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《石平のChina Watch》中国流「メンツ外交」の背景(ZAKZAK)
http://www.asyura2.com/14/china5/msg/250.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 12 月 16 日 21:29:06: igsppGRN/E9PQ
 

オーストラリアのアボット首相(右)と握手する中国の習近平国家主席 =11月17日(AP)


【石平のChina Watch】中国流「メンツ外交」の背景
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141216/frn1412161410008-n1.htm
2014.12.16 夕刊フジ


 先月15日から23日にかけ、中国の習近平国家主席はオーストラリア、ニュージーランド、フィジーの3カ国を公式訪問し、いくつかの国際会議に出席した。その期間中、人民日報の報道は実に興味深いものであった。

 訪問開始の15日、まず1面で習主席の現地入りを報じ、主席がオーストラリアの新聞紙で発表した文章を掲載した。16日、1、2面の約7割のペースを使って習主席の20カ国・地域(G20)首脳会合出席を大々的に報じ、会議での主席講話を全文掲載。17、18日、1、2面はまたもや習主席によって埋め尽くされた。

 それ以来、22日まで習主席が人民日報の1面を完全占領。23日には1、2面を丸ごと習主席報道に充てた。

 中国最大の官製メディア人民日報が、習主席の外遊報道にどれほどの熱を上げているかがよく分かるが、それは人民日報だけでなく、中国全メディアの傾向である。

 よく考えてみれば、それは実に不思議なことだ。主席の外遊はそもそも、外国の指導者や国民に働きかけるための外交活動のはずだが、人民日報の報道は諸外国を対象としたものではない。

 外国の指導者や国民にしても、人民日報を自宅でとっているわけでもない。報道はどう考えても、中国国内の読者だけを強く意識したものであろう。

 主席の外遊活動を自国民に大々的に報道しなければならない理由は一体どこにあるのか。それを説明してくれたのは、ほかならぬ習主席自身である。

 中国政府が先月28日に開催した「中央外事(外交)工作会議」において、習主席は「外事工作」の目的に関し、「わが国の対外工作は中国の特色である社会主義制度に対する人民の信頼を増強することを旨とする」との発言を行った。

 この一言から習主席が考える「外交」は一般的な意味での外交ではなく、常に国内の体制維持に目を向けているような内向きの外交であることが分かるのである。

 主席発言は要するに、外交的勝利を収めることによって、あるいは外交の場で自信満々の大国を演出することによって共産党体制に対する国民の信頼を高めることこそが、中国外交の最大の狙いだ、ということである。

 つまり習主席自身と中国政府が外交を行う場合、常にその国内向けの宣伝効果を最優先に考えているのだ。中国外交は時々、実利よりもメンツを大事にする場面がよくあるが、その秘密はまさにここにあるのではないかと思う。

 たとえばアジア太平洋経済協力会議(APEC)会議中、北京の空気をよくするために、中国政府が莫大(ばくだい)な経済損失も辞さず、周辺数千の工場を操業停止させたのも、あるいは習主席が日本の安倍晋三首相との会談の冒頭、わざと虚勢を張って尊大な態度をとった理由もこれで分かるであろう。

 要するに彼らにとって、外交はメンツであり、メンツを保つことが体制を守ることなのである。

 このような異質な中国流の外交理念は、中国外交の危険性を増すと同時にその最大の弱点にもなろう。体制維持のために常に国民に向けて「強い中国」を演じなければならないから、中国外交は柔軟性を欠いて冒険的な強硬姿勢に走ることが多い。

 一方、「外交的勝利」に焦って暴走した結果、中国自身の外交的孤立を招くことも往々にしてある。中国外交は決して、よく言われるような老練、老獪(ろうかい)な側面だけではないのである。

 日本としては、中国外交のこうした特異性をきちんと認識した上で、さまざまな駆け引きの場面で、彼らのメンツや焦りを冷静に見極め、うまく利用すればよいのである。

                   ◇

【プロフィル】石平

 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。


 

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コメント
 
01. 2014年12月17日 00:28:17 : zykh8k1TkQ
こいつの目付きから察すると間違いなくオカマだね。 目を反らして気を引く仕草なんか
で解るが女役だ。

02. 2014年12月18日 07:32:24 : jXbiWWJBCA

「米中新時代と日本の針路」
“安倍マジック”と習近平の沈黙

2014年12月18日(木)  加藤 嘉一

 「安倍晋三首相が衆議院選挙で大勝しました」
 「別に驚くことではありません」
 「中国は、大勝後の安倍首相にどう対応していくのでしょうか?」
 「経済政策、歴史認識、安全保障など、密に観察していきます」
 「やはり憲法改正は気になりますか?」
 「日本国内で遅かれ早かれ現行の憲法改正に向けた政治的な動きや世論が現れるであろうことは分かっています。安倍首相がそこに火を付ける可能性のある一人だということも」
 「習近平国家平主席は“安倍大勝”をどう見ているのでしょう?」
 「引き続き対日関係を重視していくでしょう」

 “安倍大勝”から一夜明けた12月15日、筆者は中国共産党中央で“対日工作”を担当する中堅幹部に感想を聞いた。その時のやりとりが上記である。

 本稿は《安倍首相の衆院解散は中国にどう映ったか?》のアップデート版だ。中国の政策関係者や世論が、安倍首相の衆院選大勝(自民291議席、公民35議席、自公合わせて326議席)をどう認識したのかを振り返ってみたい。それを踏まえて、2015年という戦後70周年に当たる節目の年に、日本と中国がどう付き合うべきか、そして指導者として両国を引っ張る安倍晋三首相と習近平国家主席の2人がどのような関係を築くべきかについても考えてみたい。

新華社が報じた安倍勝利の分析

 国営新華社通信や中国中央電視台(CCTV)といった国営メディアは日本で投開票が始まって以降、状況をリアルタイムで追いかけていた。中国世論が日本の政治について高い関心を持っていることを改めて示したと言える。約1カ月前、習主席が北京で安倍首相と会ったばかりということも関係しているだろう。

 12月15日早朝、新華社通信は《“安倍マジック”はあとどのくらい続くのか?》という論評記事を東京発で配信した。この記事は同日同時間帯における新華網のヘッドラインを飾っていた。中国国内で広範に認知されたものとみられる。中国共産党当局の見方や立場をかなり鮮明に反映している記事だけに、以下で詳細にレビューしてみたい。

 自民党が今回の選挙で勝利を収めた要因は複雑である。日本の選挙制度の欠陥、政党政治をめぐる生態の質の劣化、公共世論環境の悪化、一般国民の“安倍政治”に対する危機感の欠如などが挙げられる。そのなかでも、この2年間における安倍首相の“マジック”が果たした作用は小さくない。
 “欠陥”“劣化”“悪化”が具体的に何を指すかは明らかにしていない。

 以下の2つの段落に見られるように、同記事は、経済においても、発言においても、安倍首相が独自の“マジック”を使っていること、その効果が日本経済や社会にとってネガティブであることを指摘している。

 安倍マジックの代表作はアベノミクス。今回の衆院選も“アベノミクス解散”、即ちアベノミクスに対する信任投票だった。しかし、アベノミクスのレトリックや株価の上昇は日本経済が前進するどころか後退している実態を隠すことはできない。
 安倍首相及びその周辺にいる人間はあらゆる“言葉のマジック”を繰り広げている。“侵略無定義論”、慰安婦問題をめぐる“狭義の強制論”、集団的自衛権と“専守防衛”は矛盾しないという論、最近では、排外的な言論も“言論の自由の範疇”だという論まで飛び出している。“安倍式日本語”は日本語の成熟した言語体系を転覆させている。
 この記事は、経済に関する次のことを指摘する。

日本の実質GDPはアベノミクスの2年間、日本円で換算した場合1.5%しか伸びていない。
一方、安倍首相が激しく攻撃してきた民主党政権時代の3年間は、金融危機、大地震、福島原発の放射能問題などに見舞われたにもかかわらず実質GDPは5%以上伸びた。
国際通貨基金によると、2013年の日本経済は17.5%減、2014年も2.5%減となる見込みであること(いずれも米ドル換算)。
アベノミクスの真相は、日本の名目GDPを2年間で1.2兆ドル、即ちメキシコ経済と同じくらい縮小させたこと。
 今回の勝利が安倍首相に新たな政治資源を注入したことは疑いない。それは日本という国家の発展の方向性にも影響を与えるだろうし、国際社会が注視する憲法改正も遅かれ早かれアジェンダになるであろう。“日本を取り戻す”という悲願を達成するために、安倍首相は引き続き内外のあらゆる舞台を利用しながら“マジック”を演じ、あらゆるトリックで民衆を引きつけることだろう。
 このように、大勝後の安倍首相が政治資源をどのように行使するのか、特に日本の国際社会における立ち位置と発展の方向性にも深く関わる憲法改正問題、そして“普通の国家になる”ことへの懸念と牽制も忘れない。

メディアも識者も“不安要素の増殖”と理解

 一方、党政府直属の《工人日報》は12月16日に掲載した記事《安倍首相の選挙勝利はどのような影響をもたらすか?》において、「安倍首相の目的は長期政権の実現にある」としたうえで、以下のように指摘している。

 安倍首相も喜んでばかりはいられない。課題が少なくないからだ。特にアベノミクスが日本経済を復活させることができるのかという問題がある。仮にできなければ、民衆は我慢できなくなるだろう…憲法改正は周辺の安全保障情勢に懸念をもたらし、隣国の反発を招くだろう。隣国との関係が改善されなければ、日本経済の復活にも影響を与え得る。いずれにせよ、安倍首相の選挙勝利が日本の民衆にもたらすものが福音なのか、それとも災難なのか、引き続き観察していく必要がある。
 筆者が見る限り、中国のメディアは対安倍“統一戦線”を張っている。(1)アベノミクスはいまだ不安定で楽観視できない、(2)安倍首相の集団的自衛権や憲法改正をめぐる政策は不安要素、(3)長期政権を狙う安倍首相の言動は不透明で警戒する必要がある、の3つに凝縮される。

 有識者の対安倍観もメディアにおける“統一戦線”とそう変わらない。

 中国人民大学東アジア研究センターの黄大慧主任は北京の都市報《新京報》の取材に応じ、こうコメントしている。

 「今回の勝利で、安倍首相は将来の執政プロセスにおいて、より“覇道”的になるであろう」

 「憲法改正問題だけでなく、安全保障政策における一連の行動は国際社会、特に隣国に“日本は一体どのような道を歩むのか”という懸念を与える。これは中日関係の改善に不利益をもたらし、中日関係の発展に不確定要素が加わることを意味する」。(2014年12月15日)

 経済や安保を含め、安倍首相の政策をポジティブに評価したり、期待したりする声は中国国内にはほとんどないと言っていい。それよりも、安倍首相が大勝し、権力基盤を固める過程を“不安要素の増殖”という観点から捉え、警戒心を示すコメントがほとんどである。

“日本の国家としての発展の方向性”に注目

 筆者が注目するのは、今回の選挙での勝利を経て、中国国内世論が安倍首相の一挙手一投足を“日本の国家としての発展の方向性”という観点から捉え、議論する傾向が格段に強くなったことである。

 その傾向は、安倍大勝から一夜が開けた12月15日、中国外交部が主催した定例記者会見における秦剛報道官のコメントが体現している。

 「我々は日本の衆議院選挙の結果を承知している。日本の軍事・安全保障分野における政策動向は日本の国家としての発展の方向性、地域の安全保障情勢にも関わる問題であり、アジアの隣国や国際社会は高度に注視している。日本が歴史の教訓を深く汲み取り、平和的発展と協力・ウィンウィンという時代の潮流に順応し、地域・国家の正当・合理的な安全保障的関心を尊重されることを望んでいる。日本が平和的な発展の道を歩み、この地域の平和と安定に建設的な役割を果たされることを期待する」

 冒頭の幹部のコメントとも関係するが、習主席率いる共産党指導部は、最長で2018年まで付き合うことになる安倍首相の政治的動きや政策主張をじっくり観察しながら、今後の対日政策を検討・行使していくつもりなのだろう。だからこそ、習主席は現段階で自らの“対日観”を打ち出そうとしない。戦略的に沈黙を保っている。

 筆者は、中国と日本の指導者や政府、そして民間人が“国家としての発展の方向性”をテーマにとことん語り合うことは、日中間の相互理解・信頼醸成・協力関係を推し進めていく上で不可欠な通過点だと思っている。

 中国と日本の政策関係者や国内世論は、次のような時に敏感に反応する。

 安倍首相が靖国神社に参拝したとき、憲法改正に触れたとき、集団的自衛権の行使に踏み切ったとき…

 習主席が防空識別圏を設定したとき、中国の夢・アジア・パシフィックの夢を掲げたとき、尖閣諸島沖に公船を派遣したとき…

 日中両国の官民が相手国の“国家としての発展の方向性”に関心を抱いているからこその反応である。決してネガティブなことではない。

首脳同士は胸襟を開いて対話を

 2008年5月、中国の胡錦濤国家主席(当時)が日本を公式訪問し、日本の福田康夫首相(当時)と会談し、「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明(第4の政治文書)を発表した。この第4条には以下のように書いてある。

4.双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認した。双方は、互いの平和的な発展を支持することを改めて表明し、平和的な発展を堅持する日本と中国が、アジアや世界に大きなチャンスと利益をもたらすとの確信を共有した。
(1)日本側は、中国の改革開放以来の発展が日本を含む国際社会に大きな好機をもたらしていることを積極的に評価し、恒久の平和と共同の繁栄をもたらす世界の構築に貢献していくとの中国の決意に対する支持を表明した。
(2)中国側は、日本が、戦後60年余り、平和国家としての歩みを堅持し、平和的手段により世界の平和と安定に貢献してきていることを積極的に評価した。双方は、国際連合改革問題について対話と意思疎通を強化し、共通認識を増やすべく努力することで一致した。中国側は、日本の国際連合における地位と役割を重視し、日本が国際社会で一層大きな建設的役割を果たすことを望んでいる。
 互いの“国家としての発展の方向性”が平和的であり、それを支持する政治や世論が“永久に不滅”だとは筆者は思わない。双方向かつ不断のコミュニケーション無しに、日中両国が“相互的平和主義”を共有し続けることは困難であろう。

 相手国に対する不信感や警戒心は、お互いに素直に表現したらいい。行き過ぎた遠慮は誤解を増殖させるだけだ。

 筆者は、安倍首相と習主席にはぜひ互いの“国家としての発展の方向性”をめぐる議論を積極的に展開してほしいと思っている。仮に安倍首相が2018年まで首相の地位にある場合、それは習主席の第2次政権の2年目までの時間を共にすることを意味する。あと4年もあるのだ。

 安倍首相・習主席はともに、国家としての影響力や発言権を対外的に向上させることに強い関心を抱いているように筆者には見える。ドーンと構えて、日中関係を長期的に発展させるためのガチンコ議論を展開してほしい。11月の“日中首脳会談”がその第一歩であった――と後々言われるようになることを、筆者はひとりの有権者として願っている。

 安倍首相と習主席が対話を図るうえで大切なことは、相手側の細かい動きに過剰反応しないこと、それによって交流の頻度が落ちたり、チャネルが閉じてしまったりするのを回避することである。

 12月13日、習主席は“南京大虐殺犠牲者国家追悼日”の式典に出席。談話を発表して、「南京大虐殺の事実を否定しようとしても、30万の犠牲者と13億の中国人民、平和と正義を愛する世界の人々が許さない」と日本を牽制した。

 筆者が知る限り、11月の“日中首脳会談”が終了した後、日本の外交関係者たちの多くが“南京大虐殺犠牲者国家追悼日”の式典に習主席が出席し、談話を発表するかどうかに注目していた。それをもって、習主席が日本との関係を重視しているかどうかを測ろうとしていた。

 しかし、習主席が出席し、談話を行った事実をもって“習近平は反日”という認識を固定化させてしまっては対中関係を発展させようがない。筆者は、日本との関係が良かろうが悪かろうが、習主席はこの式典に必ず出席するタイプの政治家であるとみている。加えて、習主席でなくとも、昨今の中国を統治する政治家であれば、同様の場で同様の発言をすることは必至だ。

 逆もまた然りである。安倍首相が中国に対して強硬な発言をしたり、集団的自衛権の行使や憲法改正など中国の警戒心を煽るような政策を実行することをもって、“安倍晋三は反中”という認識を固定化させてしまうとしたら、それは危険なことである。

 筆者から見れば、安倍首相も習主席もそれぞれのやり方で対中関係・対日関係を重視しているし、日中関係を前進させるべく内政と外交、信念と国益の狭間でもがいている。大切なことは、表面的な動向に一喜一憂することなく、本心で何を考えているのかをお互いに知るための対話に貪欲であること。そして、相手国の指導者が国内政治において少しでも対日重視・対中重視を主張できるように、前向きなコメントを自らの口から発することではなかろうか。

 2015年の日中関係は、両国指導者間のそういうやり取りに期待したい。

このコラムについて
米中新時代と日本の針路

 「新型大国関係」(The New Type of Big Power Relationship)という言葉が飛び交っている。米国と中国の関係を修飾する際に用いられる。

 「昨今の米中関係は冷戦時代の米ソ関係とは異なり、必ずしも対抗し合うわけではない。政治体制や価値観の違いを越えて、互いの核心的利益を尊重しつつ、グローバルイシューで協力しつつ、プラグマティックな関係を構築していける」

 中国側は米国側にこう呼びかけている。

 ただ米国側は慎重な姿勢を崩さない。

 「台頭する大国」(Emerging Power)と「既存の大国」(Dominant Power)の力関係が均衡していけば、政治・経済・貿易・イデオロギーなどの分野で必然的に何らかの摩擦が起こり、場合によっては軍事衝突にまで発展しうる、というのは歴史が教える教訓だ。

 米国が「中国はゲームチェンジャーとして既存の国際秩序を力の論理で変更しようとしている」と中国の戦略的意図を疑えば、中国は「米国はソ連にしたように、中国に対しても封じ込め政策(Containment Policy)を施すであろう」と米国の戦略的意図を疑う。

 「米中戦略的相互不信」は当分の間消えそうにない。それはオバマ=習近平時代でも基本的には変わらないだろう。

 中国の習近平国家主席は米カリフォルニア州サニーランドでオバマ米大統領と非公式に会談した際に「太平洋は米中2大国を収納できる」と語り、アジア太平洋地域を米中で共同統治しようと暗に持ちかけた。これに対してオバマサイドは慎重姿勢を崩さない。世界唯一の超大国としての地位を中国に譲るつもりも、分かち合うつもりもないからだ。

 互いに探りあい、牽制し、競合しつつも、米中新時代が始まったことだけは確かだ。

 本連載では、「いま米中の間で何が起こっているのか?」をフォローアップしつつ、「新型大国関係」がどういうカタチを成していくのか、米中関係はどこへ向かっていくのかを考察していく。その過程で、「日本は米中の狭間でどう生きるか」という戦略的課題にも真剣に取り組みたい。

 筆者はこれまで、活動拠点と視点を変化させながら米中関係を現場ベースでウォッチしてきた――2003〜2012年まで中国・北京に滞在し、その後は米ボストンに拠点を移した。本連載では、筆者自身の実体験も踏まえて、米中の政策立案者や有識者が互いの存在や戦略をどう認識しているのかという相互認識の問題にも、日本人という第三者的な立場から切り込んでいきたいと考えている。政策や対策は現状そのものによって決まるわけではなく、当事者たちの現状に対する認識によって左右されるからだ。

 日本も部外者ではいられない。どういう戦略観をもって、米中の狭間で国益を最大化し、特にアジア太平洋地域で国際的な利益を追求し、国際社会で確固たる地位と尊厳を獲得していくか。「日本の針路」という核心的利益について真剣に考えなければならない。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20141217/275271/?ST=print
 


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