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「日本は別格、全天候型の友」 インド議会外務省諮問委員
産経新聞 6月7日
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140607-00000095-san-asia&pos=3
【ニューデリー=岩田智雄】インドのモディ新政権の与党・インド人民党(BJP)の上院議員で、議会の外務省諮問委員を務めるタルン・ビジャイ氏は3日、ニューデリーで産経新聞のインタビューに応じた。ビジャイ氏は、インド代表団の一人として出席したシンガポールでの「アジア安全保障会議」で、「インドは日米や中国、韓国と緊密で戦略的な関係にあるが、日本は全天候型の友人だと訴えた」と述べ、新政権が対日関係を極めて重視していると強調した。
ビジャイ氏は、「われわれはこうした国々と等距離外交を行っているが、日本は別の部類に入っている」と表明し、「日印両国の信頼レベルは最高だ。200%の信頼関係にある。日印は過去(第二次大戦中)に問題があったのも事実だが、歴史問題を抱えていない」と強調した。
特に、安倍晋三首相がかつてインド国会で行った「2つの海の交わり」と題した演説で「太平洋とインド洋は、今や自由の海、繁栄の海として、1つのダイナミックな結合をもたらしている」と両国関係の重要性を訴え、今回の安保会議でも同様の考えを示したことを指摘し、安倍氏を「過去に例をみない素晴らしい」首相だと述べた。
一方で、「インドは中国との良いパートナーシップも欲している」とし、「南シナ海や東シナ海の問題は2国間で解決してほしい。われわれは公式にどちらかに加担することはない」と語った。
昨年、中国人民解放軍がカシミール地方の中印実効支配線を越えてインド側に駐留し、両国関係が緊張したことについては、「モディ首相は強力な指導者だ。こうしたことはもう起きないと確信している」と中国側を牽制(けんせい)した。
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インドが大きく変わる 新政権の外交政策は?
2014年06月05日 岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3909
インドのジャスワント・シン元財務相、元外務相、元国防相が、インドの新政権は、非同盟政策を放棄し、米国とのパートナーシップを強化しなければならない、Project Syndicateのサイトに4月30日付で掲載された論説で述べています。
すなわち、インドの新政権の外交政策の詳細はまだ明らかになっていないが、インドが非同盟運動を超克しなければならないという急務は明白である。インドの外交政策は、常に親露姿勢をとっていた1980年代から、自動操縦を続けているかのようである。
現実には、非同盟政策は、インドを紛争から遠ざけるのに、決して効果的ではなかった。中国、パキスタンとの間では、1962年、1965年、1971年に戦争が起こった。1971年に、バングラデシュにおけるパキスタンによるジェノサイドに起因する難民危機を克服するのを助けたのは、非同盟政策ではなく、ソ連の支援である。同様に、1999年に、インドは、カルギル周辺でのパキスタンの攻撃を終わらせるために、米国の介入を頼りにした。
旧態依然たる非同盟政策は、中国とパキスタンが連合してインドに対抗しようとしている時にあって、インドが直面している外交的課題を解決することができようか。
インドの平和に対する、最も切迫した脅威は、国境にある。とりわけ、中国とのヒマラヤ地方の国境である。この地域での不安定は、インドの領土を侵食し、民族的および宗教的紛争の種をまくことを目的とするテロリストの流入を促進する。この問題は、アフガン、中国、パキスタンを含む、地域全体に影響を及ぼす。
テロリストが国際的対応を引き出したように、脅威を与える国の存在は、多国間防衛を構築させる。まず、インドは、米国とイランの関係改善を歓迎し、後押ししなければならない。両国はともにインドの友好国であり、三国は多くの戦略的利害を共有しているので、インド政府には、外交的和解の促進を手助けする機会がある。
一方、インド太平洋地域の平和を支持する、例えば、印、米、日、韓、豪、越間の、戦略的同盟は、パートナー国が中国のような第三国との経済的関係を構築する能力を阻害することなく、静かに、穏やかに結成し得る。インドは、中国に席巻されないよう、東南アジアとの関係も、精力的に新しくして行かなければならない。
同時に、インドは、中国、ロシア、米国との間で戦略的理解を発展させなければならない。インド、ロシア、中国は、アフガンへの影響力を同時に争っているので、こうした相互理解には、もちろん、紆余曲折があろう。しかし、アフガンが再び内戦に陥ったりテロの輸出基地になるのを防ぐことが、パキスタンを含む全ての国の利益に適うことであることを考えれば、印露中間の何らかの協定が可能であり、必要でもある。
インドの次期政権は、米国とのパートナーシップも促進しなければならない。最近まで、米印二国間関係は、環太平洋の側面を無視しがちであったが、インドは、西側をパキスタンに阻まれ、貿易および戦略的パートナーを求めて、ますます東方に目を向けるようになっている。インドは、米国との間で、中央アジアについての共通の見方を作り出すことが出来よう。
米国のアフガンからの撤退は、短期的には、地域全体にとって挫折となろう。しかし、米国は、撤兵するといえども、イスラム主義者のテロが米国に与える脅威を無視し得ない。それゆえ、米国は、インドのような国に、グローバルな対テロ政策の成功の保障をますます依存することになろう。しかし、米印関係の価値は、対テロ戦争にとどまるものではない。米印は、軍事的、産業的、科学的技術の移転のためのチャンネルを作る必要もある。
米印協力を前進させる一切の動きは、気遣いと尊敬が不可欠であり、明確で、実務的で、達成可能な目標を持たなければならない。米印両政府が、必要な時間とエネルギーを互いに注げば、両国は、南アジアにおいて、そしてそれを越えて、安定化に重要な役割を果たすことのできる、世界の二大民主国家間のパートナーシップを構築し得る、と論じています。
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今回のインドの総選挙で勝利したインド人民党(BJP)が、前回、1990年代後半から2000年代初めにかけて政権の座にあった時、財務、外交、防衛などの主要閣僚を歴任したジャスワント・シンが、新政権は、伝統的な非同盟政策と決別して、米、日、豪などとの連帯を強化すべきである、と論じている論説です。
今度の選挙は、単なる政権交代ではなく、インドが大きく変わる選挙であるように思われます。選挙を通じて、従来の、ネルー以来の国民会議派の上流階級インテリが主導する、非同盟、フェビアン社会主義から脱却する傾向を濃くしているようです。
と言っても、独立以来半世紀以上の伝統は強く、今でも同盟という言葉には反発があり、また、経済開発よりも分配を重んじる考え方は一部では牢固として残り、社会主義以来の労働組合の力は強く、自由な経済活動、特に外国からの投資誘致の障害になっているのも現実でしょう。しかし、それが徐々に変わりつつあり、今回の選挙が一つの転機となると期待されているようです。
この論説では、ジャスワント・シンは、インドの外交について、インド太平洋地域の平和を支持する、印、米、日、韓、豪、ベトナム間で、各国と中国との間での経済関係を損なうことなく、戦略的同盟を結成し得る、と主張しています。
これが、モディ新政府の外交となるのならば、第一次安倍内閣、麻生内閣(自由と繁栄の弧)、現在の安倍内閣と、継続性のある日本外交と方向性を同じくすることになります。また、中国との経済関係は損なわず、安全保障面で事実上の同盟を形成するということならば、今回のアジア歴訪で表明されたオバマ外交とも平仄が合います。
また、現実的にそうなることを期待できるかもしれません。安倍内閣成立以来の、インドにおける論調、あるいは欧米におけるインド系評論家の論調を見ていると、日本に好意的でないものは無いと言っても過言でない状況です。このインドとの友好協力関係は今後も育てて行かなければなりません。
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