02. 2014年8月25日 14:07:50
: nJF6kGWndY
中国機の米機異常接近で露呈した米中友好関係の限界 wsj 原文(英語) 2014 年 8 月 25 日 11:17 JST 米海軍機は南シナ海上空での日常的な偵察飛行中に、中国の戦闘機から何度も異常接近を受けている。米当局者はこれが一部のパイロットの独断による可能性があり、警戒すべき傾向だとしている。 米国防総省は22日、特に無謀な接近が19日にあったことを明らかにした。当局者は先週末、今年に入ってからこの地域で少なくとも3回、挑発的なインシデントがあったと述べた。3回とも公海上空だったという。 異常接近を行ったと米政府が指摘したのと同型の中国の戦闘機 Reuters 米国はこれまでの事例に関して、中国政府に外交ルートで抗議してきた。その際には、南シナ海上空での中国軍パイロットの「危険でプロとは思えない行動」を指摘したという。
こうした事例は、異例とも言える最近の両国間の協力的な関係を損なうことになる。また、一部の高官や政治家が良好な関係を築こうとしているにもかかわらず、いかに両国の間に根深い不信感が残っているかを示している。 この地域でなぜこうしたことがいつも起きるのか、米当局者はよく分からないとし、異常接近は南シナ海でのインターセプトを担当する部隊のパイロットに「ならず者」がいるからかもしれないと述べた。これらの当局者は、無謀な接近が中国軍の承諾を得て行われているとは思えないとしている。 ある高官は「中国は両国軍関係の質を高めようと努力している。南シナ海で起きていることをめぐっては、これとは別の特有の事情がありそうだ」とし、「何かが違う」と語った。 米当局者らは、インターセプトは意図しない衝突の危険性を高めており、憂慮すべき事態だと話している。 一連の異常接近で南シナ海での緊張は高まっているが、中国戦闘機が東シナ海などで行っている定例のインターセプトではこのような事例はない。南シナ海上空での今年これまでの危険な事例ではいずれのケースでも、中国戦闘機が米海軍機に異常なまでに接近してきたという。 米当局者のブリーフィングによると、過去の事例では、中国の戦闘機は米軍機に近づいて、その鼻先を横切ったり、米軍機の上でロールを行うなどの挑発的な行為をしていた。 異常接近はだいたい4〜5分間続く。ある高官は、米海軍機はここ数年、南シナ海の決まったルートを飛行していると述べた。米のパイロットは接近があった場合には、衝突の危険を回避し、中国パイロットの行動を記録するために、ルートを離れないように命じられている。 19日に中国海南省の東方沖合上空で米海軍のP8哨戒機と中国の「殲(セン)11」戦闘機が異常接近したことについて米国と中国は異なる説明をしている。 米国防総省は、中国の戦闘機が無謀に、米機のすぐ下を複数回にわたって通過、両機の翼と翼の距離は一時接触しそうなほど近づき、戦闘機は搭載している武器を見せるために機体を回転させたとしている。 一方、中国国防省はこれに強く反論し、戦闘機のパイロットはプロであり、安全な距離を保っていたと述べた。 中国海軍の尹卓少将は24日、同国国営テレビとのインタビューで、米機は中国の原子力潜水艦を追跡していたようだと語った。海南には潜水艦の主要基地がある。P8は他のほとんどの哨戒機より速く、特に潜水艦を探し出すことを目的に設計されている。 米当局者は、戦闘機の動きは許容範囲だとする中国側の主張に反論。国防総省のある高官はアクロバットチームのブルーエンジェルスに言及して、「翼と翼の間が20フィート(6メートル)で安全というのはブルーエンジェルスのショーだけだ」と話した。 中国側は米当局者が言及した、以前の事例についてはコメントしていない。 米国のP8哨戒機 Reuters 空中での異常接近への米の警戒感は、両国軍の関係が改善していることを強調しようとした最近の米高官の公の発言と相容れないものがある。米国は毎年、世界最大の多国間海軍合同軍事演習「リムパック」を行っているが、今年6、7月には中国がこれに初めて参加した。4月には両国の海軍当局者が、他のアジア太平洋諸国の海軍トップらとともに、海軍船舶と航空機との遭遇に関する初の行動規範で合意していた。
ジョナサン・グリナート海軍大将は7月、この行動規範合意以降、米中の船舶の間での嫌がらせや悪質な行動は報告されていないと語った。 しかし、両軍の間には慎重な姿勢が残っており、これは両国の戦略によっても増幅されている。数十年にわたって軍事力増強を図ってきた中国は太平洋の一大パワーとしての地位を確立しようとしている。一方で米国は、アジアの同盟国や友好国―特に中国との間で領有権紛争を抱える日本、フィリピン、それにベトナム―を安心させるために同地域での軍事的プレゼンスを高めようとしている。 元人民解放軍将軍で現在は中国軍備管理・軍縮協会の上級研究員である徐光裕氏は、19日の中国戦闘機によるインターセプトは中国の入り口でのスパイ活動に対する「警告の一形態だった」とし、「米国がこの種の非友好的な行為を続ける限り、中国はこの種の警告を発し続けるだろう」と話した。 米海軍当局者は、例えば7月には中国はハワイ沖の公海上からリムパックを監視するために呼ばれもしない監視船を派遣したと述べ、この船舶は米国領海には入らなかったが、リムパック参加国がその演習をスパイするための船舶を派遣したのは初めてだと指摘した。 中国は4月の行動規範に条件を付けていた。同国海軍の高官は、行動規範が承認された直後、このルールは勧告にすぎず、中国は東・南シナ海の紛争海域で必ずしもこれに従う必要はない、と述べたのだ。 19日の「殲11」のパイロットがこの規範に沿って行動していたのかと中国国防省に質問したが、まだ答えは得られていない。 一部のアナリストは、中国は昨年11月に東シナ海上空に設定したのと同じような防空識別圏を南シナ海に設定する準備をしている可能性があるとみている。米の国家安全保障担当当局者は、こうした動きは挑発であり、状況を不安定化させるとしている。 中国戦闘機による接近は以前からの米国の偵察活動の弱みをさらけ出した。米国は、他国の領海外(12カイリ外)では全ての船舶に自由航行の権利があると主張している。これに対して中国は折に触れて、この自由航行は軍事上の偵察や地図には適用されないとし、米国軍の艦艇と航空機が自国の沿岸に近づいてくることに強く反発している。 徐氏は「こうしたことはひっきりなしに起きているが、中国は自制している」とし、米国が偵察を続ければ、これまでの外交努力が台無しになる恐れがあると指摘した。同氏は「米国の行動は非常に矛盾している。両国はもっと合同軍事演習や相互訪問などを行うべきだ。相手をいら立たせるようなことをすべきでない」と強調した。 今回の事例が起きた場所や中国機の行動は2001年の事例を思い出させる。このとき国防総省の当局者によると、米国の電子偵察機EP-3が中国戦闘機の危険な行動によって衝突した。米機は海南島へ緊急着陸しなければならなかった。乗員が11日にわたって拘束され、両国間の外交関係が緊張し、国防総省が人民解放軍に対する警戒感を強めた。 関連記事 中国、米軍機への異常接近を否定―「安全な距離保っていた」 |