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中国の携帯3社、「4G」投資合戦
通信高速化に3兆円 増収に貢献、切り替え競う
中国で第4世代(4G)携帯電話を巡る大競争が始まった。世界最多の13億人の利用者がターゲットだ。「通信強国を目指す」という政府の大号令のもと、中国移動通信集団、中国電信集団、中国聯合網絡通信集団の3社の投資額は2015年に3兆円近い規模に達する。急速に進化する中国携帯市場の動向は、世界の端末メーカーの戦略にも影響を与え始めた。
「真の4G。待たずに使えます」「あなたと一緒に4Gへ」。ミャンマーとの国境にほど近い雲南省蘭坪ぺー族プミ族自治県。町の至る所に中国移動の大きな看板が立ち並ぶ。人口20万人強、平均標高3千メートル近い高山地帯だが、中国移動の携帯電話にはしっかり「4G」の信号が立ち、北京や上海と変わらない高速通信で利用できる。
中国で4G事業の先陣を切ったのは「都市でも農村でも、どこでも4Gが安心して使える」がキャッチフレーズの中国移動だ。13年末から「TD―LTE」と呼ぶ中国政府が開発を主導した4G規格の商用サービスを始めた。今年2月末の利用者数は1億2338万人と、約1年間で日本のLTE利用者の3倍近い規模に拡大した。
19日の決算記者会見で奚国華・董事長は15年中に「計2億5千万人の利用者獲得を目指す」と宣言した。8億1千万人の携帯加入者を抱える中国移動だが、まだ5割強が2G利用者だ。4Gへの移行を促すため、15年は722億元(1兆3700億円)を投じ、基地局数を合計100万カ所以上に増やす。14年までに72万カ所に設置した基地局で10億人の人口をカバーするが、さらにネットワークを強化する。
4Gの普及で提供するサービスが多様化すれば、需要も増え、収益の拡大も期待できる。「生活が一変した」と中国移動の販促で4Gが使える米アップルの「iPhone5s」を無料で手に入れた北京市の飲食店員、張麗栄さん(27)は言う。それまで使っていた2Gに比べ、通信速度が格段に早く、「外で音楽も映画も楽しめる」と契約を4Gに切り替えた。
「今年を4G元年にしたい」。中国電信が香港で開いた決算説明会。王暁初・董事長兼最高経営責任者(CEO)は力を込めた。中国電信は中国国有3社の中でもデータ通信に強い老舗だが、4Gでは出遅れた。政府が普及に力を入れる「TD―LTE」ではなく、現在採用している第3世代(3G)サービスを発展させた「FDD―LTE」を推していたためだ。
中国移動の攻勢で14年7月まで5カ月連続で加入者数が純減となるなど苦戦が続い
た。それが今年2月に政府から待望のFDD事業免許を取得。既存の3G基地局を改造する形で4Gのインフラを増設できるため、カバー地域は急拡大する。15年は610億元を4Gに集中投資する。15年末までに基地局を全国100都市に増やし、計1億人の利用者獲得を目指す。
同じく2月にFDDの事業免許が下りた中国聯通も巻き返しを図る。武器となるのは「4G・3G一体化」と名付けたサービスだ。3Gで1億人以上の利用者を抱える。15年の4G投資は200億元程度だが、4Gがつながらない場所では3Gが使えるようにする。15年中に「3G・4G」の人口カバー率を95%にまで拡大し、利用者を1億人に増やす計画だ。
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北米抜き世界最大市場に
中国の通信各社が一斉に第4世代(4G)サービスへの投資を加速するのは「中国は通信強国を目指す。4Gの発展加速を支持する」(苗●〈つちへんに于〉・工業情報化相)とする中国の国策があるためだ。4G利用者は2015年中に北米を抜いて世界最多になる見通し。携帯端末メーカー各社も巨大市場へ食い込もうと躍起だ。
「中国移動がお勧めですね」。北京・王府井のアップルの旗艦店。中国移動、中国電信、中国聯通向けに製造した専用モデルをそれぞれ販売するが、店員は「中国移動モデル」を強く勧める。13年12月に提携して以来、アップルは中国移動との事業連携に力を入れる。
対抗する中国大手の華為技術(ファーウェイ)は「TD」「FDD」のどちらの4G規格にも対応する「双4G」が強み。中国市場で首位に躍り出た新興の小米(シャオミ)も「双4G」型の大画面モデルを発表した。
これまで中国移動など通信3社は年間2千億元規模の販売補助金を出し、利用者に端末を無料配布したり、割安に提供したりしてきた。しかし、15年は3社合計の携帯補助金が1600億元と大幅に減る見通し。今年は端末各社にとっても正念場になる見込みだ。
北京=阿部哲也、香港=粟井康夫
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中国の第4世代(4G)携帯電話サービスとは
▼中国の第4世代(4G)携帯電話サービス 中国で2013年12月から始まった高速データ通信が可能な携帯電話サービス。日本で「LTE(Long Term Evolution)」と呼ばれる高速通信技術を使う。通信速度は下りで最大毎秒60〜100メガビットとされ、第3世代(3G)携帯の数倍から数十倍に達する。大容量のデータも短時間でダウンロードでき、動画や音楽、ゲームなどスマートフォンの用途が大幅に広がるとされる。
[日経新聞3月20日朝刊P.9]
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