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東莞で売春行為に及ぶ男女の摘発現場=2月初旬(ロイター)
【売春大陸中国】性風俗摘発が吹き荒れた中国の「性都」 300以上の風俗店が一夜で消滅…
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140604/frn1406041550001-n1.htm
2014.06.04 夕刊フジ
★(1)
賄賂に代表される官民腐敗に対し、不満を膨張させる民衆をなだめようと、習近平政権が突如行った性風俗の大摘発。裏稼業の撲滅を図ったはずが、その余波は表のビジネスまで直撃した。力を誇示し、世界をにらみつけるように仁王立ちする大国だが、自身の足元はもろく危うい。中国事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木氏が、掃黄(サオファン=性風俗摘発)が吹き荒れた性都・広東省東莞(ドンガン)市のあれからを追った。
東莞市で、6000人以上の警察官が動員されて実施された掃黄から4カ月近くが経過した。
香港系や台湾系をはじめ、外資系企業が生産拠点を構える同市では、男性の出張者や単身赴任者が多いことから性風俗産業が発展してきた。その経済規模は、同市のGDPの約1割に当たる年間8000億円以上ともいわれ、聖都ならぬ「性都」と呼ばれてきた。
中国では、性風俗営業はもちろん違法であり、最高で死刑もありえる重罪である。しかし実際には、地元政府や警察の幹部との癒着によって、性風俗産業は半ば公然と営業されてきた。
これまでも、トップの人事異動によって地方政府や警察組織のパワーバランスが変化したタイミングなどには、後ろ盾を失った性風俗業者を対象に、小規模な摘発が散発的に行われてきた。
ところが、2月初旬の旧正月明けに東莞市で吹き荒れた掃黄の嵐は「虎もハエも叩く」として習近平国家主席が進める反腐敗闘争の一環によるもので、性風俗を摘発することで贈収賄の温床を一掃し、汚職官僚たちを失職させることが狙いだった。
中央の大号令とあらば、地元有力者の庇護を受けていた性風俗業者も無力である。東莞市では、300以上の性風俗店舗が一夜にして消滅する大捕物となった。少なくとも36人の警官も、性風俗業者に便宜を図っていたとして拘束された。
さらに掃黄は東莞市にとどまらず、隣接する広州市や深●(=土へんに川)(シンセン)市をはじめ、広東省全域に広がり、1カ月あまりのうちに3000カ所以上の性風俗店舗や飲食店が、摘発や営業停止といった処分を受けた。
しかしそのなかには、巻き添えを食った者も少なくなかった。
同市在住の自営業の日本人男性(39)は話す。
「店にバーカウンターがあり女の子のバイトを働かせていただけで、『風俗営業』と見なされて営業停止になった日本人経営の居酒屋もあります。違法営業を摘発すると警官の成績に繋がるので、とにかくどこにでもイチャモンを付けていた。こうしたとばっちりを恐れ、掃黄からしばらくは非エロのサウナやバー、足裏マッサージ店までが軒並み自主的に営業を取りやめ、街はゴーストタウンのようになっていました」
現在ではこれらの店舗も営業を再開しており、街はかつての活気を取り戻しつつあるように見える。
ところが、同市での取材を進めると、街のいたるところに掃黄が残した負の影響が垣間見えてきた。 =つづく
■掃黄(サオファン) 中国での性風俗の一掃、摘発を指す。日本では性風俗をピンクで表すが、中国は黄色で表現することからこう言われる。
■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県生まれ。上智大経済学部卒。2004年に渡米、出版社・新聞社勤務を経てフリーに。07年から中国・広州で取材活動を開始。08年に帰国し、中国の社会問題を週刊誌などで執筆中。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社)、『中華バカ事件簿』(同)など。
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