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恐怖政治は幹部だけでなく人民にも波及か
【北朝鮮】金正恩の恐怖政治が深刻化「楯突く者は皆殺し」
http://dmm-news.com/article/918881/
DMMニュース 2015.02.17 06:50
北朝鮮の金正恩氏が北朝鮮の最高指導者となっておよそ3年の月日が過ぎた。2012年4月に第一書記となった直後には、モランボン楽団のように明らかに海外を意識したガールズグループを結成し、公式メディアのIT化を図るなど「オープンな北朝鮮」というイメージを打ち出した。一方、それと平行して長距離弾道ミサイル「銀河3号」を発射し、核実験を強行した。さらに戦争騒動を引き起こすなど最初の2年間を全力で飛ばしまくったという印象がある。
そのせいか、次第に周辺国も少々のことでは動じなくなった。周辺国の覚めた視線を敏感に感じ取ったのか、2013年末には、いきなりナンバー2の外叔父張成沢を無慈悲に処刑。一端キレだしたら何をするのか予測不可能という一面を見せている。
行動は予測不可能だが、正恩氏の行動の裏には一貫したモチベーションがあると筆者は見る。それは「早くみんなに認められるナンバー1になりたい」という自己顕示欲だ。裏返せばナンバー1になりきれていない焦燥感が予測不可能な行動に表れているともいえる。
そして、正恩氏は張成沢処刑以後も、大物幹部を粛清することによって、自らの権力を誇示しようとしている。
■大物幹部2人が新たに粛清された
閉鎖的な北朝鮮から確度の高い情報をキャッチするのは極めて困難だが、筆者が「デイリーNKジャパン」で複数の情報を分析した結果、二人の大物幹部が粛清されていることを確信した。
一人は、設計関係を牛耳っていた馬園春(マ・ウォンチュン)。もう一人は、辺仁善(ピョン・インソン)北朝鮮軍総参謀部作戦局長だ。馬園春氏は、2014年11月以後に粛清されたと見られている。彼は、張成沢処刑を主導したグループの一人だったが、それからわずか1年もたたないうちに粛清されてしまったわけだ。そして、辺仁善は「総参謀本部作戦局長」という肩書きにもかかわらず姿を消してしまった。
「北朝鮮 張成沢処刑にも関わった幹部が粛清か」
http://dailynk.jp/archives/34002
もちろんこうした粛清の裏には、党や軍の勢力争いがあると思われるが、最終的な決断を下せるのは最高指導者のみで「金正恩氏が2人を粛清した」と言わざるを得ない。こうした正恩氏の恐怖政治は「モヤシ頭」というブラックジョーク的な流行語まで生み出した。
高級幹部に対する粛清が次々に行われる様子を、ひょいひょい摘まれていくモヤシの頭に例えた風刺だ。また、上に上がれば上がるほど粛清される危険性が増すという意味も込められている。
いつどんな理由で粛清されるのかわからない──そんな恐怖心にとらわれたせいか、金正恩氏の現地指導に同行するのを嫌がる幹部達も出てきた。彼らは仮病を使ってなんとか随行から逃げようとするが、監視の目もあることから結局は同行せざるをえない。
最近の『労働新聞』を見ていると、老幹部達が正恩氏の後ろでもみ手をしたり、愛想笑いをしながら懸命にメモを取る様子が頻繁に見られる。これはまさに正恩氏の恐怖政治の影響だろう。
■悪名高き「公開処刑」も復活していた!
かつては韓流ドラマを見ただけで、公開処刑になるケースもあったが、2005年ぐらいからは、一般住民に対する公開処刑は減っていた。国際社会からの批判を避ける意味合いがあったという。ただし、マシになったわけでなく、公開処刑ではなく、刑務所でこっそり処刑されているだけで相変わらず人権を無視した体制であることには変わりない。
その一方、2014年11月中旬には、中国に隣接する北朝鮮の新義州で、高利貸しの50代女性が「賭博と薬物使用」容疑で公開処刑された。なぜ、この女性は公開処刑されたのか。
この女性の最初の罪状は「賭博」。ところが、取り調べで違法な財テクをしていたことが発覚し、さらに、財テクを見逃してもらうため賄賂をわたした警察幹部などの名前まで自白。罪が自分たちにまで及ぶことを恐れた幹部達が『賭博や薬物に溺れて非社会主義的生活をした』という罪名を着せて慌てて公開処刑したのだ。
今回の公開処刑は極めて異例だ。さらに、隠れてお金を蓄えているビジネスマンや高利貸し、幹部にたいする「見せつけ」の意味合いが含まれているが、金正恩体制の恐怖政治が、一般民衆にじわじわと及んでいるとも見られる。
最初に述べたが、正恩氏は「真のナンバー1」とは言いがたい。どんな社会や組織であれ、認められないナンバー1の行く先にあるのは「恐怖政治」だ。もちろん日本などの民主主義国家では粛清や処刑はありえないが、人望のないトップが、デメリットがあるのをわかりながらも意固地になって有望なナンバー2や部下を次々に切っていくという構図は決して珍しくない。
こうしたナンバー1に率いられた組織や集団の先には衰退か滅亡しかないことは歴史の必然だ。歪な政治手腕が、遅かれ早かれ体制不安に導くことを金正恩体制は知るべきである。
ところで、あなたの周りにもいませんか。「プチ金正恩」が?
著者プロフィール
高 英起
デイリーNK東京支局長
高 英起
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNK」の東京支局長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』(新潮社)など。@dailynkjapanでも日々、情報を発信中
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