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中国、カジノ依存脱却促す マカオ返還15周年 香港民主化運動波及に警戒感
マカオがポルトガルから中国に返還されて20日で15周年を迎えた。世界一の規模となったカジノは経済成長をもたらす一方、富の集中など社会にひずみを生んでいる。中国の習近平国家主席は同日の記念式典で「持続可能な発展のため、経済の多元化を進めるべきだ」としてカジノ依存からの脱却を促した。
習主席がマカオに到着した19日昼。市内中心部の老舗カジノでは半数近くのテーブルに客がいなかった。「平日の昼でもこんなに客が少ないのは初めて」と広東省から訪れた60代の男性が言う。
習指導部が進める反腐敗運動は、中国で唯一賭博が合法な「カジノの都」を直撃している。右肩上がりが続いた賭博業収入は6月以降、6カ月連続で前年割れが続き、2014年通年でも13年の3600億パタカ(約5兆4千億円)を下回る公算だ。7〜9月期の域内総生産(GDP)も全体の5割近くを占めるカジノの不振で、前年同期比2.1%減と5年ぶりのマイナス成長となった。
香港の英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは17日、マカオ経由の海外への資金逃避を防ぐため、中国の公安当局がクレジットカードの使用履歴へのアクセス権の取得など対策強化を検討していると報じた。
中国からのマネー流入で住宅価格が高騰し、地元住民の不満は強い。香港大学の世論調査ではマカオ政府の施策に対する支持率は35%と、不支持率(34%)との差が1999年の返還以降で最小となった。閣僚に多額の退職金を与える法案に反対し、5月には2万人規模のデモが発生した。マカオ政府トップの崔世安行政長官は20日、「調和と安定を社会の主旋律にしたい」と語った。
隣接する香港から民主化運動が波及することへの警戒感も強い。習主席は「右の靴に左足を入れる間違ったやり方では、どこにもたどり着かない」と語り、中央政府の統治権が一国二制度の大前提とくぎを刺した。
習主席が19日に空港に到着したときには小雨が降っていたが、出迎えたマカオ政府幹部は誰も傘をささなかった。雨傘が抵抗のシンボルとなった香港の民主派デモを連想させかねないと判断したとみられている。
(マカオ=粟井康夫)
[日経新聞12月21日朝刊P.5]
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