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中国、住宅値下がり余地 習指導部ブレーン 余永定氏 続く調整期間、暴落はせず
住宅の値下がりが主要都市の9割に広がり、中国景気の先行きに不安が漂っている。習近平指導部の経済ブレーンの一人である余永定・元中国人民銀行金融政策委員に見通しを聞いた。
――中国経済の成長力が鈍っています。中国政府が掲げる年7.5%前後という成長率の目標は高すぎませんか。
「多くの専門家は中国経済の潜在成長率を年7〜8%とみており、保守的に見ても7%前後だ。中国経済の現在の問題は潜在成長率の低下ではなく、安定成長と構造調整のバランスをどううまくとるかということにある。年後半に経済が急激に悪化することはなく、7.5%前後としている政府の成長率目標の実現に大きな問題はない」
「不動産投資に過度に依存した経済成長など、構造問題はいまだ目立った改善がない。経済の構造調整を加速するため、来年の成長率目標は引き下げる可能性がある。ただ、目標を変更しても、大幅なものではない」
――住宅価格の下落が止まりません。
「中国の不動産市場はバブルか否かという問題には統一の見解がないが、住宅価格と収入、家賃水準を比べると、バブルが存在するといっていい。しかし、中国は大国であり、地域差が非常に大きく、一概に論じられないのも事実だ」
「中国の不動産投資が国内総生産(GDP)に占める比率は過大だ。すでに13%を超え、持続可能な成長を損ねる。住宅価格の下落は悪いことではない。理想的には価格が一定の水準まで徐々に下がり、投機ではなく、本当に住宅を必要とする人の需要を満たすことだ。住宅はまだ値下がりする余地があるが、暴落はしないだろう。政府も落ち着いており、安易に政策を緩めることはない。中国の住宅価格は緩やかに下落する時代に入り、この調整期間はある程度、長く続くだろう」
――企業の資金調達を支えるため、金融緩和を求める声があります。
「企業の資金調達の難しさ、コスト高の原因は多様だ。中国では銀行の利幅が大きく、大銀行の利益率は20%超なのに対し、非金融の企業の利益率は6〜7%だ。銀行はリスクを嫌う傾向が強く、融資の際の担保の要求が厳しいうえ、貸し倒れリスクに応じた金利の上乗せも相当に大きい」
「銀行融資の多くが不動産開発と地方政府傘下の投資会社(融資平台)に回り、一般企業、特に民営部門に資金が行き渡らない。このため民営企業は高利貸しを利用するしかない。企業の資金調達難は単なる金融政策の問題ではなく、多くの制度上の課題を解消しなければ、金融を緩和しても問題は解決しない」
――金利、為替、資本取引の自由化という金融改革も欠かせません。
「人民元の資本取引を完全自由化する前に、中国は金融市場を整備しなければならない。例えば、市場を通じて様々な金融商品の価格を決める際の指標として、国債の利回り曲線を整えることは重要だ。金融改革はまず為替レートの自由化、次いで金利の自由化、最後に資本取引の自由化の順番で進めるべきだ」
(北京=大越匡洋)
よ・えいてい 政府系シンクタンク、中国社会科学院学部委員。中国人民銀行(中央銀行)の金融政策委員などを歴任。65歳。
[日経新聞9月7日朝刊P.5]
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