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慰安婦問題「濡れ衣」の元凶は誰か
河野談話は見直すのが自明の策
2014.06.25 JBpress 古森 義久
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41042
慰安婦についての河野談話を検証する有識者の新報告は、不当な非難によって日本が国際的にいかに傷つけられてきたかを改めて浮かび上がらせた。戦時の日本の官憲が組織的に女性たちを無理やりに連行するという「強制」はなかったことが裏づけられたからだ。
だが、すでに現代の日本はその「強制」の濡れ衣によって、さんざんに誹謗されてきた。日本国民の名誉を傷つけた“惨劇”とも言えるこんな事態を引き起こした元凶は誰なのか。
私はワシントン駐在の産経新聞記者として、いわゆる慰安婦問題の報道に長年あたってきた。特に2007年に米国連邦議会の下院が慰安婦問題での日本非難決議を採択した当時、日本のメディアの中ではおそらく最も多くを取材し、報道した記者だったと思う。その体験からすれば、今度の報告はようやく確認された「7年目の真実」だった。
露わになった河野談話の虚構部分
いわゆる慰安婦問題の誤認の基本構図を改めて説明しよう。
問題の核心は日本の軍、あるいは政府機関、つまり官憲が日本軍将兵の性的行動のために女性たちを強制的に連行したかどうか、である。
1993年の河野談話にはその種の強制連行があったという意味の記述があった。その談話の責任者の河野洋平内閣官房長官(当時)は「強制連行の事実があった」と述べた。ところがそんな日本官憲による強制連行はなかったのだ。
だが、強制連行はあったとする虚偽の主張から国際社会ではこの慰安婦たちを「日本軍による20万人の性的奴隷」と断じる日本非難が起きた。その象徴が前記の米国下院決議であり、96年の国連クマラスワミ報告だった。いずれも日本軍当局がその方針として、朝鮮半島や中国、インドネシアなどの若い女性を無理やりに連行して、売春を強制したという断定を前提としていた。そして河野談話がその歴史的事実を認めている、という主張だった。
慰安婦となった女性たちの多くが自分の意思に反して売春をしていたことは事実だろう。そうした女性たちの体験が悲惨だったことも間違いない。多くの悲劇や惨劇があったことだろう。そのこと自体に、現代の日本の政府や国民が遺憾の意を表し、場合によっては謝罪や賠償をすることも不自然ではない。そして現実に日本側はそうしてきた。
だが、日本の軍部や政府が組織的に罪もない女性たちを大量に強制連行していたかどうかは、別の次元の問題であり、実はその点こそがこの案件の心臓部なのだ。なぜならこの問題に関する国際的な非難は、いずれもこの「官憲による強制連行」に集中しているからだ。外国からの非難はみな日本軍による組織的、計画的な強制連行があったという前提に立っている。
今まで日本側は決してそれに正面から反論することはなかった。日本政府が反論や否定をしてこなかったのは、明らかに河野談話のためである。
しかし、その河野談話の虚構部分がいまや露わにされたのである。日本軍が慰安婦の強制徴用にも、単なる徴用にも、直接に関わった証拠はなにも存在しないという総括だった。だから「日本軍の性的奴隷」という主張は突き崩されたのである。
中韓側にも、米国側にも、「慰安婦の存在自体があってはならないことであり、多くの女性たちが悲惨な目に遭わされたのだから、官憲による強制連行の有無は問題ではない」という主張がある。だが、強制連行の有無の違いは決定的なのである。日本の官憲による強制連行がなければ、「日本軍の性的奴隷」という概念も表現も成り立たないからだ。
米国議員が日本を非難するポイントとは
慰安婦問題を巡る議論のカギとなる“強制性”について、私自身が聞いた重要な証言がある。2007年の米国下院での民主党議員の発言だ。日本非難の慰安婦決議案をマイク・ホンダ議員とともに推進したエニ・ファレオマバエンガ議員の言葉である。それは以下のような内容だった。
「この決議案は、日本帝国の軍隊によるセックス奴隷、つまり強制的売春の責任をいま日本政府が公式に認めて謝り、歴史的責任を受け入れることを求めている。日本の軍隊が5万から20万人の女性を朝鮮半島、中国、台湾、フィリピン、インドネシアから強制的に徴用し、将兵にセックスを提供させたことは歴史的な記録となっている。米国も人権侵害は犯してきたが、日本のように軍の政策として強制的に若い女性を性の奴隷にしたことはない」
以上の日本糾弾でも、焦点はあくまで「日本軍による女性の強制的徴用」「日本軍の政策として強制的に若い女性を性の奴隷に」したという断定なのである。もしも日本軍による政策としての強制的徴用がなければ、このファレオマバエンガ議員の非難は成り立たなくなる。
今回の報告書によれば、日本軍による強制連行は、河野談話前の調査でもまったく証拠がないことが確認されていたという。だから「日本軍の20万人の性的奴隷」というのは世紀の濡れ衣とも言えるのである。
日韓関係をこじらせた戦犯たち
では、こんな事態を引き起こした元凶はだれなのか。
第1の責任者としては談話を発表した河野洋平氏自身の罪がどう見ても明白である。
今回の報告書でも、河野氏が当時の記者会見で、強制連行の証拠はなにもなかったのに、「そういう(強制連行の)事実があったと(いう認識で)、結構です」と答えたことが改めて明記されていた。
第2には、こうした虚構に立脚した河野談話を煽りに煽った朝日新聞の責任も大きい。
朝日新聞はそもそも慰安婦問題の火付け役だった。しかも誤報に基づいていた。「日本軍が慰安所の設置や従軍慰安婦の募集を監督、統制していた」「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行し、慰安婦にしていた」といった朝日新聞の記述が誤っていたことは、読売新聞が「朝日新聞が事実関係を誤って報じた」とつい昨年も報道していた。
第3には、河野談話をまとめた事務方の外務省代表たちの責任も明白である。
河野談話の作成で最大の役割を果たした事務方は、当時の内閣外政審議室長として河野官房長官を補佐した谷野作太郎氏だった。谷野氏は中国専門のキャリア外務官僚である。河野談話の作成までの背景を問われて、「韓国政府と文言を詰め合わせたということは絶対になかった」と語っていた。今回の報告書の内容が事実だとすれば、谷野氏のこの発言は真っ赤な嘘ということになる。
安倍政権はいまのところ「河野談話は見直さない」と言明している。外交上の戦術としての当面の対応方法なのか。だが、こうした展開を見れば、次は河野談話自体を抹消することが日本政府として、また国民としても自明の策だと言えよう。
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