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【河崎真澄の目】中国人と呼ばれたくない 大陸に嫌悪感を抱く「香港人」たち
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141014/frn1410140855001-n1.htm
2014.10.14 夕刊フジ
「私たちはウォール・ローゼのエレンとミカサかもしれないね」。選挙制度の民主化を求め、香港のアドミラリティ(金鐘)で抗議を続けていた女子大生の劉さん(21)は、こう言って笑った。日本の新聞記者だと聞いて、劉さんは香港でも人気の日本アニメ「進撃の巨人」のストーリーに自分たちの姿を重ねてみせたのだ。
このアニメは、城壁(ウォール)に囲まれた小さな都市に暮らす人類が、壁の外から襲撃してくる恐ろしい「巨人」と戦って生存空間を守る内容。エレンとミカサは主人公の男女だ。
主権こそ1997年7月に英国から中国に返還されたが、返還後も50年間保証された「一国二制度」の国際公約の下で、香港は民主社会を謳歌(おうか)してきた。
だが、経済力の膨張とともに存在感や発言力を増した中国が、「巨人」となって壁の中の民主社会を襲ってきたと劉さんらの目には映り、エレンやミカサに共感を覚えるのだという。
暑い日差しや激しい雨だけではなく、催涙スプレーや催涙ガスから身を守るために使った傘が象徴となり、「雨傘革命」と呼ばれる今回の街頭抗議。9月28日未明に始まった街頭占拠は、2017年の次期行政長官選挙をめぐって、中国側が民主派の立候補を阻止する制度改革を8月31日に決めたことが引き金だ。
香港紙「星島日報」によると、デモ参加者は一時10万人を超え、当局の事前承認抜きの抗議活動では返還後、最大規模になった。ただ、劉さんが例えた「巨人」への嫌悪感は、デモの前から城壁の中の人々に強まっていたことは確かだ。
人口700万人ほどの小さな香港に昨年、中国本土からは実に延べ4千万人以上が押し寄せた。
観光収入など経済的効果もあったが、一方で「運び屋」による日用品や食品などの買いあさり、子供の永住権取得を狙った富裕層の妊婦の大量越境、家族連れ観光客などの不作法な振る舞い−など目に余る行為が、英国式教育を受けた香港人に強い「反中感情」を生んでいた。
12年には香港政府が小中高の教科として「国民教育」を義務化しようとして猛反発を受ける問題もあった。
中学生の子供を2人持つ40代の香港人女性、張さんは、「中華人民共和国を愛せという愛国教育、中国共産党を崇拝せよという洗脳教育だった」と憤る。市民や学生が「反洗脳」を訴えて数万人規模のデモを繰り返して撤回させた経緯があるが、親中派の香港政府と中国政府の“結託ぶり”があらわになった。
そして今年6月10日。中国の習近平政権が、「香港に対し全面的な管轄統治権を持つ」とした初の「一国二制度白書」を発表。「返還後わずか17年で中国政府は『一国二制度』の国際公約を破った」と立法会(議会)の民主派リーダー、李卓人議員は感じている。白書発表の後、民主派の間では「一国1・5制度」などと揶揄(やゆ)する声も増えた。
香港大学による市民の「帰属意識調査」によると、白書発表直後には自ら「香港人」と考える人が67・3%と、「中国人」との31・1%の2倍以上になった。08年に両者が逆転して以来、「中国人とは呼ばれたくない」と考える香港人が急増した。
反中感情が渦巻く中で起きた「非暴力」の抗議デモに、香港警察が催涙ガスで強制排除を試みた。城壁の中の人類と巨人の戦いの行方はまだ読めないが、民主主義を信奉する国際社会は、エレンやミカサをもっと強く支援していかねばならない。香港の街頭で、劉さんたちの笑顔を見てそう思った。(上海)
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