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執行猶予なしという異例の判決に
捜査妨害は不問…ナッツ姫・実刑1年は“優遇”だ!
http://dmm-news.com/article/918585/
DMMニュース 2015.02.16 11:50
“ナッツリターン”事件を起こしたチョ・ヒョナ前大韓航空副社長に実刑判決が下った。
担当した裁判官は「お金と地位で人間の自尊心を傷つけた」として、同事件とチョ被告を厳しく非難。ソウル西部地方裁判所で2月12日に行なわれた一審では航空機航路変更、航空安全運航に妨害をもたらす暴行、刑法上の強要、業務妨害などが争点となっていた。裁判長はチョ被告のこの4つの罪状を認め、執行猶予なしの懲役1年を言い渡した。
この判決を受けたチョ被告と弁護団は、翌日の13日に控訴した。「第一審判決にいたるまでの事実誤認と罪状に対する法理適用の誤解、量刑不当」を訴え、徹底抗戦する構えだ。韓国メディアは、チョ被告が一審前に反省文を6回も提出していることなどを例に挙げ、控訴に対して「本当に反省しているのか」と暗に批判の声を挙げている。
今回の判決は民意の圧力を受け財閥ファミリーを吊るしあげただけの、“国民ショー裁判”だったのではないか──事件発生から一審判決まで一連の顛末が報じられた日本では、はっきりと明言されないものの、一部にそのような疑問が燻っている。では、当の韓国国民は判決をどう受け止めているのだろうか。
韓国メディアに寄せられた国民の意見は、「当たり前だ」など、概ね今回の判決を支持している。なかには「量刑が軽すぎる」という意見も少なくなく、「しっかりと服役する姿を見せ、国民に対して責任を果たすべきだ」と厳しい批判もあるようだ。
話を聞かせてくれたとある韓国の新聞記者は、「華やかな人生が報じられていたチョ被告や、財閥ファミリーの横暴に関して特別な感情があるのは確か」としながらも、「ただ、専門家の方からも同じ意見が多い」と、国民の世論の“冷静さ”を強調した。同記者はつけ加える。
「検察側は今回の裁判で、大韓航空の組織的な犯行にまで言及しています。例えば、国土交通部の調査に対する公務執行妨害などがそれにあたります。ただ、そちらの罪状に関しては、証拠不十分で無罪判決が出ている。思ったより軽い判決、というよりも、もっとも軽い刑に落ち着いたというのが、韓国の専門家大多数の意見です」
■大韓航空関係者と国交省監督官の捜査妨害は不問?
オーマイニュースが報じたところによると、事件後にチョ被告とともに、大韓航空の関係者と国土交通部の監督官が、それぞれ1名ずつが拘束されたという。両名は事件当日の資料を、職員に隠ぺいするよう指示。また、虚偽の報告書を作成し、国土交通部に提出しようとした疑いがかけられていた。
同記者の話を整理すると、今回の裁判では、その組織的な公務執行妨害への関与の疑いが、チョ被告の量刑として認められなかった。そのため、裁判は基本的には適切に行われたが、財閥関係者だからこそ優遇された点もあるのではというのが、韓国の専門家たちの意見の趨勢になっているのだそうだ。
これまで、韓国財閥関係者は数々の犯罪で摘発、起訴されてきたが、執行猶予がつき実質的なお咎めなしというのが“通例”となっていた。権力やお金を持ってさえいれば、罪を犯しても社会的に野放しという状態が続いていたのだ。ただここ数年は、財閥関係者と言えども例外を許さないという国民世論の風潮が醸成されつつある。チョ被告の判決も、日本から見れば「やりすぎではないか」と感じるかもしれないが、韓国国民にとっては「ようやく国や司法がまともになってきた」というのが、率直な感想のようだ。
(取材・文/中川武司)
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