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台湾立法院の議場を占拠した学生ら(中央通信社=共同)
【妄想暴走中国】中国にすり寄る馬政権に学生が猛反発 「自由」「民主」守る台湾の戦い
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140613/frn1406131140001-n1.htm
2014.06.13 夕刊フジ
★(4)
「あの日から、台湾は息を吹き返した。雰囲気がガラリと変わった」
5月下旬、私が滞在していた台北では、こういった期待の声や安堵(あんど)の表情に幾つも出会った。
「あの日」とは、後に「ひまわり学生運動」(太陽花学運)と呼ばれる台湾の大学生たちが、立法院(国会)の議場を占拠した3月18日のことだ。
台湾政府と中国政府が秘密裏に交渉を進めてきた「サービス貿易協定」の批准に向けた3月17日の審議で、与党・国民党の立法委員(議員)が「時間切れ」を理由に審議を打ち切り、強行採決に移ることを宣言した。これに反発した学生らが、毅然と立ち上がった。そして、3月30日、主催者発表約50万人(警察発表は11万人超)が総統府前での抗議デモに参加し、クライマックスを迎えた。
学生運動のリーダーは「自由と民主主義を守る戦いでもある」と国内外のメディアに訴えていたが、身近に反面教師が存在する。お隣の香港だ。中国返還後の表看板は「一国二制度」だが、自由も民主も人権も大きく後退した。本土の人民がなだれ込み、中国マネーによる不動産バブルが起き、香港庶民が生活苦に陥っている惨状を、台湾住民は熟知している。
「ひまわり学生運動のデモに参加した香港人は、ぼくを含めて大勢いたはず」
台湾の芸術系大学で学ぶ香港人の男子学生はこう語り、「卒業後に香港へ帰るつもりはない。両親も帰省を望んでいない」と続けた。近年、台湾へ移住する香港人は少なくないらしい。
馬英九政権は若年層の支持率が極端に低い。不支持の理由について、台湾大学の女子学生は「政治家は国民を大切にし、特に弱者を救済することに力を注ぐべきなのに、馬政権は大企業にだけ目を向けている」と述べ、輔仁大学の男子学生は「偽りの社会主義国、超格差社会をつくった中国にすり寄っている」と顔をしかめる。
中国は●(=登におおざと)小平の遺訓、「以経促統」(経済で統一を促す)策を台湾において進めてきた。習近平体制となり、統一工作を次ステージの「政治的対話」へ昇格させようと必死だ。和平協定の締結、その先に中台統一を目指すシナリオだ。
これに対し、台湾の学生たちは「われわれは台湾人であり、独裁政権の中国とは絶対に一緒になどならない」と強気だ。
一方、中高年の現役世代は「中国への依存度が高まれば、台湾は最終的に中国に編入される」との危機感を抱きつつも、「統一の流れを、いずれは回避できないのでは…」と、どこか弱腰でいる。
「すんでの所で、学生たちが果敢に立ち上がってくれた」と顔をほころばす熟年世代。中国共産党にとっての天敵、「自由」「民主」を死守するための台湾の戦いは、火ぶたを切ったばかりだ。
■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。主な著書は「中国崩壊カウントダウン」(明成社)、「豹変した中国人がアメリカをボロボロにした」「だから中国は日本の農地を買いにやって来る」(産経新聞出版)など。
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