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あなどれない中華スマホ 高機能・安値の理由[日経新聞]
2014/3/28 7:00
中国メーカー製の低価格スマートフォン(スマホ)が急成長している。中国メーカー製と聞くと「安かろう悪かろう」のイメージを抱く人も多いだろうが、近年は急速な技術の進化により日本で流通している大手メーカー製に匹敵する性能の端末も増えている。現地の価格をみると、大手メーカー製に劣らぬ性能ながら価格は半額という製品もある。高い品質を保って価格を抑えられるのはなぜだろうか。
■部材の大量調達でコスト削減
「ハイエンド(高級)スマホの相場が半額まで下がった」。調査会社ディスプレイサーチの早瀬宏バイスプレジデントは、中国スマホ市場の変化をこう指摘する。高機能スマホの価格破壊の引き金を引いたとみられるのが、現地スマホメーカー北京小米科技(シャオミ)が昨年発売した旗艦モデル「小米Mi3」だ。
機能は米アップルをはじめ大手メーカーの上位モデルと比べても遜色ない。液晶パネルは5インチのフルハイビジョン画質。CPU(中央演算処理装置)は2.3あるいは1.8ギガヘルツのクアッドコア。カメラは1300万画素のソニー製だ。
この機種を操作したアナリストによると、動作は非常に速く「操作感はiPhoneなど高級機種にも劣らない」(電子部品アナリスト)。販売ルートがメーカー直販に限られることもあり、現地でも入手が難しいほどの人気という。スペックだけでなく、シンプルなデザイン、厚み8ミリの薄型ボディーは魅力的に映る。
価格は最安のモデルで1999元(約3万3千円)。端末単体の価格で、携帯キャリアとの長期契約など契約オプションによる値引きは含まれない。
日本国内では、iPhoneのSIMフリーモデルがアップルの直販サイトでiPhone5Cなら6万800円から、5Sで7万1800円から。シャープなど大手メーカーの現行主力モデルも5インチのフルハイビジョン液晶などスペックはほぼ同等で、端末単体の価格は7万円前後。半額以下で販売している小米Mi3の安さが際立つ。
中華スマホが低価格を実現した第1の秘密は、世界一の人口を抱える巨大な市場のため、新興メーカーでも大量の部材を調達できる点にある。「まだ名前も聞いたことのないメーカーからも、驚くようなロットの受注が入る。もちろん土壇場でキャンセルが出る例もしばしばあるが……」。メモリー大手の日本法人幹部は苦笑いする。
中国には開発や生産を外注しやすい環境も整っている。米アップル製品の製造などで有名な鴻海をはじめ、中国圏にはノウハウや技術力を蓄積してきた電子機器の受託製造サービス(EMS)が無数に存在する。自前の生産拠点を持つ必要がなく、莫大な初期投資をかけず効率的に開発・生産できる体制を作りやすい。
■高速通信のインフラ導入進む
小米科技はソフトやアプリケーション開発に特化し、ハード面の設計などは外注して開発費を低く抑えている。広告費も使わず、直営のカスタマーセンターなどを拠点にして携帯電話に詳しいマニア層と積極的に交流。自社製品のファンを増やす独特の戦略で、価格低減につなげている。
日米などの大手スマホメーカーは上位機種を作る際、高性能で高価格の部材をふんだんに使っている。香港在住の携帯電話評論家、山根康宏氏は「中国メーカーはスマホを開発する際、使用感に直結しない部分には安いものをつかうなどメリハリを付けている」と指摘する。
日米などの大手メーカーは、必要な性能や品位を満たすために部材コストを積み上げ、最終的なスマホの価格を決める傾向がある。一方、中国メーカーは通信企業がスマホ製造企業に店頭価格を1000元(約1万7千円)以下にできるよう、“指し値”でスマホの供給を要請しているという。
昨夏に発売して現地で屈指の人気機種となった酷派(Coolpad)の「酷派7295」の価格は999元。小米科技の下位機種「紅米」は最安モデルで699元。いずれも端末単体の価格だ。だが、そのスペックは大手メーカー製の現行モデルに比べてカメラの画素数や画面の解像度はやや劣るものの、CPUや画面の大きさ、メモリー容量などは見劣りしない。急速に低価格化を進めながら、性能の向上も図っている。
山根氏は「けっして安かろう悪かろうの製品でなく、スペックのバランスもよい。操作感もゲームなどで画像が少しもたつくが、日常的に使うには快適だ」と指摘、日本でも十分に使えるレベルだと評価する。
中国はLTE方式の高速通信を順次導入し始めており、通信インフラは先進国に近づきつつある。このため、中国向けに開発した端末は、先進国でも販売しやすい環境となった。山根氏は「今年以降、中国メーカーの海外市場進出が本格化するだろう。紅米や酷派7295のようなバランスのよい1000元以下のスマホは、先進国の若年層でも受け入れられる」と予想する。国内メーカーの撤退が相次ぐ日本市場もターゲットとなりそうだ。
中国メーカー製スマホやタブレットの日本向けネット通販を手掛ける香港屋(広東省深圳市)は「小米の登場で中国メーカー製端末への信頼性が高まり、日本における知名度も急上昇した。最近の注文数は前年同時期の5倍近くに増えている」という。
■日本で使えない機種も
最近、NTTドコモなど大手通信キャリア以外の通信業者が展開するいわゆる「格安SIM」のサービス普及が進み、月々の通信料金を抑える選択肢は増えている。中国のスマホメーカーが日本の販売チャネルを整えれば、端末を入手するための負担が軽くなる可能性もある。
ただ、いくら安くて高性能でも、日本国内で使用できるのは「技適マーク」の付いている端末に限られる。同マークは電波法令が定める技術基準に適合していることを証明したもの。これがない端末を国内で使えば違法行為となるため、注意が必要だ。
(商品部 佐藤 洋輔)
http://www.nikkei.com/article/DGXBZO68947380X20C14A3000000/?dg=1
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