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南中国海問題には理性的な声がもっと必要
人民網日本語版 2015年04月17日16:22
フィリピンのアキノ大統領は最近再び南中国海問題で耳目を驚かす発言をした。AFP通信のインタビューで「南中国海に対する中国の領有権主張は各国に恐れを抱かせる。中国側の埋め立て活動は国際航路と漁業活動の安全を脅かす」と主張。「中国と領土係争を抱える国との間で軍事衝突が起きる可能性も排除できない」とさえ述べた。(文:華益声・国際問題専門家。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
アキノ大統領が中国の脅威を誇張する意図が南中国海の領有権・権益にあることは明らかだ。フィリピン外交を主導しているのは大統領を中心とする政策決定グループで、国防相や外相などキーパーソンが含まれる。このグループは南中国海問題において独断専行に走り、強硬な対抗姿勢をとっている。
アキノ大統領は係争を利用してフィリピン国内で中国に対する民族感情を煽り立てている。歪んだ世論の影響を受けて、すでにフィリピンの一部の国民やエリートは中国の発展の方向や南中国海問題における立場に対して誤った認識を持っている。
それ以上にフィリピンは対外行動をしきりに起こしている。軍艦を用いて中国漁船を襲撃撹乱し、黄岩島(スカボロー礁)事件を引き起こした。黄岩島と南中国海に新たな名称をつけた。米国や日本といった域外勢力を仲間に引き入れて介入させている。南中国海係争をASEAN全体の問題にしようとしている。一方的に国際仲裁手続きを求めた。こうした行為は中国の譲れぬ一線に挑戦し続けるものであり、係争を激化させ、両国関係を深刻に損なうと同時に、南中国海の平和と安定も破壊した。
全ての高官がアキノ大統領と同じ意見であるわけではない。大統領が無責任な発言をすると同時に、ビナイ副大統領は異なる声を公に発した。ビナイ副大統領は領有権争いの厳しさと複雑さを認識しており、「フィリピンと中国との問題は直ちに解決できるものでは決してない」と指摘した。ビナイ副大統領は問題解決の方法についても割合理性的な考えを持っており、中国側との対話を継続し、二国間の交渉を通じて解決すべきだと考えている。
ビナイ副大統領の発言は思いがけないものでは決してない。背景を見るとビナイ副大統領はベテラン政治家で、国を指導する志があり、国の発展について真剣に考えている。フィリピン国内での影響力も大きい。フィリピンの大統領は憲法の規定で有権者の直接選挙によって選ばれる。任期は6年で、再選再任は認められない。2010年6月に当選したアキノ大統領は来年任期を終える。ビナイ副大統領は次期大統領選の有力候補であり、選挙で圧倒的勝利を収めるとの見方が少なくない。
ビナイ副大統領の発言に大統領選勝利につなげる考えがあるかも知れないのは確かだが、いずれにしても南中国海問題の処理において客観的姿勢の人物はプラスの評価をより得やすい。実際、現政府のやり方にフィリピン国内では疑問の声が上がっている。一部の国民やエリートは、中国との関係悪化がフィリピンの長期的利益を損なうことを懸念しているし、係争が制御不能となった場合の悪い結果にフィリピンが耐えるのは困難だ。アキノ大統領は米国の応援を引き出して南中国海で中国と対抗しているが、フィリピン国内には米軍との軍事関係の強化に対する抵抗感があり、米中両大国の「力比べ」に巻き込まれ、板挟みになることを望んでいない。あるフィリピンの学者は米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」電子版に、ビナイ副大統領が実務的姿勢を示し、就任後中国との緊張を緩和することを期待する文章を発表した。
事実が証明するように、国家間に溝や摩擦が存在することは避けがたく、いかにして有効にコントロールし、最終的に解消するかが肝要だ。南中国海係争のために国家間の正常な付き合いが妨げられるべきではなく、ましてや地域の安定の大局に影響が生じるべきではない。
無責任な発言は一見居丈高に見えるが、結局は試練に耐えられない。理性的な声がもっとあってこそ、南中国海問題をうまく処理することができる。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年4月17日
http://j.people.com.cn/n/2015/0417/c94474-8880030-2.html
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