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ニュースを見るソウル市民／（Ｃ）ＡＰ
韓国沈没船 変死した指名手配オーナーは口封じされたのか
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/152072
2014年7月24日 日刊ゲンダイ
自殺か、他殺か――。何やら怪しいにおいがプンプンする。韓国の客船「セウォル号」沈没事故で、捜査当局は２２日、６月に南西部の順天市で見つかった変死体のＤＮＡと指紋が、セウォル号の運航会社「清海鎮海運」のオーナーで、指名手配中の兪炳彦容疑者（７３）と一致したと発表した。
当局によると、変死体が見つかったのは６月１２日。順天市内の梅畑で、一部が白骨化した男性の腐敗遺体を住民が見つけて警察に通報。国立科学捜査研究院に身元確認のためのＤＮＡ鑑定を依頼したところ、今月２１日夜になって鑑定結果が当局に伝えられ、兪容疑者と確認されたという。
変死体は腐敗が進んでいたほかは、目立った外傷はなく、周辺には健康食品や焼酎、マッコリの空き瓶、つえなどが散乱していた。総資産約２４０億円といわれ、推定２万人の信徒を持つカルト教団の教祖の末路としてはあっけないが、この“変死”をめぐっては不可解な点が少なくない。
「警察当局は６月初めから延べ１万人近くの捜査員を導入し、行方を追っていました。遺体が見つかった場所は、兪容疑者の姿が最後に目撃された別荘から２・５キロほど。当然、これまでの捜査でも調べたはずなのに、なぜ、発見できなかったのか分かりません。目立った外傷はないとしているが、遺体の首と胴体は完全に分離されていた。遺体が見つかった直後、２回にわたって指紋採取に失敗しているのに、なぜ２２日になって成功したのか。１〜２日で分かるＤＮＡ鑑定に１カ月以上かかっているのもヘンです。兪容疑者が常に持ち歩いていた現金が入ったカバンもなくなっています」（現地取材記者）
韓国情勢に詳しい国際ジャーナリストの太刀川正樹氏はこう言う。
「兪容疑者は政界、官界と深く関わっていました。政界に巨額な献金もしていた。権力と結びついて会社を急成長させてきた人物です。もし、逮捕されて裁判で証言したら、警察や検察、政治家の名前が飛び出す可能性があった。こうした連中がチョボク（暴力団）の手を借りて“口封じ”のために殺害した可能性は否定できません。順天は全羅南道のなかでもヤクザ集団の拠点として有名な地域だけに、非常に気になります」
兪容疑者の変死で、政界、官界と船会社の癒着の構図はもちろん、事故原因の究明はままならなくなった。兪容疑者の巨額資産を被害者の賠償に充てる計画も不透明だ。被害者や遺族は浮かばれない。
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