05. 2014年9月11日 08:00:16
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欧州の自動車部品メーカー、中国の排他的契約を告発 2014年09月11日(Thu) Financial Times (2014年9月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 欧州の自動車部品メーカーが、中国の自動車メーカーから排他的な供給契約に署名することを強いられたと訴えている。このような契約は中国の独占禁止法に違反しており、スペア部品の価格を押し上げたという。 こうした新たな告発は、中国規制当局が長期的に進めている独占禁止法に基づく調査の焦点となってきた、中国で事業展開する多国籍自動車メーカーに対する圧力を増大させることになるだろう。 2008年に施行された中国独禁法の施行責任を負う3機関の1つである中国国家発展改革委員会は、ディーラーが定める自動車、スペア部品、サービスの価格に自動車メーカーが影響力を振るおうとしたかどうか調査している。 100社以上が中国自動車メーカーの慣行に抗議 9日に北京で公表された在中国欧州連合(EU)商工会議所への報告書で、100社以上の自動車部品メーカーが「独立系アフターマーケットに対する正規部品の販売が概して自動車メーカーによって制限されている」と訴えた。 商工会議所の自動車作業部会は「(自動車部品会社に)課された制約は、独立系アフターマーケットでの消費者の選択を制限し、自動車メーカーに支配され、多くの場合高いプレミアムを乗せる店舗を選ぶか、模造品市場を選ぶかという選択を強いる」と述べた。 自動車部品メーカー各社はさらに、このような制約は独占禁止法で禁じられた「独占契約」に当たると述べ、同じような取り決めはEUによって禁じられていると指摘した。商工会議所の作業部会は、多国籍自動車メーカーの調達慣行は、2005年に発布された政府のガイドラインに沿っていると述べた。 「欧州の自動車メーカーと自動車部品メーカーは、2008年の独占禁止法と2005年の行政措置の間の矛盾について中国当局から明確な説明を受けることに共通の利益を持つ」と自動車メーカーの団体は述べた。 中国の国内企業と折半出資の合弁会社を通じて事業を行うことを義務付けられている自動車メーカーと異なり、外国の自動車部品メーカーは中国事業を100%所有することができる。報告書作成に携わったある自動車部品会社幹部は、排他的な契約を強いる自動車会社の社名を特定することを拒んだが、「これは広範に及ぶテーマであり、当局によって解決されることを望んでいる」と語った。 しかし、EU商工会議所が代表する企業の間の意見の相違が公表されるのは珍しい。これまでは、商工会議所は中国政府による最近の独禁法違反事件の扱いを公然と批判し、公的部門の改革に対する政府のコミットメントに疑問を投げかけていた。 商工会議所のヨルグ・ヴトケ会頭は、中国の成長率が鈍化し続け、中国の規制関連の調査や犯罪捜査の対象になる外国企業や外国人幹部が増えていることから、外国の対中投資の「黄金時代」が終わりを迎えていると警告した。 欧米企業による対中投資は今年1〜6月期に前年同期比で18%減少し、日本企業の投資は前年同期実績の半分にとどまっている。「商工会議所の加盟企業は、市場が悪化していると見ている」とヴトケ会頭は述べた。 By Tom Mitchell in Beijing http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41702 中国の民主主義:香港を巡る戦い 2014年09月11日(Thu) The Economist (英エコノミスト誌 2014年9月6日号)
香港の市民は完全な民主主義を要求することを諦めてはならない――香港自身と中国のために。 17年行政長官選挙制度で二分する香港 8月末に香港の特別行政府庁舎周辺で行われた民主派の集会〔AFPBB News〕 中国の政府関係者はそれを、香港の民主主義にとっての「大きな前進」と呼んだ。だが、香港政府のトップを決める選挙で初めて、すべての香港市民に投票を許すという中国当局の8月31日の発表は、市民の怒りと無関心を招いただけだった。 歓喜は全く見られなかった。それは香港市民が参政権にさほど関心を持っていないからではない。2017年に予定されている、香港の行政長官を決める次の選挙が操作されるということを中国が明白にしたからだ。立候補が許されるのは、大陸の半分ほど離れた距離にある北京の共産党が認めた候補者だけとなる。 最悪の場合、これは中国でさえ到底望まないような惨事を引き起こす危険性がある。香港の民主派は抗議行動を計画している。どれだけの人が参加するか分からないが、政治改革を求めて平和的なキャンペーンを行ってきた香港の長い歴史が、警官との小競り合いや大量逮捕、場合によっては人民解放軍による介入にも道を譲る恐れがある。 そんな事態は、アジアで最も裕福で最も秩序ある経済の1つを混乱に陥れ、中国を西側諸国と対立させることになる。 だが、たとえそうした惨事が回避できたとしても――その可能性は高い――、この前進ならぬ「横っ飛び」は、香港のみならず中国本土にとっても大きなチャンスを逃すことを意味する。中国全体の利益になったかもしれない類の地域民主主義を試す絶好の機会が失われたからだ。 これでは「1国1.5制度」 中国の発表は、1つの時代の終わりを告げる。これからはもう、たとえ北京で政治改革が進まなくても香港の民主主義はどんどん発展を遂げられると主張することができなくなった。 中国共産党が支配する全国人民代表大会(中国の議会)が定めた取り決めが必要だったのは、1997年に英国から香港が返還された時に、中国が香港に「高度な自治」と、ゆくゆくは「普通選挙権」を与えると約束したためだ。大方の人にとっては、これは自分たちの手で自分たちの指導者を選ぶことを意味した。 中国はこの約束を字義通りに守ったが、その精神は守らなかった。2012年には、香港の政財界のエリートから選ばれた共産党のイエスマンから成る1200人の委員会によって香港の行政長官が任命された。2017年の選挙では、同じような委員会が候補者を選び、次に、候補者を香港の全有権者が参加する選挙に提示する案が示されている。 理論上は、委員会は多様な政治思想を持つ候補者を選ぶことができる。だが実際には、悲観論はこのうえなく正当だ。出馬を許されるのはわずか2〜3人の候補者で、どの候補も委員会の過半数の推薦を取り付けなければならないからだ。 この取り決めの下では、民主主義は香港で、中国の他地域と同程度の意味しか持たない。すべての成人市民は地元の議員を選挙で選ぶことができる――ただし、共産党が承認する限りは、ということだ。 この状況は香港にとって好ましくない。1997年の返還後の4人の指導者は、全員が北京で選出され、形式的な承認を得て就任した。現職の梁振英氏を含む4人とも極めて不人気だった。北京の支配下にある政府の下で、報道機関は威嚇やスポンサーからの圧力を受けて抑え込まれている。香港の司法は、中国本土への忠誠心を試されることを恐れている。 一部の香港市民は、郵便サービスさえもが侵害されていると不満を述べている。市民的不服従を促すチラシの郵送を拒絶されたというのだ。 民主派がすべきことは市民的不服従のキャンペーンではない 物語はまだ終わっていないかもしれない。香港の活動家は市民的不服従のキャンペーンを立ち上げると明言している。活動家たちはこれを和やかに「和平占中(オキュパイ・セントラル)」と呼んでいるが、明示されたその目的は、座り込みによって香港の金融街を麻痺させることだ。これは民主派陣営による初の大規模な法令違反になる。 活動家の狙いは正しいし、彼らの勇気も素晴らしいが、戦術は間違っているかもしれない。 騒動が手に負えなくなり、軍隊が出動することになれば、香港にとって災難となり、恐らくは活動家の大義を後退させることになるだろう。むしろ、民主派がこれまで最も得意としてきたことを貫いた方がいい。往々にして理性的な政治的対話が決定的に欠けている地域で香港をそうした政治的対話のモデルにしたような平和的な抗議行動を実施するのだ。 ほかにも実行できる平和的な抗議がある。たとえそれが2012年の非民主的なシステムへの逆戻りを意味したとしても、香港の議会は中国の提案を拒絶することができる。現在、選挙人団に名を連ねる民主派はほんの数十人しかいない。彼らは将来、そうした選挙をボイコットすべきだ。欺瞞を広めていくことに何の意味もない。 もし香港の市民が香港経済を損ねることなく前進を続ければ、もしかしたら中国は単に、肩をすくめてやり過ごすかもしれない。だが、そうなるとは限らない。香港の傀儡政権が破壊活動防止法案の提出を棚上げし、不運な董建華氏が行政長官を辞任したのは、2003年の秩序立った大規模デモのおかげでもあった。 香港の民主派は、法を犯すよりもむしろ「恥」という武器を行使した方が良い結果を出せるだろう。 だが、地域の民主的願望を打ち砕く中国の決断を感じ取ることができるのは、香港だけではない。中国政府は、香港と同じように傘下に収めたいと夢見ている台湾でも、世論を敵に回してきた。 共産党は、台湾統一の展望が被ったダメージは、何らかの敵対勢力が香港の選挙で勝利を収め、中国全土で政治改革を求める動きをかき立てかねない脅威と比べれば、さほど重要ではないと結論付けたようだ。 そんなことになれば、香港は事実上、独立したことになり、これがひいてはチベットや新彊など中国周縁の分離派を勢いづかせることになると中国政府は懸念している。 チャンスを台無しにした習近平国家主席 「中韓は軍国日本の被害共有」、訪韓中の中国主席が講演 真の改革者として歴史に名を残せたかもしれないのに・・・〔AFPBB News〕 だが、不満は中国全土で高まっており、政府は胡坐をかいているわけにはいかない。 巨大な新興中間層は、教育や医療、環境、財産権などの問題に対する自分たちの無力感に苛立ちを募らせている。日常的な心配ごとについては、本土の人も香港の市民も共通している部分が多い。 中国政府は、自分たちの生活をもっと自らでコントロールしたいと願う国民の願望を満たす方法を見つけなければならない。香港は、手始めとしてもってこいの場所だったはずだ。 共産党総書記で中国国家主席の習近平氏には、香港を中国の政治改革の試験台として利用するチャンスがあった。もし、そのチャンスをものにしていたら、同氏は真の改革者として歴史に名を残せたかもしれない。それなのに、習氏はせっかくの機会を無駄にしてしまった。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41702 |