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済州島の韓国軍基地 中韓両国の対日最前線拠点化の可能性も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140908-00000017-pseven-kr
SAPIO2014年10月号
韓国の南端にある韓国随一の景勝地・済州島に、現在巨大海軍基地が建設されようとしている。完成すれば日本、韓国、そして中国も含めた東アジアの軍事バランスが大きく変わることになる。
昨年6月、北京で中国人民解放軍の房峰輝総参謀長と韓国軍の鄭承兆合同参謀本部議長という双方の最高幹部が相対した。このとき中国側は、済州島の海軍基地に対して重大な関心を示した。
「韓国側にこの基地について詳しい情報の提供を求め、さらに完成後の中国艦船の寄港を打診したようです。今の韓国の中国傾斜を考えれば、将来的には中国海軍の艦船が済州島の基地を自由に使う日が来ることだってあり得なくない。そうなると済州島は、中韓両国の対日最前線拠点となってしまう」(防衛省関係者)
中国にとって、東シナ海に睨みをきかせられる済州島は、喉から手が出るほどほしい軍事拠点である。時を同じくして、かつて血と血で結ばれた兄弟といわれた北朝鮮も金正恩体制後、綻びを見せつつある。だからこそ、中国は韓国政府に対し、時に優しく、時に高圧的に協力を迫る。
「今年7月の中韓首脳会談では、在韓米軍が検討していた新型ミサイル防衛システムのTHAADの配備を認めないよう中国側が求めています。さらに今年6月、フィリピン外務省が韓国から哨戒艦の供与を受けることを発表するや中国が供与の中止を韓国に求めたと韓国メディアが報じた。さすがに韓国はいずれの要求も認めないようですが、親中政策を進める朴槿恵政権が中国の言いなりになるのではないかと懸念しています」(前出・防衛省関係者)
実際、韓国政府は中国政府との間にGSOMIA(軍事情報包括保護協定)や物品役務相互提供協定の締結に向けた協議を進めている。これらは、同盟国あるいは同盟国並みの国家とのみ結ぶものだ。現在、日本が物品役務相互提供協定を結んでいるのは、米国とオーストラリアしかない。
「韓国が軍事的に対中接近を進めていることを示す象徴的な動きでしょう。一方で、一昨年に日本ともGSOMIAを締結するはずだったのですが、締結の直前になって韓国側がドタキャンした。国民の理解が得られないというのが理由です。ではなぜ、本来は仮想敵国のはずの中国となら理解が得られるのかと愕然としました」(自衛隊幹部)
これまで日本と韓国は米国を軸に事実上の準同盟国という関係だった。政治レベルで日韓関係が悪化しても、対北朝鮮、対中国という共通の仮想敵国のためには日本の役割が大きいというのが韓国軍内の共通認識だったはずである。 だが、昨今の中韓両軍の蜜月は、本来は親日的だった韓国軍すら反日世論の影響を避け切れないことを示している。
「日本が韓国軍の事実上の支援を続けてきたことをどれほどの韓国国民が知っているのか。たとえば在韓米軍を支援するために朝鮮半島有事の際には、佐世保基地や岩国基地の米軍が出動することになりますが、その米軍の駐留費用を思いやり予算で賄ってきたのは日本政府です」(前出・防衛省関係者)
文■織田重明(ジャーナリスト)
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