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中国、社債格下げ相次ぐ
成長減速、収益力に陰り 政府、支援に消極姿勢
【上海=土居倫之】中国で社債の大幅格下げが相次いでいる。成長減速で稼ぐ力が落ち、一部の企業で過剰投資で膨らんだ借金の返済が難しくなった。21日に国有企業が初めて債務不履行(デフォルト)に陥るなど、政府が企業の支援に消極的になったことも背景にある。上海株は上昇基調が続くが、今後は格下げが大幅に増え企業の資金調達コストを押し上げる可能性がある。
中誠信国際信用評級など主要8社の格下げ社数の集計によると、2015年の格下げ社数は23日までで延べ14社と前年同期を2社上回った。格付け会社は今後、デフォルトに陥った企業を政府が支援しないケースが増えていることを考慮するとみられ、通年では過去最高だった13年の101社を上回る可能性が高まっている。
今年の特徴は格付けの大幅な引き下げが相次いでいることだ。
大手格付け会社の大公国際資信評估は今月3日、湖南省の製紙会社、湖南雪麗造紙の格付けをトリプルBから一気にダブルCに引き下げた。製紙業界は鉄鋼などと並ぶ設備過剰業種のひとつ。格下げは「同社は全面生産停止となっており、債務返済の原資が欠乏している」(大公国際)ことが理由という。
鵬元資信評估は3月13日、江蘇省の機械メーカー、江蘇中晃集団の格付けをトリプルBマイナスからダブルCに引き下げた。「債権者への不払いを理由に同社の銀行口座が裁判所によって凍結されているため」という。
国有企業の保定天威集団は21日に期限が到来した社債の利息8550万元(約16億7000万円)を支払えなかった。11年の発行当初格付けを最上級から1段階低いダブルAプラスとしていた聯合資信評估はデフォルトを受けて格付けをシングルCに引き下げた。
国有企業初のデフォルトについて米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の黄馨慧アナリストは「中国政府が金融システムの市場化を進める意向であることを示している」と指摘する。
中国共産党は13年の中央委員会第3回全体会議(3中全会)で「市場に決定的な役割を果たさせる」とし、経済への政府の介入を減らし、市場原理を重視する基本方針を決定した。李克強首相は3月の会見で金融システム危機を起こさない前提ながら「個別の案件は市場の原則に基づき処理する」と表明した。天威集団のデフォルトはこうした流れに沿った動きだ。
中国の格付け会社はこれまで収益力の低い企業でも政府の支援が見込める企業は高い格付けを付与し、投資家も社債を購入してきた。安易な資金調達が中国経済の課題である過大投資・債務につながってきた面がある。
中国政府が経営が悪化した企業の債務の肩代わりを続けると、政府の債務比率の上昇に歯止めがかからなくなる恐れがある。中国政府は金融システム危機など経済の混乱に至る事態を避けながら、慎重に改革を進める方針だ。
[日経新聞4月24日朝刊P.7]
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