02. 2014年6月06日 14:22:02
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暴走ではなく、計画的ということなら、大分、話は変わって来るが http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304210404579607052346426762#printMode 中国の大胆な海洋進出、背後には緻密な計算 By ANDREW BROWNE 2014 年 6 月 5 日 08:39 JST 中国船による衝突で沈没したとされるベトナム漁船 Agence France-Presse/Getty Images つい最近まで、中国の南シナ海での攻撃的な行動は、省庁間の競争が招いた一貫性のない外交政策の産物と見なされてきた。こうした競争では通常、強硬派が優位に立つ。
同国の政治においては、このような混乱状態は「九龍鬧海(9匹の龍が海をかき回す)」と呼ばれ、中国が1990年代に南シナ海に対してとっていた、より秩序ある――そしてはるかに友好的な――外交政策は一変した。 しかし、中国国内外の安全保障専門家らは、ベトナムと領有権を争っている海域に石油掘削装置を設置するなど米国や近隣諸国の警戒心を高めている中国の最近の動きは、政策の混乱によるものではなく、緻密に練られた策略のようだと指摘する。今回の行動をめぐり最高指導部で集中的に意見がすり合わされた可能性が高く、習近平国家主席のお墨付きを得ているように見える。 もしそうだとすれば、中国の領土紛争に対する揺るぎない姿勢はすでに完全に固定化されたことを示唆する。また、偶然であれ意図的であれ、南シナ海でさらに深刻な衝突が発生するのを回避するために至急必要とされている歩み寄りの希望を見いだすのが一段と難しくなる。 「九龍鬧海」の混乱状態を収拾するために、中国は昨年末に国家安全委員会を設置し、習主席が委員長に就任した。中国人民解放軍や海事当局、国有エネルギー大手など9つの有力グループ「九龍」は混乱の中でそれぞれの小さな目的(より多くの国家予算の確保や自身のビジネスチャンスの拡大など)のために外交政策を乗っ取った。 本来は外務省が中国の国益を守る役割を担っているが、「九龍」はしばしば外務省を無視して行動した。 だが、習主席は国家安全委員会の委員長として、自ら混乱に加担しているように見える。しかも、中国の独断的な行動はもはや戦術の脱線とは見なせないため、習主席が追求している戦略的目的は何かが大きな問題だ。 甲板に整列した中国海軍実習船の兵士たち(先月、ミャンマー) European Pressphoto Agency 習主席はナショナリストだ。国家主席に就任してから一貫して「中国夢(チャイナドリーム)」を唱えている。その中核は、19世紀初めに、中国が西側の帝国主義諸国によって「百年国恥(100年にわたる屈辱)」を受け始める前にアジアで維持していた主導的地位を回復するというものだ。習主席の目標の1つは、中国が日本に奪われたとする領土と、ベトナムやフィリピンなどの東南アジア諸国に占拠されているの島々を取り戻すことだ。 この点はとても理解しやすいが、多くの中国専門家を当惑させているのが習主席が取っている方法だ。つまり、中国が歴史的経緯から保有しているとみなす権利を主張する際に、多数のアジア諸国と同時に幾つもの衝突を起こしている。 中国の周辺海域の治安情勢は間違いなく、「九龍」が互いに競ってのたうち回っていた時よりも緊張が高まっており、先行きも不透明感が増している。中国船は現在、日本が実効支配している尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺海域に頻繁に侵入している。このことが日本の右翼を勢いづけ、安倍晋三首相が軍事面で強硬な姿勢を強めるのを後押しすると同時に、アジアの大部分における同首相の地位を強化している。 中国がベトナム沖の係争海域で石油を掘削していることは、ベトナムでは資源探しではなく、あからさまな政治的目的による意図的な挑発行為と解釈されている。この海域は埋蔵量という点ではさほど有望とは考えられていない。その結果、ベトナムでは反中国デモによって中国企業の設備が破壊され、同国指導部の親中派は失脚した。 一方、中国の圧力を受けて、フィリピンは南シナ海での中国の領有権主張の合法性に異議を唱え、ハーグの国際司法裁判所に提訴した。フィリピンが勝訴すれば、中国にとって外交上の打撃となる。ベトナムも同様の法的措置を検討していることを明らかにしている。 表面上は、中国のこうした行動は無謀に見えるかもしれない。しかしアジア各国と米国の政府高官および政策アナリストの間では、そのタイミングは計算ずくという見方が大勢だ。習主席が自分が向き合っている米大統領は弱腰で、強い言葉でアジアの同盟国を支援したとしても実際に反撃することはないと確信していることを示す。アナリストらは、オバマ大統領がシリアとウクライナへの軍事介入に踏み切れなかったことが習主席の考えを強め、南シナ海で領有権を積極的に主張する好機と判断する根拠になったと指摘する。 実際に、先週末シンガポールで開催されたアジア安全保障会議で、このような緊張関係があらわになった。ヘーゲル米国務長官は会議で、中国は南シナ海で「不安定化を招く、一方的な行動」を取っていると非難した。これに対し中国人民解放軍の王冠中・副総参謀長は、ヘーゲル長官の発言は「覇権主義と威嚇に満ちている」とし、「中国に対する挑発だ」と反論した。 このダメージは遠い将来のいつか消えるかもしれない。中国は近隣諸国がその繁栄を中国の巨大市場に依存しているため、中国に従わざるを得なくなると確信しているからだ。 元オーストラリアの外交官で、現在はオーストラリア国立大学中国研究センターのエグゼクティブディレクターを務めるリチャード・リグビー氏は、中国のやり方は「強く主張できる場合はすべてそうする」ということに尽きると述べた。 また、習主席は景気減速だけでなく、多くの国内問題に直面していると指摘。このような状況では、中国は「国際舞台で弱みを見せて攻撃されやすくなるわけにはいかない」と語った。 常に中国の台頭におびえているアジア諸国にしてみれば、「九龍」にはもう十分に怖い思いをさせられた。だが、中国の最近の動きは彼らをますます不安に陥れている。
国際 中国軍、世界的規模で米国に対峙へ―国防総省報告書が警告 By DION NISSENBAUM 2014 年 6 月 6 日 11:25 JST 中国陸軍の戦闘機(上海、昨年10月23日) Agence France-Presse/Getty Images 【ワシントン】米国防総省は5日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表し、中国が軍事費を急速に拡大させており、同国の影響力は高まり、世界規模で米国に対峙する方向に向かっているとの見方を示した。 報告書によると、米国の軍事費は減少している一方、中国はステルス機やサイバー兵器、武装無人機の開発のほか、海軍の増強に巨額の支出を行っている。先にシンガポールで開かれたアジア安全保障会議では、中国軍の高官が米国のアジアでの行動によって中国は敵対的にならざるを得なくなる恐れがあると警告したのに対し、ヘーゲル米国防長官は中国が「周辺国をかく乱する一方的行動」をとっていると非難した。 国防総省によれば、中国の2013年の軍事費は1450億ドル(約14兆7900億円)超と推定されている。中国の公式の軍事予算は2004年以降年平均9.4%の伸びを示してきた。一方米国は13年間に及んだイラクとアフガニスタン戦争が終結に向かっているため、軍事費は今後抑制される見込み。報告書は「中国は軍備への投資により、戦力を遠方まで展開する能力をますます向上させている」と述べている。米国の13年の軍事費は約5800億ドルだった。 世銀によれば、米国の軍事費の対国内総生産(GDP)比は約4.2%で、中国の2%を上回っている。米国の軍事費は縮小傾向にあるが、それでも中国を含むその他の国をはるかに上回っている。 国防総省は、中国空軍について「前例のない規模で積極的に近代化を進めており、西側との能力の格差を急速に埋めている」と分析した。ただ、中国はステルス戦闘機を開発しようとしているものの、数多くの課題に直面していると指摘、少なくとも5年間は克服できないだろうと予想している。 報告書はまた、中国は引き続き米国を標的にサイバー戦争を仕掛けていると警告した。米司法省は5月に、米企業のネットワークに侵入し企業機密を窃取したとして、中国軍当局者5人を起訴した。 報告書はまた、中国が軍事費を拡大させている主因は依然として台湾問題で、同国は台湾に対し高度な軍事行動を起こす能力を一段と高めたと分析している。 関連記事 ベトナムTV、中国船による体当たりの映像を公開 中国漁船「体当たり」でベトナム漁船沈没=ベトナム当局 【社説】アジア重視政策の本気度問われる米国―アジア安保会議 【オピニオン】中国のオイルリグ設置、現状変更狙う進出戦略 南シナ海問題で、米中が言っていないこと
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