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中国が北朝鮮向け原油を止めていない理由
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140617-00040230-toyo-nb
東洋経済オンライン 2014/6/17 福田 恵介 :東洋経済 記者
「中国は北朝鮮向けの原油輸出を止めている」。このような観測がこの1、2カ月、韓国や日本を中心に流れている。2013年末に中国通で北朝鮮権力のナンバー2とされていた国防委員会副委員長の張成沢氏が処刑されたことに中国が怒りを示し、そのために北朝鮮経済にとっての命綱であるパイプラインによる原油供給を止めているとの説が出ていた。
ところが、韓国の北朝鮮専門メディア『デイリーNK』は韓国語版、英語版で「中国は地下送油管からひと月に数回、原油支援を続けている」ことを確認したと報道。結局、中国は北朝鮮への支援を止めていないと改めて指摘している。
『デイリーNK』は5月上旬、北朝鮮と国境を接する中国・丹東市にある北朝鮮向け送油管加圧施設を取材。国境が走る鴨緑江の川岸にある同施設の入り口で警備担当者から「今でも継続して原油を送っている」との発言を得たという。
■ 「パイプラインの停止はありえない」
北朝鮮経済に詳しい、環日本海経済研究所(新潟市)調査研究部の三村光弘部長は、「中朝間のパイプラインを止めるということは中朝関係の断絶を意味するので、止めることはあり得ない」と指摘。また、中朝間のパイプライン自体の現状から考えると老朽化などの問題で止めても数時間しか止められず、もし輸出が止まっているのであれば、技術面から見ても「パイプラインは使用不能になっているはず」と説明する。
【詳細画像または表】
韓国の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)北京貿易館(支社)は5月下旬、中国の税関統計を元に今年第1四半期(1〜3月)の中国から北朝鮮への原油輸出はゼロと発表している。
ただ、「丹東市から北朝鮮に伸びるパイプラインを通る原油は、輸出ではなく支援という性格を持つため、税関統計に示されないことがある」と韓国の北朝鮮専門家は指摘する。そのため、実際には送られていても貿易統計には「ゼロ」と出ることがありうる、というのだ。
一方、中国の複数の北朝鮮問題専門家は東洋経済の質問に対し「おそらく止めているだろう」と口をそろえるが、確証を聞くことができなかった。同時に、「現在はイランなどから海上輸送で原油を輸入することが増えている」との指摘もある。中国も、パイプライン以外の輸入ルートを確保していることがうかがえる。
■ 統計に表れない「支援」実績
中国の北朝鮮研究者は、「中朝間の仲が悪いと言っても、張成沢処刑から急に悪くなったわけではないことを知るべき」と言う。それは、1992年に中国が韓国と国交正常化をした際、北朝鮮側の意向に中国が耳を傾けなかったという遺恨が北朝鮮側に残っているため、という。
現在、北朝鮮の貿易総額のうち9割近くを中国との取引が占める。核開発問題やミサイル発射で国際的な経済制裁が強まる中、経済面では陸続きである中国との関係に頼るしかなかった。そのため、「中国との関係が深まったのはあくまでも現実的な結果。気にくわないと言っても、中国は朝鮮半島の非核化を大事に考えているのと同様に、北朝鮮の体制安定を望んでいる」(前出の研究者)というのが、本当のところのようだ。
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