01. 2014年9月02日 11:42:30
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OwnGoalかhttp://www.sankeibiz.jp/macro/news/140831/mcb1408310702003-n1.htm 日本とは逆?…奇策打って出る韓国経済 サムスン・現代自への影響懸念 2014.8.31 07:02 長期低迷への懸念が強まっている韓国経済。ついに韓国政府が景気浮揚に向けた奇策に打って出る。投資をしぶる大企業から資金を吐き出させるために課税しようとしているのだ。日本では、民主党政権時代の鳩山由紀夫首相が企業の内部留保課税をぶち上げたものの、経済界などから反発を招き立ち消えになった経緯がある。安倍晋三政権は、国際競争に勝ち抜くために法人税の軽減の検討に入ったばかりだが、韓国は逆に企業優遇から転換を図る。その背景にあるのは-。 失業率がじわりと悪化 韓国政府は7月下旬、総額41兆ウォン(約4兆1000億円)以上の経済対策をまとめた。描くシナリオは「内需主導」による景気浮揚だ。 8月14日に韓国銀行が1年3カ月ぶりの利下げに踏み切ったのも、内需が想定以上の不振だからだ。政策金利は0・25%引き下げ、2010年11月以来の低水準になる年2・25%にまで落とした。韓国では日本が経験したような「失われて20年」に陥る瀬戸際にあるとの焦りが強まっている。 聯合ニュースによると、7月の失業率は前年同月より0・3ポイント悪化の3・4%。日本の3・7%(6月季節調整値)に迫る。韓国の若年層(15〜29歳)の失業率は、0・6ポイント悪化し8・9%だった。 内部留保は1・9倍に 韓国経済の長期低迷をどう食い止めればいいか。そこで目を付けたのが、韓国経済の屋台骨を支える大企業がため込んだ資金だ。 共同通信によると、李明博前政権は2008年に法人税を25%から22%に軽減。シンクタンクの集計によると、10大企業グループの今年の3月の内部留保は09年の1・9倍の約516兆ウォンにのぼっている。この資金の一部でも内需に振り向けられれば、景気の底上げにつながると韓国政府はみているようだ。 2014年の税制改正案で発表された内部留保課税は、「企業所得還流税制」と呼ばれる。 仕組みはこうだ。 聯合ニュースによると、対象は資本金500ウォンを超える大企業で、約4000社が該当する見通しだ。投資や賃上げ、株式配当などが一定額に満たなかった場合、不足分に対して10%の税金がかけられる。 一方で、賃金を引き上げた企業には賃金増加分に対して、大企業なら5%の控除を認める「勤労所得増大税制」をあわせて実施して、賃上げを促す考えだ。 来年から3年間の施行する。 ただ企業所得還流税制については、財界や与党の一部が反発しているほか、野党は法人税率の引き上げを主張し、議論は難航が予想されるという。 日本では民主・共産党首脳会談で浮上 大企業への内部留保課税をめぐっては、日本では平成22年の民主党政権下で、浮上したことがあった。 当時の鳩山由紀夫首相が同年2月、日本共産党の志位和夫委員長と会談。志位氏から「過剰とされる大企業の内部留保に課税し、雇用拡大や中小企業に還元するべきだ」と促され、「検討してみましょう」と応じたのだ。 これには中小企業団体である日本商工会議所からも「(首相発言は)真意を測りかねるが、企業の国際競争力の観点から不適切だ」(岡村正会頭)と批判があがったほか、当時の平野博文官房長官が慎重な姿勢を示すなど政府内からも懸念が広がった。結局は、菅直人副総理が国会で「特に検討することは考えていない」と明言。内部留保課税について「首相からの検討の指示もないし、私自身考えいない」と述べ“騒動”を1週間ほどで収めた過去がある。 そんな日本では曰く付きの政策が、奇しくも韓国で実行されようとしているのだ。 サムスンなどへの影響の懸念 「企業所得還流税制」が韓国で実施されれば、どんな影響があるのか。聯合ニュースによると、高配当株の配当所得源泉徴収率の引き下げなどを含めた一連の税制改正で経済が活性化されることにより、政府は税収が5680億ウォン増える効果も見込んでいるという。 ただサムスン電子や現代自動車への影響は気になるところだ。稼ぎ頭のスマートフォン(高機能携帯電話)が不振で、経営に陰を落とすサムスン電子にさらに税負担が増えることになれば、投資家らの不安につながる。現代自動車も、欧米や日本メーカーとの環境技術をめぐる競争に備えた費用を残しておかねば、先行きはおぼつかない。 日本で内部留保課税が問題視されたのは、経済を牽引する企業の成長性を損なう恐れがあったからにほかならない。 家計に恩恵なくば、減税なし 韓国でも日本と同様の懸念があるはずだが、それでも政策転換に踏み出そうとする背景には、2008年からの法人税減税による韓国経済への効果が小さいとの評価があるようだ。 ハンギョレ新聞(電子版)は、5年間で割り引かれた企業の法人税の金額は28兆ウォンを超えたが、「積極的な投資や働き口創出につながらなかった」と指摘。崔●(=日の下に火)煥・経済副総理は報道機関経済部懇談会で「法人税を引き下げたが、企業は投資を増やさなかった。企業所得還流税制の導入は、企業の成果が家計に回らなければ、法人税引き下げの恩恵は与えないという意味」と話したという。 中央日報(電子版)によると、08年〜13年の平均実質賃金の上昇率は、0・3%で01〜07年の3・9%より低くなったという。 一方、日本は、国際的に高いとされる法人税の実効税率の引き下げに向けて動き出したばかり。産経新聞が主要企業121社を対象に行ったアンケートでは、8割近くが韓国と同様の20%台が「望ましい」と答えた。 大企業への優遇税制を見直す韓国と、法人税減税に乗り出す日本。経済成長を実現する手段は相反するような形だ。 韓国の教訓が示すのは、賃上げの重要さだ。今年の春闘では、安倍晋三首相が経済界に対して可能な限りの賃上げを企業に要請し、ベースアップ(ベア)を実現した企業が相次いだが、この流れが止まれば、法人税減税を実現させても、現在の韓国のように内部留保課税の議論を再び呼び起こしかねない。 |