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中国で各種日用品に「反日」をプリントしたグッズがブームに(週刊ポスト)
http://www.asyura2.com/14/china5/msg/131.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 11 月 04 日 21:00:25: igsppGRN/E9PQ
 

             反日メッセージが書かれた中国のマスク


中国で各種日用品に「反日」をプリントしたグッズがブームに
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141104-00000015-pseven-cn
週刊ポスト2014年11月14日号


 中国では「反日」はもはや日常風景の一部。大した信念など露も無く、お祭り気分か、はたまた話題作りのために行なう反日行為が目立っている。
 
 例えば南京では、上半身裸の女性の身体に「保釣(保衛釣魚島=釣魚島を守れ)」の文字とともに、中国国旗や尖閣諸島をボディペインティングするイベントが開催された。反日を隠れ蓑にすれば、きわどいアートも許されるというわけである。
 
 日本政府が尖閣国有化を行なった2012年秋以降は、各種日用品に反日メッセージをプリントしたグッズがブームに。「釣魚島、中国的(釣魚島は中国のもの)」と書かれた反日マスクは大気汚染も手伝って購入者が続出した。
 
 1枚3元(約54円)の布製で、これであのすさまじいPM2.5から身を守れるのかは甚だ疑問。愛国心をすかさず商売にしてしまうスピードには脱帽である。

●写真/西谷格(ジャーナリスト)


 

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コメント
 
01. 2014年11月05日 12:47:41 : PpY2FGsUbg
 無知なシナ人にはもう言うことはない!
好きにやれ。

02. 2014年11月06日 07:21:44 : jXbiWWJBCA

どう中国と付き合うか 日中首脳会談は実現するのか、両国は何を話すべきなのか
【第9回】 2014年11月6日 ダイヤモンド・オンライン編集部
両国の“余裕のなさ”が問題表面化の原因
島には蓋、靖国は周恩来ロジックの認識を
——朱建榮・東洋学園大学教授インタビュー
いよいよ11月10日から、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が中国北京で開催される。日中両国は最悪とまで言われる関係を改善するため、安倍晋三首相と習近平総書記の首脳会談開催を調整しているが、本稿執筆現在でも開催されるかは不透明だ。この機会を逃せば、今後、日中関係は改善のきっかけすら見出せなくなる危機的な状況に陥るという声も漏れる。両国間にある問題をどう乗り越え、関係改善へ進めばいいのか。朱建榮・東洋学園大学教授に話を伺った。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

冷戦終結で問題が表面化
日中関係は倦怠期


しゅ・けんえい
東洋学園大学人文学部教授、学習院大学で政治学博士号を取得。専門分野は中国の政治外交史。1957年生まれ。中国上海市出身。華東師範大学卒業後に来日し、東京大学非常勤講師、東洋女子短期大学助教授を経て、現職。 主な著書に『毛沢東の朝鮮戦争――中国が鴨緑江を渡るまで』『江沢民の中国――内側から見た「ポストケ小平」時代』『胡錦濤対日戦略の本音――ナショナリ ズムの苦悩』『中国で尊敬される日本人たち:「井戸を掘った人」のことは忘れない』など。
――この2年間の日中関係は国交正常化以降、最悪の状態だと言われます。両国間にある主な問題は尖閣諸島(中国名:魚釣島)を巡る領土問題と、歴史認識問題の2つであると指摘されています。この2年間の両国関係をどう見ていますか。

 確かに首脳が一度も会っていないし、相互訪問をしていません。それに各レベルでの交流もストップしていて、島の問題によって緊張も高まりました。そういうことからすれば、1972年の国交正常化以来、最悪だということは言えます。

 2つの個別の問題は置いておいて、そもそも日中は国交正常化前まで、互いによく知らなかった。あったのは、相手に対する好奇心や憧れだった。戦争を経て、お互いに歩み寄ったわけですが、この期間は夫婦で言えば、恋愛期間と言えます。結婚まではお互いに良いところだけを見るもの、悪いところはある程度目を瞑るものです。

 日本は戦後、贖罪意識も強く持っていたし、中国は文化大革命の後、発展優先で日本から経済援助も欲しかった。それで国交正常化という結婚をしたわけだが、その後は本当に関係が親密化しました。日中間の経済貿易学は往復で3000億ドルを超えています。世界を見渡して、二国間で往復の貿易額が3000億ドルを超える関係というのは、4〜5組くらいしかない。両国にとって非常に重要な貿易相手国となったのです。留学生などの人的交流も進みました。

 しかし、それまで相互理解がないぶん、結婚してからは驚きと戸惑いの連続でした。「そんなはずはない」「こんなはずじゃなかった」という話はたくさんありました。実際の結婚でも「寝ているときにこんなにいびきをかくの!?」と驚くなんていうことはあるでしょう(笑)。日中関係も国交正常化してしばらく経って、今は倦怠期なのかもしれません。

 これほど問題が大きくなってきた背景には、ひとつは冷戦の終結で、東アジア全体の関係性の変化が日中関係に大きく影響しています。冷戦中は米ソ対立のなかで、中国もソ連と対立する関係だった。日中においては、島の問題よりもソ連の脅威にどう対抗するかということが共通の課題だったのです。それに歴史問題よりも、今、目の前に進んでいる交流を優先しようということだった。

 日中間のさまざまな違いや今表面化している問題は、冷戦の米ソ対立のなかで埋もれていたものです。それが冷戦終結後、徐々に覆い隠されたものが表面化してきました。

 もうひとつの背景は、国交正常化から40年以上経って、両国の力が均衡してきたことです。1990年は日中のGDPは8対1、2000年は4対1でした。しかし、直近の10年間で中国は日本を超えました。日本は中国に対する余裕と自信がなくなってきたのだと思います。日本人特有の心配、懸念、危機意識が前面に出てきた。自信喪失、疑心暗鬼になっています。

 もちろん、中国にも多くの国内問題があり、体が大きくなったわりに、それに相応しい“大人の国”には成りきれていません。かつての戦争による被害者意識を引きずっているところもある。大人であれば、日本は国交正常化の際に謝罪をしたのだから、前を向いていくものでしょう。中国も複雑な国内問題を抱えているため、日本に対して余裕を持った対応ができていないという面もあると思います。

 国交正常化の際、周恩来首相は「日中は互いに小異を残して大同につく」と言いました。これはお互いに違いや問題はいくつかあるが、突き詰めようとしてもそれらを解決することはできないので、蓋をして、暴発しないようにしようということです。経済や文化の交流を進めて、相対的にそれらの問題を小さいものにしていこうと。

 ケ小平氏が訪日したときに、その精神で領土問題は次の世代に解決をゆだねようということになった。両国ともに受け入れられる解決策を考え出す知恵が足りないから、お互いに触らないということになった。それを田中角栄首相が受け入れたわけです。

 しかし、日本の余裕と自信の喪失、中国での国内問題の影響などに加えて、両国でのナショナリズムの高まりがあり、島を野田佳彦前首相が国有化に踏み切ったことがきっかけで、一気に不満が爆発しました。

島を発火点にしない
参考になる漁業協定

――指摘されている2つの原因のうち、領土を巡る問題は主権に関わるものです。ケ小平氏と田中角栄首相が「次の世代に解決方法をゆだねる」と言っても、主権に関わるという問題の性質自体は変わりません。これは多くの専門家が指摘するように、もはや解決できる問題ではないのだと思います。中国側は今回のAPECを前に「島の問題が解決できなければ首脳会談は行わない」と主張していると言われます。解決できない問題を、どう乗り越えればいいのでしょうか。

 中国は「島の問題を白黒つけろ、中国に島を渡せ」と言っているわけではありません。もう一度、島を巡る問題が存在することをお互いに認め合って、その上で、もう一回蓋をして、棚上げしようと言うのが中国の主張です。

 日本は国有化して、領土を巡る問題が存在するということすら認めなくなった。70年代から80年代は、お互いに「まあまあ、触らないようにしましょう」という両国間の配慮があった。しかし、日本は島の領有権については中国は関係ないだろう、という態度をとるようになったから、中国は我慢できなくなった。

 中国は問題の解決を求めているわけではない。問題が存在することを認めてほしいということです。1972年の国交正常化のときは、田中角栄首相は自らすすんで島の問題をどうするか、と切り出した。今は問題もないし、棚上げもない、日本の領土だ、と言っている。中国にしてみれば、主張していかないと、言うことすらできなくなってしまうと考えている。

――日本の閣僚は、「領土問題は存在しない」と繰り返し発言しています。今になって「領土問題がある」とは言えないのではと思います。先日、毎日新聞が、島の問題を巡って日本が「中国は独自の主張をしていることは承知している」と表明する、という案を日中間で協議していると報じました。これは先生のおっしゃる、蓋をする、ということと合致するのでしょうか。

 表現を巡って、どう合意するのかというのはわからないです。毎日新聞が報じた内容は、ひとつの知恵だと思います。

 大切なのは、島の問題を発火点にしないということです。島の周辺で、衝突が起きないようにコントロールすること、これがポイントです。

 実際に日中は漁業協定の運用において、島をめぐる問題をコントロールすることはできています。島の周辺の12海里は領海ですから、漁業協定でも領海のなかには触れない。領海周辺の海域は良い漁場なので、日中の漁船は毎年たくさん操業しています。そこでは、共同管理が行われています。

 漁業資源のこともあるので、漁船が来すぎないようにコントロールしたり、問題を起こしたときの対処も、コントロールして、ルールがあります。たとえば中国の漁船が問題を起こしたときは、中国の当局が管轄する。逆に日本の漁船が問題を起こした場合は日本の当局が管轄する。すなわち、島を巡ってのお互いの主張があることを前提に、共同管理しているわけです。

 もし、日本が領有権を前面に出しているなら、中国の漁船が問題を起こしたときに、中国の当局が管轄するというルールにはしないはずです。共同管理ということ自体もできないでしょう。

――先ほど先生は「経済や文化交流を大きくしていき、島の問題を相対的に小さなものにすることが解決のひとつの方法だ」という、日中両国の先人たち、かつての指導者らが考えた話を紹介されました。漁業協定も、ある意味、共同管理で両国がメリットを大きく育て、領有権という問題を相対的に小さなものにしていこうというものなのでしょうか。

 相互依存がもっと大きくなれば、島は両国にとって「とるに足らないもの」というものになるかもしれません。誰も住んでいないですし。そうすれば、先ほど申し上げたような、両国の余裕が再び出てくるでしょう。

両国が失った“余裕”
高まるナショナリズム

――両国間の関係改善へ向けた障壁として、先生はナショナリズムの高まりについて指摘されました。

 この100年間で見れば、日中両国には常にナショナリズムが存在しました。中国は20世紀前半、欧州諸国や日本などに領土を奪われていた。国が滅んでしまうという危機感から、ナショナリズムが高まったという歴史があります。日中戦争がきっかけで、全中国にナショナリズムが盛り上がりました。

 現在は、中国は戦争の被害者であるという意識がベースとなって、「戦時中は多くの国に虐められたが、今度はわれわれが主張する番だ」という思考になっています。そこに経済の急成長という上昇期が結びついて、ナショナリズムが高まっているのだと思います。

 一方の日本は、大東亜共栄圏を掲げてアジア諸国に進出していったことがまず挙げられるでしょう。戦後、日本は高度成長後のバブル崩壊で、自信と余裕を失い、諸外国に対する警戒心が大きくなっていった。「外国にとやかく言われたくない」「他の国がどう言おうが関係ない」「われわれが正しい」、そういう考えから、ナショナリズムが高まっていったと考えられます。

 両国共通なのは、インターネットでの少数の過激な言動が目立っているところでしょう。これに影響を受けてしまっている。お互いが、一部の言動を全体の考え方だと捉えてしまう。こうしてナショナリズムが盛り上がってしまい、正面衝突してしまっているのが、今の状況ではないでしょうか。

――先ほどから両国間にはかつての「余裕」がないということを指摘されています。もう少し具体的に言うと、どのようなことなのでしょうか。

 私は28年前、1986年に日本に来ました。1985年に当時の中曽根康弘首相が靖国神社に参拝した後でした。当時、中国ではものすごい日本批判が巻き起こっていました。たとえば、上海のバス停では、バス停の看板に猛烈な批判を書かれた壁新聞が張られていました。また、上海の小学校の壁には、日本の軍帽をかぶって、血の滴った軍刀を持った中曽根康弘首相の絵が描かれていました。

 日本がどう対応したか。日本は「日本に対してそういう捉え方をしてしまう中国の発展に貢献するために、もっと援助をしよう」となっていました。非常に余裕のある対応でした。さらに後藤田正晴官房長官の「靖国神社参拝は控える」という談話も出された。

 今、もしこういうことをしたらどうなるか。「中国の圧力に屈した」となる。今は決してこういうことはできないと思います。

なぜ中国は靖国参拝を問題視するか
認識したい周恩来の人民説得ロジック

――しかし、靖国問題は両国間で大きな問題となってしまいました。島の問題は主権の問題で「お互いに触らない」というのは、ひとつのプラグマティックな解決法のように思います。では、靖国問題はどのように乗り越えるべきなのでしょうか。安倍首相をはじめ現政権は自ら「今後参拝しない」とは言わないと思います。

 なぜ中国は日本の首相が参拝することを問題視するのか、ということを考えなければなりません。それは、周恩来首相が日中国交正常化のとき、中国の国内に向け、日本との関係を改善することを人民に説得するプロセスと深く関係しているからです。

 日本との国交正常化を前に、毛沢東と周恩来は、日本から賠償金を得る交渉は、長いものになるし、今後、日本と対等の関係を構築していくことを考えると、日本から賠償金を取ると、その関係性を結ぶことは難しくなると考えました。

 そうして、日本からは賠償金を取らないということを決めました。しかし、問題は実際に日本の侵略によって被害を受けた人民を、どう説得するかといことです。日本からの国家賠償を受け取って、配分することを人民は期待していました。

 そこで、賠償を取らない論理として、戦争で悪かったのは首謀者であり、大半の日本国民はもちろん、中国に渡った将校や兵士は被害者であり犠牲者だったと説明したのです。しがたって、恨むべきは侵略を進めた首謀者だけだ、と。

 そしてこの指導者というのは、A級戦犯とほぼ重なる。そこで、このA級戦犯が悪く、責任を負わせると中国人民に説明したのです。今生きている日本人を恨まず、賠償も求めない、と。こういう論理で周恩来は人民に説明したのです。

 しかし、1978年に靖国神社にA級戦犯が合祀されました。それ以来、天皇陛下もそれ以降、参拝していません。そのなかで、日本の現役首相が参拝するというのは、中国が国家賠償を放棄した論理が崩れてしまうのです。

 中国としては、日本の首相と官房長官、外務大臣の政権三役が参拝したら、政治問題化するというスタンスです。日本のこれまでの歴代首相は、裏で非公式に靖国参拝をしないという趣旨の意思表示をしてきました。今は、安倍首相がいつ参拝するのか分からない状況です。中国が求めているのは、参拝しないという非公式な意思表示です。

 今、中国では猛烈な権力闘争をしています。胡耀邦氏が日本に対して弱腰だ、親日過ぎるということで失脚につながった歴史があるように、対日姿勢は非常に重要なのです。

変化しつつある対日感情
両国が再確認すべきこと

――日中両国に問題があるように思います。関係改善へ向けて中国が取り組むべきことをお教えください。

 中国では解放されていなかった時代の、日本に対するイメージが今でもそのまま保たれています。いかに日本が残虐だったかということを前面に出した教育がされてきて、それが反日を煽っていたという背景があります。

 しかし、最近は徐々に日本に対する意識が変わってきています。2005年の反日デモに参加した人たちは、主にホワイトカラーと大学生だった。しかし、2012年の反日デモの際は、ホワイトカラーと大学生はほとんど参加していません。90%以上が地方からの出稼ぎ労働者でした。

 大学生やホワイトカラーの多くは、すでにインターネットや、実際の日本人との交流を通して、日本の姿を知っているのです。彼らは、中国が抱えている環境問題や社会の公平性の問題、食の安全、高齢化問題などの解決には、日本の仕組みが参考になるということを、インターネットなどのさまざまなルートで知るようになっている。むしろ、日本の方が優れているのではと気づく人も増えている。だから、かつてのように極端な反日行動はしなくなっています。

 一方の出稼ぎ労働者たちは、内陸から沿岸部に働きに出ていて、日本人と接したこともないし、日本に関する情報もほとんど知らない。そうすると、小さなきっかけで日本に対する反発が爆発する。もちろん、その爆発は反日感情だけではありません。日々の待遇の不満、格差の問題もあります。

 中国当局はこうした状況を問題視していて、デタラメで極端な反日ドラマは放送しないように、去年の春頃から指導しています。また、抗日戦争記念館では、拷問に関する模型などは撤去するようになっています。

 中国当局は、国交正常化以降、日本が中国に対して行ってきたODAや民間の技術援助、農作物の品種改良、さまざまな援助を客観的に評価することが大事だと思います。また、これは日本に対しても言えることですが、お互いが、国の経済や社会の発展のために必要な存在であるということを認識することです。最大の貿易相手国であり、大事なパートナーであることを忘れてはいけないと思います。
http://diamond.jp/articles/-/61592


03. 2014年11月06日 07:36:53 : jXbiWWJBCA

「米中新時代と日本の針路」
日中首脳は“立ち話”をするくらいがちょうどいい

2014年11月6日(木)  加藤 嘉一

 本連載では、11月10〜11日に北京で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の際に日中首脳会談が実現することに対する市場や世論の期待が高まるなか、テーマとして日中関係を集中的に扱ってきた。

 《もし日中首脳会談が行われなかったとしたら》と題した1回において、筆者は以下の問題を提起した。

 「私たち民間には、日中首脳会談を通じてどんな問題を解決したいのか(動機)、安倍首相は習主席に対して何を伝え、両首脳は何をどこまで話し合うべきか(内容)、首脳会談後の日中関係はどうあるべきか(展望)、などに関する問題意識をあらゆるチャネルを通じて政府関係者、そして“暴走”する世論に対して発信していくことが求められる」

 2回目《中国指導部は日中首脳会談の実現をどう捉えているのか?》では上記の「動機」を、3回目《安倍晋三・習近平両首脳は会談で何を話し合うのか?》では「内容」を取り上げた。APEC首脳会議前の最後の回になる今回は、「展望」の一歩手前、すなわち、日中関係を長期的・安定的に発展させるために、安倍晋三・習近平両首脳による会談はどうあるべきなのか、という問いについて考える。

福田前首相を北京に迎える

 まず、これまでと同様に、日中関係を巡る最新の動きをレビューしておこう。

 10月28日、程永華・駐日中国大使が北海道札幌市を訪れ、北海道日中友好協会設立50週年を祝うレセプションで基調講演をした。タイトルは《民間友好を強化し、中日関係を展望する》(中国外交部サイト参照)。程大使は北海道が日中交流において果たしてきた役割を評価した上で、昨今の日中関係について以下のようにコメントした。

 「中日関係は依然として困難な局面にあり、両国の交流と協力に影響を与えている。歴史と領土の問題が中日関係の病害となっている状況は解消できていない。我々は、関連する問題を日本側が適当に処理し、実際の行動で両国関係の政治的障害を克服し、中日関係を正常な発展の軌道に戻すべく努力してほしいと願っている。中国側が中日関係を重視する政策は変わっていない。これまで同様、4つの政治文書の基礎に立った上で長期的、安定的、健康的な中日関係を発展させていきたい。両国の交流と協力を深化させ、両国の国民により多くの利益をもたらしたいと考えている」

 対日関係を巡る中国指導部の現在の基本的立場と認識を知る上で重要なコメントである。筆者は、程大使の発言は基本的に前向きなものであり、中国側としても、APEC首脳会議の舞台を含め、あらゆる機会を通じて対日関係を改善させる必要性を感じており、そのための用意をしていると理解した。

 10月29日には、福田康夫元首相が習近平国家主席と北京の人民大会堂で会談した。福田元首相は、中国政府が主催する国際会議「ボアオ(博鰲)アジアフォーラム」の理事長として訪中した。習主席と面会した後、記者団の取材に応じた福田元首相は「日中の2国間についての話は一切していない」と述べている。だが、中国共産党指導部は、対日関係の改善を念頭に福田元首相を北京に迎え入れたと見られる。同日夜、中国中央電視台(CCTV)が、習主席と福田元首相が友好的な雰囲気の下で握手し、会談している模様を伝えているからだ。

 APEC首脳会議を前に、習主席と福田元首相がこのタイミングで会談したことによって生じるデメリットは何もないだろう。

王毅発言を楽観視してはならない

 同じく10月29日、中国外交部が主催したフォーラムにて、王毅外相が《北京APEC:中国は準備を整えた》と題する基調講演をした。質疑応答のなかで、日中首脳会談の開催に関して問われると、王毅外相は以下のように答えた。

 「来られた方は皆、お客さんだ。我々には、主催国として、全力を挙げてすべての客人をもてなす習慣がある。中日関係の正常な発展に影響を与える問題と障害が存在するのは客観的な事実であり、避けては通れない。私は日本の指導者・政府が問題の存在を正視し、問題を解決するために誠意を示されることを望んでいる」

 この王毅外相の発言を中国メディア・世論は大きく取り上げた。「来られた方は皆お客さんだ」という文言に注目し、「習近平国家主席はやはり、安倍晋三首相とも会うにちがいない」(北京在住の日中関係ウォッチャー)という見方をした中国人民も少なくないようだ。

 だが筆者自身は、この王毅発言を楽観的に解釈すべきではないと考える。あくまで、APEC首脳会議に参加するために北京を訪れるすべての客人を平等にもてなす、という意味で、安倍首相を特別扱いするとは言っていない。むしろ、安倍首相を特別扱いしない、言い換えれば、「中国との関係において問題と障害を抱える日本の首相に対しても、他国の首脳と同様の礼儀を果たす」ということを暗示しているに過ぎない。

 この発言を基に「日中首脳会談は行われる」と結論づけるのは拙速だ。現在に至るまで安倍首相と接触することに慎重な姿勢を崩さない中国側のスタンスを楽観視しすぎているからだ。希望的観測が入りすぎているとも言える。

中国の有識者は会談後の展望に悲観的

 中国で日中関係を研究する有識者は「APEC首脳会議における日中首脳会談と中日関係の発展」という“展望”に関わるテーマをどう捉えているのだろうか。

 11月1日、香港フェニックステレビが放映している人気トーク番組《一虎一席談》は「APEC首脳会議で中日首脳会談は実現するのか?」というテーマを取り上げた。

 同番組に出演した日中関係の専門家、林暁光・中央党校教授と劉江永・清華大学教授の発言は、昨今の中国有識者たちの考えを代表しているように思われる。以下に引用しよう。

 「APEC首脳会議の焦点を中日首脳会談に集中させるのは安倍首相の策略だろう。中国はホスト国であるから、北京を訪れた各国の首脳たちと会うことは避けられない。礼儀の問題でもある。しかし、中日関係が現在のような状況にあるなか、短い儀礼的な会談を1回したとしても、実質的な問題に触れることはできない。よって、会談が将来の中日関係に大きな、根本的な影響を与えることはないであろう」(林暁光教授)

 「私は中日関係が迅速に改善することを望んでいる。だが、これまで接触した日本人に“APECの場で両国首脳が会談したとして、中日関係は改善するか”“安倍首相はこれまでのやり方を変えるのか”“たとえば靖国神社の参拝を控えるのか”と聞いてきたが、ポジティブな返答は1つもなかった。そうだとすれば、中国政府としても、会談をすることによるメリットとデメリット、そして今後生じうる影響を計算せざるを得ない」(劉江永教授)

「大切なのは、日本側がどれだけ誠意を示すか」

 筆者が最近1カ月の間に接触する機会を持った中国の政府関係者や有識者たちの見解も交えた上で、中国の対日政策に関わる人たちの認識をまとめると、以下の3つに集約される。

日中首脳会談は行われるに越したことはないが、中国側が無条件に会談に応じることはあり得ない。中国側が日本側に求める条件(尖閣と靖国)が満たされて初めて、最終的に会うか会わないかを判断できる。
日本は政府も世論も両首脳が会うか会わないかだけにとらわれている。中国はそんな日本側の状況に流されるべきではない。安倍首相の意図を冷静に見極め、得るものを得たと判断できた場合に限って会談に応じるべきだ。
首脳会談自体はそれほど重要ではない。日中関係の未来に大きな影響を与えることもない。大切なことは、会談を詰めていく過程でどのようなやりとりをし、日本側がどれだけ行動と誠意を示すかだ。
 筆者が本原稿を執筆している現在、APEC首脳会議があと1週間と迫っている。中国側はいまだに、日中首脳会談実現に向けた具体的な示唆も、安倍晋三首相を迎えるにあたっての歓迎の言葉も発していない(オバマ米大統領の訪中に対する歓迎、及び、米中首脳会談の実現については、中国政府としての立場を既に正式に表明している。参考記事:「スーザン・ライス訪中をレビューする:オバマ訪中の地ならし」)。習近平国家主席は11月10日の直前まで、安倍首相との会談を行うか行わないか、行うとしたらどのように行うかに関する最終的判断を下さないであろう。

首脳会談の4つのシナリオ

 いまこそ、「習主席は安倍首相とどう会うのか」というディテールが戦略的に重要な意味を持ち始めている。筆者が知る限り中国側は、日本側の出方によっては、公式な首脳会談を行うことも選択肢に含めて、準備を進めている。どのように会うのか。「会談の有無、形式」について4つのシナリオを考えてみたい。

会談は一切なし:10月16日、イタリア・ミラノで開かれたアジア欧州会合(ASEM)の晩餐会において安倍首相と李克強首相が握手をし、簡単な挨拶をした。安倍首相と習主席の接触がこれと同じ程度ならば「日中首脳会談は行われなかった」と解釈すべきだ。前述の王毅外相や中国人有識者のコメントにもあるように、習主席はホスト役だ。日本の代表としてAPEC首脳会議に出席する安倍首相と握手・挨拶をするのは自然なことであり、日中外交の成果とは言えない。この場合、特に領土と歴史に関する問題を巡り、日中間の意見と立場が最後の最後まで折り合わず、溝が埋まらなかったことを示している。
15分程度の立ち話:正式な日中首脳会談とは言えない。中国側が日本側の出方に対して一定程度の不満を抱いていることを示している。
30分程度の非公式接触:正式な会談ではないが、中国側が日本側の歩み寄りを評価。日中関係の改善に向けて、安倍首相を真剣に付き合うべき相手と判断したことを示している。
60分程度の公式会談:形式の観点から見れば、現時点における理想型と言える。中国側が日本側の出方に満足したことを示している。
 以上の4つのシナリオについて、APEC首脳会議後の日中関係をどうマネージメントするか、という「展望」の視点から考えてみたいと思う。

 本連載でも指摘してきたように、習近平国家主席は、中国側が提起した2つの条件――(1)領土問題が存在することを何らかの形で認めること(2)安倍首相が靖国神社に今後参拝しないことを何らかの形で明らかにすること――を日本側が呑まない限り、正式な首脳会談(シナリオ4)に応じることは原則としてないだろう。

 言い換えれば、仮にシナリオ4が実現した場合、日本政府が、中国側が要求した2つの条件を何らかの形で呑んだと判断することができる。

 他方、仮にシナリオ1に終わった場合は、日本側が最後の最後まで中国側の要求を呑まなかったと判断できる。

 シナリオ2とシナリオ3については、以下の交渉過程があったと読み解くことが可能だ。日中が互いの立場を主張し合い、折衷案を見出すべく外交努力を続けたが、溝を埋めるまでには至らなかった。もしくは、互いに不満な部分は残ったものの、今後の関係改善に向けて相互に歩み寄った。

勝ちすぎでは続かない

 さて、日中関係の長期的発展という観点から考えた場合、最もサステイナブル(持続可能な)なシナリオは4つのうちどれであろうか。筆者の愚見を記してみたい。

 中国側は、尖閣問題と歴史認識に関する条件を日本側に呑ませた上で、シナリオ3とすることがベストだと考えているだろう。以下で述べるように、シナリオ4には国内政治リスクが伴う。冷徹なまでに強かな中国は、シナリオ3の「非公式会談」ですべての条件を呑ませるべく最後の最後まで外交交渉を続けるに違いない。逆に、シナリオ2ですべての条件を日本側に呑ませることは難しい、すなわち、日本側が「立ち話」程度ですべての条件をあっさり呑むことはないと認識しているだろう。

 シナリオ1は避けたいはずだ。中国側とて、北京開催のAPEC首脳会議を契機に日中関係が改善することを期待する国際世論の圧力を感じている。よほどのことがない限り、安倍首相と全く会わないという選択はしたくないであろう。

 日中首脳会談の実現に頑なにこだわり、国内世論もそれを望んでいる日本側は当然シナリオ4を狙っているだろう。ただその場合、中国側が提示する条件を何らかの形ですべて呑むことになる。また、仮に2か3だったとしても、政府やメディアは「日中首脳会談が実現」と宣伝するに違いない。1は避けたいだろう。ここまで世論が盛り上がっているのに、いかなる会談も実現しませんでしたでは済まないと首相官邸や外務省は判断するのではないか。

 果たして、どのシナリオに落ち着くのか。筆者は断定的に判断できるほどの情報を持っていないため「分からない」としか言えない。ただひとつだけ言えるのは、日中関係を持続的に発展させるためには、シナリオ1と4は危険だということだ。1は日中が相互に外交努力を続けたにもかかわらず、最後まで溝が埋まらなかったというネガティブなケースとなってしまう。

 シナリオ4はとりわけ日本にとってよくない。日中首脳会談を実現するだけのために、中国側が要求する2つの条件を呑んでしまうのでは、国益の観点から未来に禍根を残す。1人の日本国民として、あまりにも大局的・長期的・戦略的視点に欠けるものと言わざるをえない。

 中国側にとってもシナリオ4は、必ずしも戦略的利益に適うと言えない。習近平氏が総書記にして就任以来、中国側は特に領土と歴史の問題に関しては、日本に対して強硬な立場を取ってきた。中国人民は「習主席は日本に対して厳しく接する強い指導者」という印象を普遍的に抱いている。偏狭な対日ナショナリズムはいまだ健在だ。国内世論がこのような状況にあるなか、たとえ水面下の、決して人民には知らされない外交交渉を通じて日本側が2つの条件を呑んだとしても、それをもって直ちに「日本側が歩み寄ってきたので日中首脳会談に応じました。安倍首相と1時間向き合って、友好的なムードの中で率直に話をしました」と自国民に向かって宣伝できるだろうか。「日本に妥協しすぎだ。安倍首相に面子を与え過ぎだ」という反発が起きるかもしれない。今後、日中間で中国人民のナショナリズムを刺激するような突発事件が起こり、両国関係が悪化した場合、「あの時の日中首脳会談は何だったのか?」という国民からの批判に対して習主席は何と説明するのだろうか。対日友好ムードを盛り上げすぎることが中国共産党による国内統治にとってどれだけリスキーであるかということを、習主席は十分に理解している。

 そして何よりも、日中外交という視点からすれば、「日本側が2つの条件を呑むこと」と「中国側が首脳会談に応じること」という取引は客観的に見て公平ではない、ゆえに、持続可能ではない。中国側が取り過ぎている、という意味だ。取り過ぎる中国も、取らせ過ぎる日本も、共に理性を失っていると言わざるを得ない。

 もちろん、日本側が2つの条件を呑む代わりに、日中首脳会談の実現以外に、中国側が他の要求を呑むのであれば話は別だ。例えば、中国側が尖閣諸島周辺に公船を派遣することを停止し、自国の漁船を徹底的に取り締まることを約束することが考えられる。

 僭越ながら、外交はゼロサムゲームではない。一方が70を取り、もう一方が30しか取れない交渉では、持続可能な外交はできない。後の両国関係に禍根を残すのは必至だ。真の意味で持続可能な外交関係を築くためには「50:50」「51:49」「48:52」といった交渉が必要だ。そして、どうしても避けることのできない差分に関しては、外交官が大局的・長期的な視点に立ち、全人格をかけて相手国と自国民に説明をすることで調整されるのではなかろうか。

 筆者は近年、自分なりの距離感で日中関係と向き合いながら、そう感じている。

 したがって、APEC首脳会談の期間中に日中首脳会談が行われるとして、シナリオ2か3が、ベストではないかもしれないがベターな選択であると筆者は考える。

 権力者たちの短期的な利益、そして有権者たちの一時的な欲望のために、日中関係の持続可能な未来を潰すようなことがあってはならない。日中の2カ国関係は、アジアと世界の安定と繁栄に大きな責任を負っているのだ。

このコラムについて
米中新時代と日本の針路

 「新型大国関係」(The New Type of Big Power Relationship)という言葉が飛び交っている。米国と中国の関係を修飾する際に用いられる。

 「昨今の米中関係は冷戦時代の米ソ関係とは異なり、必ずしも対抗し合うわけではない。政治体制や価値観の違いを越えて、互いの核心的利益を尊重しつつ、グローバルイシューで協力しつつ、プラグマティックな関係を構築していける」

 中国側は米国側にこう呼びかけている。

 ただ米国側は慎重な姿勢を崩さない。

 「台頭する大国」(Emerging Power)と「既存の大国」(Dominant Power)の力関係が均衡していけば、政治・経済・貿易・イデオロギーなどの分野で必然的に何らかの摩擦が起こり、場合によっては軍事衝突にまで発展しうる、というのは歴史が教える教訓だ。

 米国が「中国はゲームチェンジャーとして既存の国際秩序を力の論理で変更しようとしている」と中国の戦略的意図を疑えば、中国は「米国はソ連にしたように、中国に対しても封じ込め政策(Containment Policy)を施すであろう」と米国の戦略的意図を疑う。

 「米中戦略的相互不信」は当分の間消えそうにない。それはオバマ=習近平時代でも基本的には変わらないだろう。

 中国の習近平国家主席は米カリフォルニア州サニーランドでオバマ米大統領と非公式に会談した際に「太平洋は米中2大国を収納できる」と語り、アジア太平洋地域を米中で共同統治しようと暗に持ちかけた。これに対してオバマサイドは慎重姿勢を崩さない。世界唯一の超大国としての地位を中国に譲るつもりも、分かち合うつもりもないからだ。

 互いに探りあい、牽制し、競合しつつも、米中新時代が始まったことだけは確かだ。

 本連載では、「いま米中の間で何が起こっているのか?」をフォローアップしつつ、「新型大国関係」がどういうカタチを成していくのか、米中関係はどこへ向かっていくのかを考察していく。その過程で、「日本は米中の狭間でどう生きるか」という戦略的課題にも真剣に取り組みたい。

 筆者はこれまで、活動拠点と視点を変化させながら米中関係を現場ベースでウォッチしてきた――2003〜2012年まで中国・北京に滞在し、その後は米ボストンに拠点を移した。本連載では、筆者自身の実体験も踏まえて、米中の政策立案者や有識者が互いの存在や戦略をどう認識しているのかという相互認識の問題にも、日本人という第三者的な立場から切り込んでいきたいと考えている。政策や対策は現状そのものによって決まるわけではなく、当事者たちの現状に対する認識によって左右されるからだ。

 日本も部外者ではいられない。どういう戦略観をもって、米中の狭間で国益を最大化し、特にアジア太平洋地域で国際的な利益を追求し、国際社会で確固たる地位と尊厳を獲得していくか。「日本の針路」という核心的利益について真剣に考えなければならない。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20141105/273416/?ST=print


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