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【から(韓)くに便り】「クリーン」で「ストイック」な朴大統領と「目先の忠誠・利益」に走る部下
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20141014/frn1410141140005-n1.htm
2014.10.14 夕刊フジ
産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)が朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして在宅起訴された。前任者として触れないわけにはいかないが、迂遠(うえん)な話から入りたい。
朴大統領の父、朴正煕(チョンヒ)大統領時代の1973年に日本で「金大中(キム・デジュン)拉致事件」が起きた。朴政権批判の反政府活動をしていた金大中氏の口を封じるため、韓国の情報機関が東京で彼を誘拐しひそかに韓国に連れ戻した事件だ。
国際的に大問題になり「韓国はとんでもないことをする国」として非難が噴出した。国際世論の悪化で朴正煕大統領は深刻な政治危機に陥った。
当時、朴槿恵氏は大学生だったが、79年に父が暗殺事件で亡くなった後、金大中拉致事件の記憶について確か「事件の知らせに父は驚き怒っていた」と語っていた。
金大中氏拉致は情報機関つまり部下たちの“過剰忠誠”による犯行で大統領は知らなかったというわけだ。部下が忠誠のつもりでやったことが結果的に上司の足を引っ張り、組織の利益と評判を大いに落とすという見本のような話である。
その教訓とは「目先の忠誠や目先の利益にこだわると結果はろくなことはない」である。とくに威勢のいい忠誠心、つまりカッコいい強硬論はいつも要注意だ。これは忠誠を誇示したい部下はもちろん、忠誠を受ける上司にもいえる。
今回の産経前支局長在宅起訴事件に接しながら思いついたことだ。
事件の争点が「大統領に対する名誉毀損」だけに、大統領官邸スタッフや検察など部下たちは忠誠心を働かせるのに懸命だろう。大統領もまたそれをむげにできないだろうが、その対応は「目先の忠誠・利益」に流れている。
今回、日本がらみの事件では珍しく韓国メディアのほとんどが「対外的評判が落ちる」という国益論の観点から起訴に反対し政府を批判している。
政府は過去よく見られた「国家元首への冒涜(ぼうとく)は許さず」などという「目先の忠誠・利益」で動いているが、民主化を経たメディアはそれに惑わされずブレーキをかけているのだ。
起訴状は野党陣営やメディアがしきりに疑惑と騒いだ「セウォル号沈没事故」当日の大統領の「7時間の空白」について、私生活疑惑は虚偽でありそれを伝えた産経の記事は名誉毀損にあたるとしている。
報道が名誉毀損にあたるかどうかを裁判所が判断することになるが、朴大統領の日ごろの“私生活”が「クリーン(清潔)」で「ストイック(禁欲的)」というのは大方の定評である。過去の大統領の“腐敗人脈”を最大教訓に人間関係にはきわめて慎重だ。
最も親しいとされる身内の弟一家さえ大統領官邸には一度も招いていない。それが「人間嫌い」「冷たい」と悪評になっているほどだ。だから大統領も部下たちも「クリーンとストイック」という看板とイメージだけは何としても守りたいと思っているはずだ。
ただそのイメージを守るために外国人記者に法的処罰を与えたのでは逆にイメージが傷つく。本人も部下たちもここは考えどころだ。
(ソウル駐在客員論説委員)
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