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『ニューズウィーク日本版』2015−2・10
P.19
「日韓を悩ます無責任回顧録
国家指導者の回顧録は歴史の闇を照らす貴重な資科だが、回顧するのがあまりに早いと単に迷惑な暴露本となりかねない。
今週、韓国の李明博前大統領が回顧録『大統領の時間』を刊行した。側近の制止を振り切って、大胆な裏話を800ページにわたってふんだんに盛り込んだという。
最も注目されているのが、北朝鮮の潜水艦による魚雷攻撃で韓国の哨戒艦天安が沈没した10年当時の記述。犠牲者は46人に上り、南北関係は一気に冷え込んだ。李は大統領として、貿易を含む南北交流をほぼ全面的に中断するなど厳しい措置を取り、当時称賛を浴びた。
回顧録で初めて明かされたのが、事件直後に国家情報院の幹部をひそかに北に派遣したエピソード。謝罪を迫る幹部に対し、北朝鮮側は反省するどころか、謝罪の見返りにコメ50トンを要求したという。当時北が取った理不尽な態度が明るみに出たことで、5年前の悲劇の記憶がいまだ生々しい韓国社会に怒りの声が上がっている。
北との関係改善を模索する朴桂恵現政権も、怒りを隠せずにいる。朴は昨年末に南北首脳会談与を念頭に関係改善を北に提案。北開鮮の全正恩第1書記も年頭の演説で前向きな意向を示したばかりだ。李の暴露は「朴主導の南北融和に水を差す無神経な行為」と、韓国政府内からは批判が起きている。
対日外交についても李は「無神経」ぶりを発揮した。日韓問係をどん底に突き落とした12年夏の竹島(韓国名・独島)上陸について、「大統領就任前から独島訪問の意思があった」と回顧し、自らの愛国心を強調した。
ただ、李は11年の日韓首脳会談で日本の野田佳彦首相(当時)に、「歴代の大統領は任期後半に反日を利用して支持率を上げたが、私はそうしない」と語っていたことが知られている。明らかな矛盾により、自らの二枚舌を露呈させてしまった。
今年は日韓国交正常化50周年。両国が水面下で関係修復に動くなか、李の無責任ぶりはさらなる関係悪化を招きかねない。歴史の闇を照らすどころか、日韓両国にとって闇に葬りたい回顧録となりそうだ。
前川祐補(本誌記者)」
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