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日経ヴェリタスセレクト
値引きでも売れぬ不動産 中国バブルに迫る危機
2014/5/27 7:00
4月30日、上海。市内の住宅展示会は不穏な空気に包まれていた。「8.8折(12%引き)」。会場のそこかしこで目にするのは値引きのサイン。1年前のこの場所で強気一辺倒だった不動産会社の姿はもはやなかった。
■「隣の半額以下だ」
例えば不動産中堅の上置集団が売り出した高級マンション雅賓利花園。「値段は大手の華僑城が昨年売り出した隣接物件の半額以下だ」(営業担当者)。「展示会で販売した計133物件のうち27物件が公開で値引きをした」。地元紙はこう伝えた。
中国の不動産市場が変調をきたしている。衝撃を広げたのは国家統計局による5月13日の発表だ。1〜4月期の住宅販売額が一気に前年同期比9.9%減少。値引きしても売れない姿が浮き彫りになった。値下がりを見込む消費者が買い控えを決めこんでいるためで、不動産市場は急速に熱気を失いつつある。
関係者が変調に気をもむのは住宅が輸出と並ぶ経済のけん引役という理由だけではない。「影の銀行」と呼ばれる銀行外の金融チャネルを通して、個人も企業も地方政府も不動産投資にどっぷりと漬かっているためだ。不動産の調整が始まると痛みが国の隅々に広がる恐れがある。そのリスクは絵空事ではない。
「深圳市中級人民法院に差し押さえられました」。香港にほど近く、日本人客の利用も多い老舗ホテルの深圳新都酒店が声明を出したのは15日。親会社の深圳光耀地産が6000万元(9億8000万円)の借入金を返済できなくなったのが原因だった。
光耀地産は中国で不動産会社の「100強」に選ばれたこともある有力企業。ゴルフ大会を後援するなど活動は華やかだが、資金繰りは「理財商品」と呼ばれる影の銀行の財テク商品に依存していた。典型例が江蘇省揚州市に建設中の別荘地。「当社のブランド力で別荘はすぐに完売するはず」。こううたい、理財商品を通じて個人から資金をかき集めた。利回りが10.8〜11.5%の同商品は光耀が破綻すればデフォルトを免れない。
地方政府による土地売却の現場も情景がガラリと変わった。
江蘇省蘇州市政府が土地18カ所の使用権を競売にかけたのは4月15日。だが在庫処分に苦慮する不動産会社が応札をためらい、3カ所で取引が成立しなかった。大手企業が高額で次々と土地を落札し、「地王」の誕生ともてはやされたのはつい昨年の話だ。土地神話が健在だった昨年に地方政府は土地の売却で前年比4割増の4兆1000億元を手にしている。住宅の変調は地方政府から有力な収入源を奪い、開発プロジェクトや理財商品などが焦げ付いた際の救済余力をも奪い去ろうとしている。
■成長率、急低下も
中国全体でみれば不動産価格はなお上がりつづけている。だが上昇率は急速に縮小し、一部では下落に転じた。値上がりを信じて疑わないマネーが演出してきた不動産バブルは黄昏(たそがれ)時を迎えているのか。
市場でも異なる見方が交錯しているが、野村インターナショナル(香港)の張智威氏は悲観派の1人だ。もはや不動産市場の問題は「調整の有無や時期ではなく、どれほど深刻なものになるかに移った」と見る。
ささやかれ始めたのは「ハードランディング」への懸念だ。「住宅の大調整が起きれば中国の今年の成長率は6.6%、来年は4.8%に低下し、同時に世界経済の来年の成長率を0.5%押し下げる」。米調査会社IHSが20日に警告を発した。きしむ中国経済。その行く末は世界経済をも揺さぶりかねない。(詳細は25日付紙面に)
張勇祥、土居倫之(上海)、大越匡洋(北京)、押切智義が担当した。
[日経ヴェリタス2014年5月25日付]
http://www.nikkei.com/money/features/29.aspx?g=DGXNASFZ2201F_22052014K10100
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