04. 2014年11月10日 11:06:54
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〖社説〗米朝接近と中・日首脳会談、姿の見えない韓国外交 北朝鮮は8日、これまで身柄を拘束していた米国人のケネス・ペ氏(46)とトッド・ミラー氏(24)を釈放した。ペ氏は北朝鮮に入った直後にスパイ容疑で身柄を拘束されてから2年ぶり、ミラー氏は7カ月ぶりの釈放だ。北朝鮮は先月も、今年4月以来拘禁していた米国人エドワード・ファウル氏(56)を釈放している。これによって2年にわたり続いてきた北朝鮮による米国人拘束問題は全て解決した。 米国政府は今回、オバマ大統領の特使として国家情報局(DNI)のジェームス・クラファー局長を北朝鮮に派遣した。クラファー氏はオバマ大統領の親書を携えていたが、朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記との面会はかなわなかったようだ。DNIは中央情報局(CIA)、国家安全保障局(NSA)、連邦捜査局(FBI)など米国に10以上ある情報機関を総括指揮する立場にある。つまり今回米国はオバマ大統領の目、あるいは耳として重要な職務を遂行する情報機関の責任者に直接北朝鮮との交渉を担当させ、これまで情報機関の関係者が外交交渉に臨まないとしてきた不文律を見直したわけだ。
オバマ大統領はこれまで6年の在任期間中、核問題では北朝鮮が先に態度を改めるよう求め「対話のための対話はしない」と公言してきた。このように北朝鮮に対して一切の関心を示そうとしなかったオバマ大統領が、自らの政府で情報収集の最高責任者を務める人物を北朝鮮に特使として派遣し、米国人釈放交渉に決着をつけた。これにより外交の舞台で重要なことは、相手に対する好き嫌いの感情ではなく「国益」であることをあらためて思い知らされた。
中国と日本の関係も米朝関係と同じく突然動き出した。中国の習近平国家主席は今年7月に来韓した際、日本の安倍内閣が歴史認識で逆行していることや、日本によるかつての侵略行為に言及しながら、韓国と中国が日本に対し協力して対抗することを提案していた。習主席はつい先日もある行事に出席した際、日本を「盗賊」などと呼んでいた。ところがその習主席が今月10日と11日に北京で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際、安倍首相と首脳会談を行うことが決まった。2012年末に第2次安倍政権が発足して以降、初めての中・日首脳会談だ。これに対して朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は今回のAPEC期間中も、安倍首相と首脳会談を行う可能性は限りなく低いようだ。 中・日両国は今回の首脳会談に向けた水面下での交渉で、双方が領有権を主張し激しく対立していた尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題などをめぐり大枠での方向性を整理した。両国が公表した四つの合意事項を見ると、尖閣諸島問題は「双方が互いに異なった見解を持つことを認識し、危機管理のメカニズムを立ち上げることにした」とされており、歴史問題は「歴史を直視」「未来志向の精神」といった従来通りの落としどころで一致したようだ。この合意を受けて中国は「日本が領土問題などで譲歩した」という見方を盛んに宣伝しており、日本も2年ぶりの首脳会談開催自体を外交面での成果と見なしている。いずれにしても今や中・日関係は首脳間で顔も合わせられなかった異常な状況から抜け出し、互いに競争し協力する新たな段階に一歩前進したといえるだろう。 このようにここ数日で急速に動いた米朝交渉と中・日首脳会談について、韓国政府は「(それだけでは)根本的な情勢の変化と見なすことはできない」との立場を表明している。米朝関係と中・日関係に少しばかりの変化があったとしても、いずれもその限界は目に見えているとの立場だ。実際に北朝鮮の核開発問題や人権問題などにおいて、米国が従来の立場を急に見直す可能性はほとんど考えられない。北朝鮮が3人の米国人を釈放したことは、金正恩氏をはじめとする北朝鮮の政府幹部を国際刑事裁判所に訴えるよう求める国連の動きが本格化した状況と、決して無関係ではないはずだ。
しかし先日の米国中間選挙で敗れたオバマ政権が、任期終盤に外交面で一定の成果を出すため、北朝鮮に手を伸ばす可能性はいくらでも考えられる。そうなれば米朝交渉が本格化し、韓国は脇役に追いやられてしまうだろう。かつてもそのような状況は何度も繰り返されてきた。
中・日関係も1回の首脳会談で両国の対立が一気に解消することはないはずだ。しかし少なくとも軍事面、外交面での衝突を回避し、対話の窓口が開かれたことだけは間違いない。
問題はこれまで中国と歩調を合わせ、安倍首相との首脳会談に応じないことを重要なカードと見なしてきた大韓民国の外交政策だ。日本は今年の夏まで韓日首脳会談開催をさかんに求めていたが、最近はその熱意も冷めてしまったようだ。これは中・日首脳会談が現実となったことが大きいだろう。ところが韓国の外交政策は「中国は日本からの首脳会談の求めに簡単には応じないだろう」と都合よく解釈し、中・日関係の大きな流れの変化から顔を背けたまま、自分勝手な「外交原則」ばかりを強調してきた。慰安婦問題をはじめとする歴史問題で、日本が先に真の反省と謝罪を行うべきという点に異議を唱える国民はいない。重要なことは、この目標をいかに実現に導くかだ。今韓国政府が置かれた状況は、前後が完全に行き詰まり打つ手を失った状態だといっても過言ではない。突然の米朝雪解けムードと中・日接近を横目で見ながら、国民は一層の不安を感じざるを得ないだろう。
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