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香港(CNN) 両親の多くが都市に出稼ぎにでる中国で、内陸農村部に残された子どもを取り巻く状況が深刻化している。いわゆる「留守児童」の問題だ。留守児童の大半は祖父母や親戚の元に預けられているが、無防備な状態で犯罪の危険にさらされる子どもも多い。
昨年、留守児童の窮状を象徴するような事件が起こった。9歳になる一人娘を祖母に預け広州で働いていたチェン夫妻の元に11月、助けを求める悲痛な電話がかかってきたのだった。
初めは具合が良くないなどと言って両親に家に帰ってくるよう求めていたが、最後には学校の教師に強姦(ごうかん)されたことを涙ながらに伝えてきた。
共産党機関紙「人民日報」によると、この教師の被害者は計5人。いずれも14歳以下で、同じ学校に通っていた。
事件はあらためて「留守児童」の窮状を浮き彫りにした。
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中国全国女性連盟(CWF)の統計によると、農村部に取り残された子どもの数は、片方の親だけ不在の場合も含め、6100万人に上る。子ども5人に1人の割合だ。
両親とも家にいない例は、18歳以下で3000万人。200万人の子どもは、大人の保護者がいない状況で暮らしており、自衛を余儀なくされている。
留守児童に関する著作があるイエ・ジンジョン氏によると、チェン氏の事件のように娘が農村に残された場合、性犯罪者の標的となりやすいという。
実際、国営新華社通信の報道をみても、性被害として報告される事件の多くは、留守児童を狙った犯行だ。広東省化州市では、実に94%の事件が留守児童絡み。
同通信によると、当局も対策に乗り出しており、「安全集会」の開催を学校に命じるなどして、学校管理や教師倫理の向上を図っている。
留守児童世代にまつわる問題は性被害だけではない。長いあいだ両親と離れて暮らすことで、感情面でのしこりも生まれる。子どもは自分が家族の負担になっていると悩み、出稼ぎ労働者の側でも親失格だと自責する。親に見捨てられたと恨み、電話に出ない子どもまでいる。
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こうした留守児童の欠乏感が将来、中国社会に暗い影を落とすのではないかと広く懸念されている。
当局はこれまでも施策を講じてきたが、イエ氏は、当局が留守児童の窮状を真剣に受け止めないかぎり、事態の好転は見込めないと警鐘を鳴らす。
冒頭のチェン氏は故郷の村にもどり、傷ついた娘に寄り添っている。春節(旧正月)が終わり広州の職場にもどる際は、娘も連れて行くと語っていた。母も仕事を辞め、育児に専念するという。
チェン氏は学校からの補償金1万元の受け取りを拒否。あくまで犯人が「正しい刑に処される」ことを望んでいる。
http://www.cnn.co.jp/world/35044817.html
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