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欧州には何を売る?金正恩タケノコ外交の行方
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140914-00000524-san-kr
産経新聞 9月14日(日)22時0分配信
金正恩外交が本格的に始動した。外交のトップ、姜(カン)錫(ソク)柱(ジュ)書記(国際担当)が訪欧中のほか、今月下旬には国連総会のため李(リ)洙(ス)●(=土へんに庸)(ヨン)外相が訪米する。世襲以来3年、国際社会で孤立を深める金正恩体制が追い詰められ、“勝負”に出たことを意味している。北朝鮮経済は先が見えず統治資金のタケノコ生活にも限度がある。北朝鮮は来年、党創建70周年の節目を迎えるが、金正恩体制がこれをどう祝うかには3代目のメンツがかかっている。(久保田るり子)
■北朝鮮、欧州に何を売る?
姜錫柱氏はドイツで与党幹部、ブリュッセルで欧州連合(EU)議会の外交委員長らと会談、精力的に動いている。姜氏は金日成時代からの外交官だが核問題にも詳しく、現在は対米関係をはじめ北朝鮮外交のトップとみられている。
今回の訪欧は「欧州連合(EU)との関係強化」が目的とみられる。韓国貿易協会の統計によると、北朝鮮・EU貿易は今年上半期で昨年同期比の約14%増の1402万ユーロ(約15億円)で期待が持たれている。しかし、対北制裁の国際包囲網は欧州にも影を落としており、北朝鮮からEUへ輸出は昨年同期比で10%減だった。
姜氏はフランス語の使い手でもともとは欧州問題担当の外交官。ただ、1990年代に米朝関係の外交舞台に登場、1993年のカーター・金日成会談に側近として姿を現し、金日成の急逝(94年8月)後、核問題をめぐる米朝交渉の北朝鮮首席代表を務め、タフ・ネゴシエーターぶりを発揮して外交畑で出世してきた。
米朝協議では、米側の代表、ロバート・ガルーチ国務次官補を相手に北朝鮮側の核開発疑惑を逆手にとって軽水炉計画を主張し、米朝枠組み合意(ジュネーブ合意)で西側から支援を取り付けた。姜氏がジュネーブから帰国した際は、北朝鮮で凱旋(がいせん)将軍のように迎えられている。
金正日時代も小泉純一郎首相との日朝首脳会談に第一外務次官として同席。中朝首脳会談にも必ず指南役として参加してきた。4年前に副首相に昇格、金正恩時代に入ってからは今年、朝鮮労働党の国際書記に就任した。
では姜錫柱は、欧州に何を売ろうというのか。金正恩体制になって増えた輸出は、モノではなく「IT技術者と出稼ぎ労働者」とされている。
■進む核プログラムでほど遠い制裁緩和…
北朝鮮外交は李洙●(=土へんに庸)外相が4月から中東、アフリカ、東南アジアなどを歴訪し、日朝関係も動きだして、金正恩体制3年を前にした今秋が本格始動とみられてきた。狙いは国際社会の対北制裁の緩和だ。金正恩氏は国際社会で全く「国家元首」との扱いを受けられずにいる。
北朝鮮の孤立を深刻化しているのは核保有を自衛権とし進めている核プログラムだ。金正恩体制でこの態度に変化はみえない。それどころか、9月5日に発表された国際原子力機関(IAEA)の年次報告では、核活動の再開が確認された。
報告書は「北朝鮮・寧辺(ニョンビョン)の核施設で5キロメガワットの原子炉(黒鉛減速炉)から水蒸気や冷却水の排出が観測された。原子炉が稼働していることを示している」とした。寧辺内のほかの施設でも補修や工事が確認された。
北朝鮮は昨年4月に原子炉の再稼働を宣言しており、これが裏付けられた格好で、制裁を伴う北朝鮮包囲網が緩む可能性はほとんどないのが実情だ。
■米国と韓国には揺さぶり戦術で攻勢
一方、関係が膠着(こうちゃく)している米国と韓国についても金正恩政権は“人質”を使うなどして揺さぶり攻勢に出ている。
北朝鮮は拘束中の米国人3人について14日に最高裁で裁判を行うと発表した。この直前に米メディアのインタビューを許可された3人は米政府に解放交渉を要請している。「裁判」は北朝鮮側の対話を求める口実との見方が強い。2009年、北朝鮮で拘束された米国人女性記者2人の解放交渉ではクリントン元大統領が訪朝した。北朝鮮は前例にならって、大物の訪朝による直接対話を狙っているようだ。
韓国についても今月はじめ北朝鮮の朝鮮赤十字社が「不法入国した南の住人を板門店で引き渡す」と発表したほか、北系ウエブサイト「わが民族同士」が論説で、「南北関係改善の近道は金剛山観光の再開」などと呼びかけている。
金剛山観光では6年前、北朝鮮が韓国人女性を射殺した事件があり、韓国は謝罪など3条件を出しているが北朝鮮は応じていない。北朝鮮は韓国が動き出した金正恩外交に神経質になっていることを刺激すべく“揺さぶり攻勢”を開始したようだ。
核武装を強化しつつ進めようとの金正恩外交の行方に勝算は少ない。みせかけの対話路線で国際社会の信頼は得られるはずがない。ただ、金正恩スタイルは非合理的で振れ幅が大きいため、一気に強硬路線に変身する可能性もある。
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