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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ND0D1X6KLVR401.html
10月６日（ブルームバーグ）：香港でここ10日間ほど続いている民主化要求デモの根底にあるのは、社会不安や中国における香港の地位低下をめぐる懸念を強めている経済的な緊張だ。
香港城市大学のジョセフ・チェン教授（政治学）は、デモ参加者は民主化のためだけに闘っているわけではないと指摘、「参加者らは香港が中国の単なる１都市となり、その地位が低下しつつあることを非常に心配している」と話す。
①不動産価格 香港は世界で最も住宅購入の難しい都市だ。デモグラフィア・インターナショナル・ハウジング・アフォーダビリティーの調査によれば、香港の住宅価格は2013年時点で家計所得の14.9倍だ。シンガポールのＳ・ラジャラトナム・スクール・オブ・インターナショナル・スタディーズの調査アナリスト、ディラン・ロー氏によれば、裕福な中国人が本土からやって来て香港で「不動産を買いあさっている」との認識が生じている。チャートは香港の住宅価格を測る不動産価格指数が過去最高に達したことを示す。
②生活費 香港は世界で最も物価の高い都市の１つであり、中国の台頭とともに生活費が上昇した。チャートは香港の消費者物価指数。
③観光客の殺到 中国本土から記録的な数の観光客が香港を訪れ、レストランやショッピングモールなどあちこちで地元民の憤りを買っている。ロー氏は「中国人観光客は商品だけでなくスペースも買い占めようとしている。地理的な空間だけでなく社会的空間も占領されているように感じられ、香港の文化的空間が脅かされている」と指摘した。チャートは中国本土から香港を訪れた人の数。
④所得不平等 香港では所得格差が拡大しており、デモを主導する若年層が社会で成功するのが一段と難しくなっている。チャートは所得分配の不平等を表すジニ係数。
⑤大気汚染 香港住民720万人の健康を日々最も脅かしているのは大気汚染だ。本土にある工場も大気汚染の一因となっている。チャートは香港の中環（セントラル）地区で観測された健康に深刻な被害をもたらすＰＭ2.5（直径2.5マイクロメートル以下の超微細粉塵）の平均水準。
⑥就職戦争 香港バプティスト大学の政府・国際問題研究担当ディレクター、ジャンピエール・キャべスタン氏によれば、あまり目立たない緊張が大学のキャンパス内で起きている。教育機関による中国人学生への修士号付与が増え、就職のため香港にとどまる中国人が増加している。チャートは、香港の大学への本土からの入学者数。
⑦存在感低下 中国の改革・開放から30年余りが過ぎ、香港の存在感が低下している。スティーブ・ビッカーズ・アンド・アソシエーツのスティーブ・ビッカーズ最高経営責任者（ＣＥＯ）は1997年の「香港の中国返還当時は、香港の価値は絶対的だったが、その価値が下がった」と指摘。「今や中国には香港より大きな都市が幾つもあり、香港でできる多くのことがそうした本土の都市でも可能だ」と述べた。チャートは上海（緑）と北京（白）、香港（赤）の経済規模の推移。
原題：Seven Economic Shifts Underlying Hong Kong’s Divide WithBeijing（抜粋）
記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先：北京 Kevin Hamlin khamlin@bloomberg.net;ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙ Sharon Chen schen462@bloomberg.net;香港 Billy Chan bchan101@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先：Malcolm Scott mscott23@bloomberg.netTan Hwee Ann
更新日時: 2014/10/06 15:26 JST
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