に、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行のメガバンクや三井住友信託銀行などの主力銀行です。それぞれ1000億円単位のカネを融資し、潤沢な利息を受け取っています」(大手証券会社幹部)
ほとんど知られていないが、原賠機構や政府を通じて東電にカネが流れる「別ルート」を通じても、金融機関は相当な額を受け取っている。
「たとえば'12年7月に原賠機構が東電に1兆円出資した際のカネは、金融機関による融資で賄われています。この融資は1年や半年と短期のため、借り換えるたびに金融機関の懐にカネがジャブジャブと転がりこむことになる仕組みです」(同前)
どの銀行に融資してもらうかは入札で決定されるため、その入札にかかわる業務が、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行に委託され、億単位の額を3メガバンクは得ている。入札の度に業務委託するので、ここでもその都度カネが金融機関に入ることになっているのだ。
■東電は「おいしい」融資先
もっとも驚くべきは、最下段の「別ルート」である。仕組みは複雑だが、簡単に言えば、東電が兆円単位の賠償費用を支払えないため、一時的に国がその費用を肩代わりして資金交付することになっている。その際に、東電に支払うカネを国が金融機関から融資してもらうため、ここでも金融機関が利息収入を得られるようになっている。
このカネは東電と他の電力会社が長い期間かけて返済していく。会計検査院の試算によれば国から東電に5兆円が交付された場合、この回収が終わるまでに最長で2044年までかかるとされている。
「その間に国が金融機関に支払う利息の総額は約794億円と途方もない額になるのです。東電への資金交付はこれまで5兆円を上限としていたのが、9兆円に拡大される見込み。となれば金融機関への支払利息はさらに莫大な額に膨れ上がります」(現役財務官僚)
東電にとって、巨大銀行の融資がなければ経営が立ち行かなくなる。一方、銀行にとって東電はカネのなる木。両者は「生き残り」と「ボロ儲け」で利害が一致している一心同体の関係なのである。
「だからこそ、東電は原発を動かすことで収支を改善させ、銀行が融資しやすい環境を作ろうとする。一方の銀行は東電の資金繰りが良くなるのであれば、原発再稼働だろうがなんだろうが手段は問わない。そんな狂った関係が成立するのです」(東電OB)
そもそも東電と金融機関の蜜月≠ェ始まったのは、3・11の直後からだった。当時、経済産業省内で東電問題をつぶさに見てきた古賀茂明氏が言う。
「福島原発の事故が起きた直後、本来であれば東電を破綻処理すべきでしたが、経済産業省の中に破綻企業の再生について知識と経験を有している幹部がほとんどいませんでした。一方で、東電と銀行は破綻処理だけは避けたかったため、『破綻させたら、電力が止まる』『金融市場不安が起きる』と脅しをかけてきた。そこでパニック状態に陥っていた経産省幹部たちは、愚かにもその脅しに乗って破綻させないと決めてしまったのです。
そして東電を破綻させないとのお墨付きを得た巨大銀行が、3月末時点で約2兆円の融資を東電に実行。東電は生き残りが約束され、銀行は貸し手責任が問われずにボロ儲けできる構図が、3月末にはできあがっていたのです」
安倍政権が昨夏頃から「国が前面に出る」との方針のもと、東電支援を加速。昨年末には、東電と巨大銀行にとっては、笑いが止まらない「旨い話」がとんとん拍子で決まっていった。古賀氏が続ける。
「将来いくらに膨れ上がるかもわからない除染などの費用を政府が税金で面倒見ることになりました。たとえ原発再稼働できなくても、その際は電気料金を上げて一般消費者に負担してもらうことも決まった。つまり、銀行は1円も損することなく融資ができて、東電も経営が危なくなった時は税金か電気料金の値上げで助けてもらえる。経産省は天下り先の東電と銀行を守り、東電と銀行は責任を回避した上、すべてのツケが国民に回るのです」
■こいつらこそ抵抗勢力だ
原発が再稼働できなければ電気料金を上げ、電気料金も上げられなければ最終的に税金を食い逃げするつもりなのだろう。国民をバカにしきった暴挙としか言いようがないが、東電と銀行のイカれぶりは、それだけにとどまらない。
「いま発送電分離をして、世界的に高い日本の電気料金を安くしようとする動きが出てきていますが、これに反対しているのが東電、改革に及び腰なのが銀行です。東電にしてみれば、発送電分離をすれば、独占企業としての権力とパワーが一気に失われてしまうことになるから抵抗したい。銀行にしても、発送電分離で東電の収益力が落ちたり、担保価値が減ることで融資が焦げ付く可能性が出てくるのは避けたい。そうした現状の力関係の中で、最も国民にとって望ましい電力改革の姿が歪められかねない状況になっています」(嘉悦大学の小野展克准教授)
東電は変われないのか。一縷の望みを託せるのは、1月7日に東電が決定した新たな会長人事だ。
東電は4月1日付で弁護士出身の下河辺和彦現会長に代わり、JFEホールディングス相談役で東電の社外取締役を務める数土文夫氏が就くと発表した。
数土氏は北海道大学工学部卒の72歳で、剛腕経営者として知る人ぞ知る財界有名人。川崎製鉄時代にはNKK(日本鋼管)との統合を主導する一人として活躍し、合併後には2社で共通していた各部署の部長をすべて入れ替えるなどの大胆人事を断行し、まれにみる大型合併の成功例といわれる結果を残した。
「'11年にNHKの経営委員長に就任した際には、受信料の値下げを巡ってNHK執行部が反発する中で、7%もの値下げを盛り込んだ経営計画を策定した剛腕ぶりは当時話題になった。'12年に東電の社外取締役に就任後は、『取締役会の議事録を公開してはどうか』など度肝を抜く改革案を提示し、古い東電の体質を変えようと必死に動き回っていた」(経済誌記者)
会長就任決定後、数土氏は原発再稼働についても、「徹底的に安全を確保し、地元の理解を頂きたい」と語るにとどめている。
「とはいえ、政府が懇願して会長就任が決まった経緯がある。安倍政権が原発再稼働に前のめりであることを考えれば、数土氏もそれには逆らわないと見るのが自然でしょう」(原発メーカー幹部)
ある女性の人事に期待する声もある。今年の元日付で東電の執行役員として着任した榎本知佐氏(52歳)のことである。
明治大学からリクルートに入社し、リクルート退社後は蘭フィリップスや米国系製薬会社ヤンセンファーマなどで広報責任者を歴任してきた、絵に描いたようなキャリアウーマンである。
東電としては珍しい社外からの幹部招聘であり、史上2人目の女性執行役員という異例尽くめの人事で、榎本氏に与えられた役職は、ソーシャル・コミュニケーション(SC)室長。
SC室はかねてより問題視されていた東電の隠蔽体質を改善すべく、昨年4月に新設された社長直属部署である。榎本氏はそのSC室のトップに立ち、東電社内のトラブル情報開示の在り方を、経営陣に提言するなどの重責を担うことになっている。
キャリアウーマンが東電に乗り込んで改革を指揮する―そんなストーリーが実現すれば痛快だが、東電中堅社員はこう語る。
「言葉は悪いですが、榎本さんがお飾り≠ナ終わってしまうと考えている人は少なくない。榎本さんが悪いわけではなく、うちの会社が彼女に本気の改革などを求めていないと思われているからです。なにせSC室を作る時に室長は社外から招聘すると決まっていたが、半年以上も人選を決めなかった。それ自体、やる気がない証拠です」
全国紙経済部記者も言う。
「そもそもSC室を作ったのは、昨年3月に停電で1F(福島第一原発)の冷却システムが停止した際、東電が発表を約3時間も遅らせ、大批判を受けたからです。そこで世論の反発を一時的にかわすためにも、SC室を作って改革姿勢をアピールしたかった。SC室の稼働後も東電の隠蔽体質は一向に改善していないことを見れば、SC室が改革の司令塔になれていないのは明らかです」
実際、昨年6月に福島第一原発近くの観測用井戸で法定値を超す放射性物質が検出された際も、東電が公表したのは約2週間後。その1ヵ月後には汚染水が海洋流出していることを把握しながら、発表を3日も遅らせた事実が発覚して大問題になった。
「海洋流出問題が発生した際、東電はSC室副室長の見学信一郎執行役員を1ヵ月の減給5%という大甘処分で済ませています」(前出・全国紙記者)
福島第一原発の事故を受けて浮き彫りになった、東電の腐りきった内部体質。東電は改革と銘打った策を打ち出すことで「東電は変わった」とアピールを繰り返すが、見てきた通り実態は何ら変わっていない。
今年も東電は再建計画のもと新たに改革と謳う策を行い、誇らしげに変わった東電をアピールし続けるのだろう。
しかし、その裏で「生き残り」と「ボロ儲け」を企んで高笑う、東電と巨大銀行の幹部がいることを忘れてはいけない。
「週刊現代」2014年2月1日号より
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