http://www.asyura2.com/14/china5/msg/221.html
Tweet |
深刻な大気汚染で、北京の象徴・天安門もかすんでいる(共同)
【斬り捨て御免 日中韓経済】消えた北京の「APECブルー」 中国の大気汚染は「危険水準」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141206/dms1412061540002-n1.htm
2014.12.06 夕刊フジ
★(4)
11月7日から12日まで、中国の首都・北京において、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催された。北京といえば、微小粒子状物質PM2・5をはじめとする「大気汚染」のひどさで有名な都市である。中国共産党政府は、APECで外国の要人を迎えるに際し、共産党首脳部が恥ずかしい思いをしないようにという「メンツ」のため、大々的かつ強制的な大気改善策を実施した。
具体的には、河北省内の2386の企業について「生産停止」を命じ、2445件の工場建設工事も中断させたのだ。さらに、11月3日から12日まで、北京市内に進入可能な自動車のナンバーを制限し、市内245カ所の主要道路、3000の建築物について清掃を行い、何とか「見栄え」を整えたわけである。
大規模「美化キャンペーン」により、APECは「APECブルー」と揶揄(やゆ)される、晴れ渡った北京の下で開催される運びになった。
ところが、APEC閉幕後は、またたく間に大気汚染が元に戻ってしまった。11月29日には、PM2・5を含む汚染指数が、在中米国大使館の計測で、早くも「危険水準」に達したのである。
「危険水準」の大気汚染がいかなる水準かといえば、昼間でも街が濃霧に包まれ、自動車を運転する際にヘッドライトをつけなければならない状況だ。(無論、健康被害もすさまじいことになる)
1980年以降に世界に蔓延(まんえん)した「グローバリズム」は、利益を最大化することを主目的とする。とはいえ、国民の方は、何も「利益」のためばかりに生きているわけではない。自分たちの生活空間の環境を維持し、より快適、安全に暮らしていくこともまた、国民は欲する。少なくとも「民主主義国」の場合、国民は民主的なプロセスにより、自分たちの生活空間を守るため、企業の利益追求を「規制」することができるのだ。
ところが、中国は共産党独裁国家であり、人民に政治的権利はない。結果的に、企業は人民の生活環境など無視し、ひたすら利益追求のための活動を拡大していくことが可能になってしまう。一応、中国にも環境規制はあるのだが、企業が地元の共産官僚と結びつくことで、普通に「無視」できてしまうのだ。
ある意味で、中華人民共和国とは「利益」のために企業が「自由」にビジネスを展開するという、グローバリズムを体現したような国家なのである。人民に主権が存在しない以上、中国の大気汚染を改善するためには、365日、毎日APECを開催するしかないだろう。
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由』(ワック)、『愚韓新論』(飛鳥新社)、『2015年 暴走する世界経済と日本の命運』(徳間書店)など多数。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。