02. 2014年7月22日 13:11:27
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民主党政権時代の混迷を思い出すhttp://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41290 アベノミクスを圧倒する戦略を出せ 韓国新経済副首相に強い期待、企業留保金が標的? 2014年07月22日(Tue) 玉置 直司 2014年7月16日、韓国の新しい経済副首相兼企画財政部長官に崔Q煥(チェ・ギョンファン=1955年生)氏が就任した。朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領に近い有力国会議員が経済政策の指揮官になったことに期待が強い。就任早々、サムスン電子などが積み上げてきた「大企業の内部留保金」の活用を打ち出し、大きな議論を呼んでいる(2014年6月23日「韓国の新経済副首相はウォン高容認派?」参照)。 「アベノミクスを圧倒する戦略を出せ」――。有力紙「毎日経済新聞」は、崔Q煥副首相の就任に合わせて、こんな題目の社説を掲載した。 韓国国内でアベノミクスへの評価が急上昇 なんとも刺激的な題目だが、その内容を見ても「アベノミクスを凌駕する常識を超えた成長戦略を打ち出さなければならない。無気力に陥った経済主体に野生的な衝動を持たせ、成長軌道に再び乗せなければならない」と勇ましい内容だ。 韓国メディアではこのところ、アベノミクスへの評価が一気に上昇している。「毎日経済新聞」などは相次いで日本経済の現状を肯定的に評価する大きな記事を経済している。 安倍晋三首相が「アベノミクス」とともに再び政権の座に着いた時には、懐疑的な見方が多かったが、いまや様変わりしたようだ。 その理由の1つが、内需の不振、ウォン高の進展による輸出採算性の悪化などでマクロ経済も企業業績もこのところ明るい材料に欠けていることがある。 朴槿恵政権が誕生してから1年半近く経過するが、経済政策については目立った成果が上がっていないことも、「アベノミクス」への関心が高まっている理由だ。 崔Q煥副首相が就任前に何度も「低成長、低物価、過度な経常収支の黒字という、日本の『失われた20年』の時に見られたような現象が韓国経済に出てきた」と述べたことから、「日本はどうやって克服しようとしているのか」という関心が再び高まっているという事情もある。 就任前から「アベノミクスを圧倒せよ」という課題を突きつけられた経済副首相も大変だ。 企業の内部留保に新税導入か それだけ崔Q煥副首相に対する期待大きいということだが、本人もその点は十分に意識しているようで、就任前後に積極的に経済政策について発言して注目を集めている。 その中で、産業界を震撼させたのが、7月16日の就任記者会見で出てきた発言だった。 「企業は過度に社内留保金を溜め込んでいる。この社内留保金が、市場に流れるように誘導する制度を導入したい」 崔Q煥副首相は、この席ではこれ以上踏み込んだ発言をしなかった。ただ、韓国メディアは、「社内留保金に対する新税導入の検討」について報じている。 韓国経済が抱える大きな問題は、家計負債の急増と経済格差の拡大だ。一部大企業に利益が集中し、中間層、庶民層の「借金」がどんどん増えている。賃金水準が高い正規職雇用は拡大しない。 どうやってこの問題を解決するか。崔Q煥副首相のみならず、もっとも最初に浮かぶのが、「利益を上げている企業が積極的に投資と雇用を拡大し、賃金を上げる」ということだろう。 大企業に投資と雇用を拡大させるための政策はいろいろあるが、崔Q煥副首相は、「内部留保金」の活用に目をつけたのだ。 企業が溜め込んでいるお金を使わせるということだ。賃上げや配当の積み増しなどを実施する企業には何らかのインセンティブを与え、何もしない企業には課税する。こういう考え方のようだ。 だが、こんなことが実際に可能なのか。崔Q煥副首相は「内部留保に対する課税は日米でも実施している」とも発言している。 この点を日本の公認会計士に聞いたらこういう答えが返ってきた。 「特定同族会社で資本金が1億円を超える企業に対しては、内部留保に対する課税の規定がある。ただ、さまざまな例外規定もあり、東証上場企業などはほとんどこの適用外だ」という。 「二重課税」「投資活動を萎縮」と産業界は猛反発 産業界はもちろん強く反発している。 韓国経営者総協会は「社内留保金は現金で保有しているわけではない。工場や土地、営業権などが大半で帳簿上の数字に過ぎない。企業がお金を溜め込んで投資をしていないというのは根拠がない」という。 全国経済人連合会も「すでに税金を払った後の社内剰余金である社内留保に対してまた課税をするというのは二重課税だ。企業の投資活動を萎縮させる」として反対意見書を政府に提出した。 だが、「大企業が保有している巨額の資金を経済活性化に使いたい」という声は決して少なくない。 「朝鮮日報」は崔Q煥副首相が就任した翌日の17日付の1面トップと3面全体を使って大企業の現金保有額が以下に拡大しているかについて詳細に報じた。 それによると、2014年第1四半期末(3月末)時点で、サムスン電子59兆4121億ウォン(1円=10ウォン)、現代自動車23兆8600億ウォンなどの現金を保有しているという。 サムスン電子や現代自動車はここ数年、海外での大規模投資を積極化させている。大企業に国内投資をもっと増やしてほしいと政府が考えるのは当然と言えば当然だ。 問題は、その方法が適当かどうかだろう。 また、韓国の大企業の配当性向が諸外国の企業に比較して低いという指摘もある。 ある証券界社幹部は、「内部留保に対する課税の是非はともかく、配当金を増やした企業に何らかのインセンティブを与えるということなら、投資家にとっては好材料になる」と指摘する。 一方で、事はそう簡単ではないとの指摘もある。 韓国紙デスクは言う。「大企業が抱え込んでいるお金を経済活性化に回したいというのは十分に理解できる。だが、課税となると企業活動を萎縮させかねない。配当増額と言うが、一般株主の持ち株比率はせいぜい20%で、増額分は機関投資家や外国人投資家に回り、韓国経済の活性化になるのか。賃上げで今でもかなり高い韓国の賃金水準がさらに上昇すれば、国内生産の競争力を低下させかねない・・・」 新経済副首相、「地図にもないような道」を進む決意 議論はまた袋小路に入りそうでもある。 「韓国経済が抱える難題を考えると、地図にもないような道を進んで行かざるを得ない」 7月18日、崔Q煥副首相は、経済関連閣僚などを集めた会議で、こう語った。 これまでの常識にとらわれない大胆な経済政策を作成、実行しようという強い意欲だ。強いリーダーシップで突破していくという意気込みだ。 すでに不動産対策のための規制緩和など具体策も打ち出している。 アベノミクスをどう圧倒するのか。豪腕経済副首相の動向に、注目が集まっている。 |