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暗雲の空の香港
[加藤鉱]【危うさ一杯の中国経済、経済失速も】〜人民元圏の拡大も息切れ状態〜
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150101-00010001-jindepth-cn
Japan In-depth 1月1日(木)7時0分配信
「香港の高度な自治とは中国が香港に対して授けるものである」
中国政府側の底意は昨年6月に発表された香港白書のこの一文に収斂された。「港人治港」(香港人による香港統治)がないがしろにされたことを受けて、香港の民主化運動家たちは重大な危機感をおぼえ立ちあがったのだった。
昨年12月、香港行政長官選挙の民主化を求めるデモはいったん、終止符を打った。デモ逮捕者は合計1000名におよんだ。デモを主導したリーダーのひとり、大学生連合会(学連)の周永康は活動の継続を宣言、早ければ今春にも新たなる活動を開始するとも伝えられている。
民主派の強制排除という形で香港政府が幕引きをはかった形となったが、民主派はそれなりの成果をえたのではないか。鈍感な北京中南海がどれだけ自覚しているかは別にして、今回の騒動により、中国が約束を守らない国であるという事実をあらためて全世界に知らしめたのだから。
だが、香港の民主派が好むと好まざるにかかわらず、国際金融都市・香港の重要性は日に日に高まっている。むろん、いまも中国共産党上層部、あるいは地方幹部は香港にさまざまな形でダミー会社をもってマネーロンダリングし、海外投資の打ち出の小槌としている。また、あふれ返るチャイナマネーの行き先としての香港不動産は、太子党の懐をおおいに潤してきた。だが、香港の使い道はそれだけではない。
従来より香港がアジア、欧州など国境をまたぐ人民元決済の主役として機能してきたことはよく知られるところだ。ドル基軸体制のなかで人民元経済圏の拡大を推し進め、あわよくばドルに並ぶ決済通貨の座を狙う橋頭保の役目を香港が担ってきたといえる。米欧はタカを括っていたわけではなかろうが、昨年から潮目が変わってきたと見る向きもある。
昨年、ウクライナをめぐる米欧の金融制裁を受けたロシアは、ドル調達に窮し、中国に救いを求めた。ここでロシアは中国に対するエネルギー輸出代金を人民元決済とし、そのうえでドルが必要ならば、米ドルと完全ペッグする香港ドルで決済する方法に切り替えた。
香港財閥系シンクタンクの幹部は言う。「ロシアが急速に接近してきたことにより、エネルギー価格交渉は未決とはいえ、中国は積年の懸念であったエネルギー確保とその決済を一気に解決できるチャンスをえた」だが、中国とロシアの歴史を慮れば、両国は潜在的敵対関係にあり、そう単純にはいかないと私は思う。
一時は快進撃を始めたかのように見えた人民元圏の拡大は、いまは息切れ状態にある。中国の肝煎りで設立したアジアインフラ投資銀行の資本金にしても、参加国の意向に抗しきれず結局ドル建てにせざるをえなかったという大矛盾を呈した。
昨年末、耳を疑うようなニュースが飛び込んできた。中米ニカラグアに大西洋・カリブ海を横断する総工費6兆円の運河建設が始まったのだ。5年後に完成予定で、青写真どおりにいけば、中国の経済メリットははかりしれない。運営するのはHKND(香港ニカラグア運河開発投資)で、ここにも香港が絡んでくる。不思議なことにニカラグアと中国には国交がなく、表向きは香港の民間企業主導のプロジェクトという面妖さがいかにも中国らしい。
一方、中国国内の不動産バブル崩壊はすでに始まってから1年以上が経ち、現状、前年比で1〜2割平均で下落している最中である。2015年の中国がどのような形で経済失速から逃れようともがくのか、危うさ一杯である。
加藤鉱(ノンフィクション作家)
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