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驚異的な経済膨張を遂げた中国だが、「負の遺産」も半端ではない。日本が40年近くかけて達成した高度経済成長を、中国はわずか20年で実現したためだ。写真は広東省スワトウ市貴嶼村の汚染された川。
<追求!膨張中国(7)>「負の遺産」が噴出=未曽有の環境汚染、「ガンの村」400超える―格差は「危険ライン」に
http://www.recordchina.co.jp/a100151.html
2015年1月6日 6時7分
驚異的な経済膨張を遂げた中国だが、「負の遺産」も半端ではない。日本が40年近くかけて達成した高度経済成長を、中国はわずか20年で実現。さらに成長し続け、しかも人口、国土も日本の10倍、26倍。多くの「歪」が噴出している。
第1の問題点は環境問題。11月初旬、北京には珍しい澄み切った青空が1週間近く続いた。APEC(アジア太平洋経済協力会議)に合わせ、習近平政権が中国の威信にかけて実現した青空、「APECブルー」だが、閉幕するやいなや北京は微小粒子状物質「PM2.5」が大量に浮遊する鉛色の空に戻ってしまった。
◆公害撲滅は至上命題
北京市環境保護局が1月5日発表した北京の空気品質状況によると、2014年の北京の主要大気汚染物質PM2.5(微小粒子状物質)の年均濃度は前年同期比4.0%低下し、重度大気汚染を観測した日数は2013年の58日から45日まで減少したという。しかし、北京など中国華北部で暖房器具を使用する時期に入ったため、汚染物質の排出量が増加。さらに、「重度汚染」の大気レベルの日がなお多発している。
公害の撲滅を至上命題とする中国政府は1月1日、改正環境保護法を施行した。環境規制に違反した工場にその場で閉鎖を命じるなどの法執行権限を環境保護当局に持たせるほか、違反企業への罰金の上限も撤廃する。罰則を強化し、微小粒子状物質「PM2.5」による大気汚染などを封じ込めることを狙った。また中国環境保護部は同日から中国全土338都市にモニタリング地点計1436カ所を設置し、大気状況の測定を開始した。
中国は工業生産の急拡大につれて「世界最大の公害発生国」となっており、地球生態系に及ぼす影響は甚大だ。有害化学物質による水質汚染や大気汚染など環境関連事件が多発、深刻な健康被害が続出している。
ガンの発症率が多い、いわゆる「ガンの村」の存在を中国政府は公式に初めて認めた。外国調査機関によると、その数は少なくとも400カ所を超えるという。中国でのがんによる死亡者数の統計を見ると、70年代には年間平均で70万人にとどまっていたものが、90年代に年間117万人に急増。2012年には270万人とさらに増え、20年には400万人を超えると予想されている。
◆驚くべき格差の実態
第2の問題点は格差が驚くべきスピードで拡大したことだ。所得格差を表すジニ係数は、中国政府発表で0.474。0.4を越えると、所得格差から不満が高まり、社会騒乱が多発する警戒ラインとされ、0.6を越えると、社会不安につながる危険ラインとされている。中国の大学の独自調査では0.61に達しているという。公式発表の数字でも、既に社会騒乱多発の警戒ラインを越えている。
都市部では若者が運転するBMWやポルシェなど高級輸入車がわがもの顔で疾走し、自転車やリヤカーが粉塵(ふんじん)を浴びるアンバランスな光景が日常的にみられる。 都市戸籍を持たない貧困層は5億人ともいわれ、フラストレーションを爆発させる一歩手前ともいわれる。
深刻な格差は体制の変革期に生じやすい。戦後の日本やソ連崩壊後のロシアも酷い状態だったが、法整備や社会的な規制措置が講じられた結果、大きな格差は解消に向かった。改革開放への転換から30年以上が経過した中国にとって格差是正は待ったなしの課題である。
中国指導部は、農村から都市への人口流入を促すことで内需を掘り起し、投資主導型経済から消費主導型経済への転換を図ろうとしている。
しかし、現在の土地・戸籍制度の下では、農村から都市への出稼ぎ労働者(農民工)は都市戸籍を持たないために出稼ぎ先で必要な社会保障を受けられない。一方で、農地も自由に売買することができず、安心して都市で働き、消費を増やすことができないのが実情だ。中国全体で農民工は約2億人に上るといわれる。
農地に対する農民の明確な権利が保障されていないため、地方政府が農地を収用し、開発業者に転売することで歳入を確保している。農地を収用された農民の中には、補償が公正ではないなどとして不満も根強い。ここ数十年間にわたる急速な都市化により、6400万世帯が土地の収用、もしくは家屋移転を余儀なくされたとされる。
◆既得権益の壁打破できるか
「明」と「暗」がこれほど際立った国は世界に見当たらず、習近平政府も「格差是正は待ったなしの最優先課題」と危機感を隠さない。13年11月の三中全会で戸籍制度、土地改革、一部セクターの民間・外資への開放など具体的な改革方針を打ち出した。
土地などこれまで「集団所有」が原則とされてきた農村の資産を、農民に株式の形で分け与えることを可能にした。株の譲渡や相続を認めることで、個人の財産に近い権利として使える道を開いた。都市開発に伴う土地の値上がり益を、農民に公平に分け与えることも打ち出した。これにより都市開発の際には地方政府が強制的に収用した上で、転売益を独占する行為の抑止を狙った。
一方で、農民が圧迫される原因となっていた地方政府の財政難を解消するため、地方の財源として不動産税や消費税の導入・拡大を盛り込んだ。社会保障や大規模プロジェクトなどの費用も中央が一部負担することで、地方の財政難を解決する方針だ。
習近平政権は規制緩和、権限委譲、国有企業改革、経済改革、司法改革、戸籍改革、地方財政改革などを2020年までに実現する計画。「体制変革」に近い難事業だが、習主席は、「改革達成」へ背水の陣を敷いており、これらの大胆な改革が実現するかが中国の命運を握るカギとなろう。(八牧浩行)
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