03. 2014年10月23日 09:35:28
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現実には、なかなか倒れないねhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42023 金正恩40日ぶりに登場も不安な権力基盤、 現実味を帯びる北朝鮮の崩壊シナリオ 米国で真剣に議論される金政権後の対応 2014年10月22日(Wed) 古森 義久 北朝鮮の金正恩第1書記が公式の場から40日も姿を消し、様々な憶測を呼んだ。その後、10月3日には科学者らの集合住宅を視察する姿が報道されたが、彼の健康状態や権力掌握度をめぐって各国の北朝鮮ウォッチャーの間で議論がまた一段と活発になっている。 そんな中、米国の専門家たちの間では、金正恩書記が失脚した後の「金政権後の北朝鮮」を論じる向きも多い。今回はその一例を紹介しよう。米国の国防総省の長官室で北朝鮮問題を担当してきた気鋭の研究者の報告である。 米国でのこうした議論の背後には、いまの金政権が崩壊、あるいは失脚する可能性を現実の政策の視野に入れておくべきだとする考えがある。日本では、金正恩政権は揺るがないとする見方が強い。しかし、北朝鮮の政情に「絶対」はないということは、張成沢氏の粛清でも裏づけられている。 現実的に金正恩の失脚後を見据えるべき ワシントンの有力シンクタンク「新アメリカ安全保障センター」の研究員で朝鮮半島情勢の専門家、バン・ジャクソン氏は10月17日、「金政権後の北朝鮮での武力衝突を防ぐ」と題する論文を発表した。 ジャクソン氏は2009年から2014年春まで国防総省で長官直轄部門の朝鮮部長やアジア太平洋戦略顧問などを務めた。オバマ政権の国防総省の対朝鮮半島安保政策に最近まで深く関わっていた人物だけに、その見解発表はアジアや朝鮮半島の安全保障政策に関わるワシントンの関係者たちの間で注目を集めた。 ジャクソン論文が話題となる理由の1つは、金正恩政権が安定しておらず、倒れる危険性が現実にあるという前提を打ち出しているからである。 同論文は冒頭で、「金正恩の権力喪失は、北朝鮮が米国や韓国に向けて実行するかもしれない武力攻撃にどんな影響を与えるのか。その武力攻撃を防ぐためにはどうすればよいのか」と記していた。北朝鮮で全権掌握を誇る最高指導者の金正恩書記が権力の座を失う可能性があるという前提なのだ。 同論文はまず、金書記が40日も消息不明だったことにオバマ政権の高官も重大な関心を向け、国家安全保障担当の大統領補佐官スーザン・ライス氏が「米国政府当局者としては、北朝鮮の権力が(金書記から他の個人あるいは集団に)移行したことを示す兆候は確認していない」と語ったことを指摘した。米国政府の観測というのは、やはり大きいのである。 そのうえで同論文は、「好むと好まざるを問わず、私たちは現在を越える地点を見据えて、将来を左右する潜在要因のパターンや傾向を考えることを、現実的な戦略として求められている」と述べていた。 同時に「こうした考え方で現状を見ると、北朝鮮はまだ変化を見せていなくても、やがて変化していく兆候がいくつか存在する」と記していた。つまり、金正恩政権の崩壊後につながる様々な動きを考察せよ、というわけである。 そうした変化が起こり得る要因として、同論文は以下の諸点を列記していた。 (1)金正恩書記はまだ若いうえ、健康状態が極めて悪く、広く尊敬されている状態にはほど遠い。この状態は権力の座に就いた2011年からまったく変わっていない。 (2)北朝鮮の政治的正当性は、すべて王朝、そして国の宿命としての金一族の物語に依拠している。だから金正恩氏が統治者に不適と見なされれば、金一族の中から傀儡の後継者や女性が次の権力者として登場し得る。 (3)金一族の統治に代わる支配の概念として、歴史的な継続性のある「先軍政治」思想がある。この思想は軍部への敬意を表しており、その思想に基づき、統制のとれた軍部が権力を掌握する可能性がある。 このように、金正恩政権以外の権力機構の登場を可能にする政治土壌が、北朝鮮には存在するというのである。 北朝鮮が米韓を武力攻撃するシナリオとは では、北朝鮮には今後、具体的にどのような統治機構や権力体制が生まれ得るというのだろうか。 ジャクソン氏は論文の中で以下のようなシナリオを明らかにした。 (1)金一族の権力独占の継続 (2)ごく少数の政治、官僚エリートによる寡頭支配 (3)軍事政権による支配 (4)複数の競合派閥勢力による地方分散型の支配 4つのシナリオのうち(2)から(4)までは金正恩氏の失脚を完全に視野に入れている。金正恩政権の後には労働党や政府機関のエリート、軍事政権が出てくる可能性があるという想定だった。 ジャクソン氏がこの論文の中心課題として提起していたのは、北朝鮮でクーデターのような政変が勃発した際、内外での軍事力行使を防ぐべきだとする点である。その危険性は、(3)の「軍事政権による支配」と(4)の「複数の競合派閥勢力による地方分散型の支配」というシナリオにおいて特に高いという。そのため米国も韓国も、(3)(4)の状況となることを特に警戒し、北朝鮮が暴発的に米国や韓国に対して武力行使に出る事態を避ける措置を取らなければならないとしている。 想定外の、さらなる外の事態をも考えて、複眼的、多角的に北朝鮮問題に対応しなければならないということだ。 【もっと知りたい! こちらも併せてお読みください】 ・「金正恩政権を崩壊させるのがベストシナリオ」 (014.07.02、古森 義久) ・「北朝鮮についにオオカミが来てしまうのか?」 ( 2014.02.14、藤 和彦 )
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