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6月7日、中国河北省・邯鄲の「高考」試験会場入り口で、カンニング機器の検査を受ける受験生。高考では替え玉受験など不正行為が横行している(AP)
中国の替え玉受験「依頼者は官僚」…国営テレビが実態暴露
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140622/frn1406221532004-n1.htm
2014.06.22 夕刊フジ
【中国事件簿】
中国で毎年6月に行われる大学入試の全国統一テスト「高考(ガオカオ)」をめぐる不正が、波紋を広げている。高考は日本の大学入試センター試験と似ているが、二次試験はなく一発勝負で志望校への合否が決まるとあって、あの手この手を使ったカンニング行為が横行。なかでも究極の“ズル”といえる替え玉受験の実態が、国営の中国中央テレビ(CCTV)の潜入取材で暴露されたのだ。事件の舞台となった河南省だけで、今年判明した替え玉受験者は127人に上るという。(西見由章)
■「替え玉募集」の広告
CCTVが6月17日に放映した“告発特集”の内容をたどろう。
「高考の替え玉募集」。試験本番の数カ月前、河南省に隣接する湖北省内の大学のトイレに張り出された、あまりにストレートすぎる広告。これが事件の発端だった。携帯電話の番号が記載されている「李先生」に、CCTV側が連絡を取るところから取材は始まる。
ちなみに、放送では一連の隠し撮り映像を「協力者から提供されたもの」と説明しているが、その映像はどうみてもプロの仕事。記者などが替え玉志望の大学生になりすました“覆面取材”と考えるのが自然だろう。
くだんの李氏は、オンラインチャットを使って替え玉受験の概要を志望者に説明。それによると、まず志望者に模試を受けさせて学力を測定する。替え玉として認められ、受験の結果、普通大学に合格すれば報酬は2万元(32万円)、重点大学なら5万元(80万円)に達し、名門校となると「応相談」で天井知らずの価格を予感させる。
■「すでに買収している」
試験本番まで1カ月足らず。李氏は初めて替え玉候補の学生たちに直接接触した。面会場所は大学近くの喫茶店だ。
替え玉受験を行う入試会場は、李氏の地元である河南省の県で、顔が利く知人も多いという。
「2012年から河南省は指紋照合機を導入した。しかし、受験生の人工指紋膜をつくって君の指に張れば問題ない」
李氏はこう続ける。「指紋以外にも、試験監督が受験生の身分証の写真と、あなたの顔を照合する」
思わず替え玉志望者がたずねる。「本来の受験生の顔と私の顔は当然違いますよね」
「それが、試験監督は同じ顔だと思うのだ。なぜかわかるか?金だ。すでに買収されているので、身分証の写真と君は同じ人物と思うのさ」
さらに、替え玉の手口を得意げに披瀝する李氏。「試験会場1カ所(の監督者たち)を買収するのにいくら必要か知っているか?去年は1カ所につき6万元(96万円)かかったが、今年は7万元(112万円)からだ」
“買収相場”も年々上昇しているらしい。
「依頼者はみな幹部の師弟だ」
そう説明する李氏に志望者がたずねる。「金を持っている公務員か」
「そうだ。今、彼らに奉仕しておけば、将来、私が地元に戻ったときにきっと助けてくれるはずだ」
李氏の隠し撮り映像は、モザイクなど一切なし。容赦なく13億人の視聴者に顔がさらされた。
■失敗しても謝礼
替え玉志望者の最終選抜試験の場所は、なんと某大学の教室。“替え玉受験ビジネス”には大学の教員が関係しているようだ。志望者4、5人が受けた試験は数時間におよんだ。たびたび大学生が自習のために教室に入ってきたが、李氏は適当なことを言って追い出したという。
試験本番の2日前、最終テストを通過した替え玉の学生たちは、依頼者の保護者と初顔合わせ。このとき大学の教員と自称する「張先生」が登場し、替え玉たちに「手付金」として各5000元(8万円)を渡した。もし不正が発覚して試験会場に入れなくても、さらに謝礼の5000元、計1万元(16万円)を支払うという。
保護者の女性も慣れた様子で、替え玉となる学生に言い含める。「もし問題が起きても絶対に不正を認めてはだめ。すでに試験監督は買収してあるから大丈夫。彼らも面倒が起きることを恐れている」
はたして、この替え玉の学生たちは無事“任務”をまっとうできるのか。
■人さし指を「中指」と言い張り…
試験初日の6月7日午後に“事件”は起きた。替え玉の女子学生が指紋照合機に指を置いたところ警報が鳴ったのだ。指紋データは各出願者の右手中指が登録されているのだが、この替え玉学生は人さし指を読み取り部分に置いていた。
中指を所定の位置に置くよう再三指示する試験監督。頑として人さし指を置いたまま「この指(が中指)だ」と言い張る学生。ついに試験監督は何かを察したかのように、人さし指の読み取りを認めたのだった。
実はこの替え玉学生、うっかり人工の指紋膜を人さし指に装着してしまったらしい。気の弱い人間なら「私は偽物です」と白状してしまいそうな状況だが、むちゃくちゃな主張を平然と言いのけてしまうメンタルの強さには、ある意味脱帽する。
不正が発覚した場合、替え玉受験に協力をした大学生らは学校から除籍処分を受けるかもしれない。刑事責任を問われることだってあり得る。
彼らは不安にならないのだろうか。
「替え玉受験者なんて数かぎりなくいる」
「ぼくらの責任は軽いはず」
「こんなに報酬がいいんだから、多少のリスクは仕方ない」
彼らの隠し撮り映像はモザイクで隠され、表情はうかがえないが、犯罪の片棒を担いでいるという自覚はないようだ。
■既視感ある展開
このCCTVの特集が放送された17日、河南省の高考担当部局の対応は早かった。当日のうちに警察部門と協力して調査を開始したとのコメントを出し、「省内の高考で165人の受験生が不正行為を働き、うち127人が替え玉受験だった」と一部の調査結果まで発表したのだ。
どこか既視感(デジャブ)に襲われる展開だ。
今年2月、CCTVは「中国の性の都」とよばれた広東省東莞市で、高級ホテルのストリップショーや売春交渉の現場を隠しカメラで撮影し、その実態を報道した。地元当局は大慌てで大規模な風俗産業の摘発に乗り出した。
このCCTVの報道は、政権中枢が広東省トップの政治家の評価を落とそうとした政治闘争だったとの指摘もある。
ただ中国の官製メディアは基本的に「共産党の喉と舌(宣伝機関)」だ。河南省の替え玉受験にしても、東莞市の風俗産業にしても、権力中枢による「一罰百戒」の面があったことは確かだろう。
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