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昨年12月13日、南京大虐殺記念館で開かれた追悼式典に出席し、モニュメントの除幕を行う習近平国家主席(左)。背後の壁には「遭難者30万人」と記されている=江蘇省南京市(共同)
【国際情勢分析】「日本を震え上がらせ、世界秩序を守る決意示す」…戦後70年、敵意むき出しの中国
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150221/frn1502211000002-n1.htm
2015.02.21 夕刊フジ
戦後70年の今年、中国は“歴史カード”を次々と繰り出して日本に揺さぶりをかけることになりそうだ。とりわけ「西暦で5のつく年は暗雲漂う1年」(中国の外交関係筋)といえる。というのも、第二次世界大戦に加え、4月17日は日本側の勝利に終わった日清戦争の講和条約である11カ条の「下関条約」調印(1895年)から今年で120年を迎える。さらに5月9日には、第一次世界大戦中に日本側が突きつけた1915年の「対華21カ条要求」の最後通告受諾から100年となる。
いずれも現在の「中華人民共和国」が49年10月1日に成立する以前の歴史ながら、「抗日戦争勝利」こそ政権維持のためのレジテマシー(正統性)と位置づける中国共産党政権は、あらゆる“記念日”を利用して圧力を強めることが、日本との関係のみならず内政の安定にも欠かせないと考えているようだ。
■5のつく年は暗雲の1年
中国の歴史学者は、「中国への外国勢の侵略は英国とのアヘン戦争(1840〜42年)に起点があるが、日清戦争(1894〜95年)の後は、中国が“雪辱”を果たすべき相手はもっぱら日本になった」と話している。
1912年1月1日に成立した「中華民国」時代の袁世凱政権が対華21カ条要求を受諾した5月9日は、現在も中国で「国恥記念日」とされている。37年7月7日の夜、北京郊外で起きた発砲事件から日中の衝突が広がった「盧溝橋事件」はその後、45年まで8年続いた日中戦争の発端で、中国では「七七事件」とも呼ばれている。
盧溝橋にある「中国人民抗日戦争記念館」では昨年9月3日に、習近平国家主席(61)や李克強首相(59)ら共産党最高指導部である政治局常務委員7人全員が出席して、「抗日戦争と反ファシズム戦争勝利69年」の記念式典が開かれた。70年となる今年はこの日に、大規模な軍事パレードと閲兵式が行われる見通しだ。
■大規模な軍事パレードも
共産党機関紙、人民日報(電子版)は、軍事パレードの目的として、中国で最新の軍事力を誇示することで、「日本を震え上がらせ、世界に向けて中国が戦後の世界秩序を守る断固たる決意を示す」などとむき出しに説明した。2012年に習指導部が発足して以来、軍事パレードと閲兵式は初めて。自ら「戦勝国」と位置づける中国は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(62)らも閲兵式に招待しているという。
1931年9月18日の夜、奉天(現在の遼寧省瀋陽)郊外にある柳条湖付近を走る南満州鉄道(満鉄)の線路の一部が爆破された「柳条湖事件」。日本の関東軍は中国側の犯行だと主張して、その後、中国の東北3省を制圧して32年3月1日に「満州国」を樹立させるなど、「満州事変」につながっていく。満州国を中国では傀儡(かいらい)国家だったとして「偽満州国」と呼ぶ。
日本政府による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化で反日デモが中国に吹き荒れた2012年、9月18日には瀋陽はもちろん、北京、上海、広東省広東など125以上の都市で反日デモが起きて数百万人が参加し、反日の機運がピークに達した。
■注目される「安倍談話」
そして12月13日。旧日本軍によるいわゆる「南京事件」の日だ。追悼式典の主催が昨年、江蘇省や南京市の地元当局レベルから国家レベルに“格上げ”されて「国家哀悼日」と位置づけられた。毎年「南京大虐殺記念館」で行われてきた式典に、昨年、初めて国家主席として演説した習氏はこう述べている。
「中国を侵略した日本軍は南京に野蛮に侵入し、極めて残虐な南京大虐殺の惨劇を引き起こした。30万人の同胞が殺戮(さつりく)に遭い、無数の婦女が蹂躙(じゅうりん)し惨殺され、無数の児童が命を落として大量の財産が奪われた。中国を侵略した日本軍は、人間性を全く失った南京大虐殺の惨劇を自ら作り出した。第二次世界大戦の『三大惨劇』の一つだ」
この昨年12月の習氏の演説をめぐって、菅義偉官房長官(66)は今月15日の会見で「被害者数を断定することは困難」とする日本政府の見解を中国側に伝えた、と明らかにしている。
中国は8月15日の終戦記念日に安倍晋三首相(60)が行う「戦後70年談話」を見極めながら、火種をなお残す歴史問題で2015年の日本に、さらに政治的圧力を加えることになりそうだ。(上海 河崎真澄)
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