http://www.asyura2.com/14/asia15/msg/467.html
Tweet |
(朝鮮日報日本語版) 韓国軍:国外永住権者の入隊が10倍に、そのワケは
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140607-00000759-chosun-kr
朝鮮日報日本語版 6月7日(土)11時11分配信
20代後半と遅咲きの訓練兵は、赤いキムチが乗ったトレーの前で悩んでいた。韓国軍の軍服に袖を通したものの、米国で生まれ育った彼は「キムチが食べられない男」だったのだ。訓練所に入ってから数日が過ぎたが、キムチには一切手を付けなかった。しかし、その日はそうも言っていられなかった。本格的な訓練が始まると腹が減り、あれこれ選んでいる場合ではなかったのだ。彼はキムチだけではなく、一度も食べたことのないおかずまで全て平らげた。
陸軍首都軍団司令部人事処人事行政課に勤務するキム・サンフン上等兵(29)は、韓国国籍だけではなく米国の市民権も保持する二重国籍者だ。あえて韓国軍に入隊する必要もなかった。しかし、米国のコーネル大経済学部を卒業し、セント・ジョーンズ大学ロースクール(法科大学院)に入学、1年生だった昨年4月に韓国陸軍への入隊を志願した。軍隊での生活も1年が過ぎると、あらゆることに慣れてきた。
軍隊では「堅苦しい」言葉遣いしか許されないが、今ではそれもすっかり慣れてしまった。「私は米国で生まれたので、キムチに接する機会がありませんでした。しかし、今ではキムチもよく食べるし、偏食もなくなりました。『軍隊に行けば行ったで適応できる』という言葉をよく聞いていましたが、今では何でもよく食べます」
キム・サンフン上等兵は今年3月、上等兵の階級章を手にした。「数日前、休暇を取って実家に帰ってきましたが、両親に上等兵になったことを報告すると、『お前も男になったな』と褒められました。誇らしく思うとともに 責任を感じるようになりました」
■国外永住権者など志願入隊兵、10年で10倍に
国外の市民権者や永住権者などが韓国軍入りを志願し入隊する、いわゆる「永住権兵士」が年々増えている。兵務庁によると、志願し入隊した国外の永住権者は2004年には38人にすぎなかった。しかし、2007年に127人、10年に191人と増え続け、13年には328人となった。10年間で10倍近く増えたのだ。兵務庁は今年初めにこれら兵士の軍隊生活での日常を盛り込んだ手記集『大韓人が大韓に、2014』を発刊した。
入隊を志願する国外永住権者などの2004年からの累積人数は、11年に1000人を突破し、今年2月末現在では1794人となっている。こうした状況が続けば、年内にも2000人を突破するものとみられている。陸軍関係者は「今月19日にも忠南論山陸軍訓練所に30人の国外永住権者らが追加で入所する予定」と明らかにした。
韓国の兵役法上、国外永住権者は満37歳になる年の12月まで入隊を延期できる。この年齢を超えると、兵役が免除される。故意に体を傷つけたり賄賂を使ったりして兵役を逃れようとする国民もいる中で、国外永住権者らはなぜ自ら入隊を希望するのか。
■韓国の経済的レベル向上も影響
在外同胞財団のチョ・ギュヒョン理事長は、外国の永住権を保持した兵士が増える理由について「ここ10年間で急激に高まった韓国の経済的、文化的レベルが国外の永住権者などに祖国に対する誇りやプライドを感じさせるようになったため」と分析する。「今では軍隊での服務が時間の無駄ではなく、『人気のある国』韓国について学ぶ貴重な機会になった」というのだ。
高麗大学社会学科のイ・ミョンジン教授は「現実的な部分が大きく作用したようだ。昔は米国などその他の先進国に住むことが韓国に住むよりも質の高い生活を保障する側面があったが、2009年のグローバル金融危機などを通じて状況が変わった」と指摘した。イ教授は「一方、その間に海外の国々が韓国を見る目が変わって今では簡単に手放すことができない国になった。国外永住権者らにとって軍隊での服務は、韓国で活動するための免許証のようなもの」と説明した。
また、政府の努力も一役買っている。兵務庁は、国外永住権者などの入隊を奨励するために、2004年から「永住権者などの入隊希望者出願制度」を運営している。入隊を希望する場合は、徴兵検査の日程や場所、入隊日を本人が直接選択できるようにしている。また軍隊の服務期間は1年で、その間に1、2回は定期休暇を利用して永住権のある国に行くことが許されており、その際は往復航空券も支給される。1年に1回は該当国を訪問しなければ永住権が消滅してしまうが、これを防ぐためだ。
兵務庁のパク・チャンミョン庁長は「国外永住権者などが大韓民国の国民としてのプライドを感じるのはもちろんのこと、兵役義務の履行が個人の人生にとって誇りある経歴となるように、法的にも制度的にもさらに補完し、発展させていく計画」と明らかにした。
■私の青春に「忠誠」を誓うようになった理由
キム・サンフン上等兵は「今後、韓国企業で働きたくて入隊した」と話した。キム上等兵は「韓国で就職や何らかの活動をする場合は、韓国国籍を保持していることが望ましく思えた。軍の服務を終えれば、二重国籍を維持できると聞いている」と話した。実際に昨年、兵務庁が軍服務中の永住権保持者115人を対象にアンケート調査を行った結果、志願入隊した動機の1位は「韓国での安定した生活と自分自身の発展」(75人〈65.2%〉)であることが分かった。
兵務庁の関係者は「昔と違い、最近では『韓国で就職して成功するためには軍隊に必ず行かなければならない』という認識が強い。軍隊生活を通じて習得した組職文化への適応力と業務に対する責任感などが就職戦争の中で強みとして作用するため」と説明した。昨年、就職ポータルサイト「サラミン」が272社の人事担当者を対象にアンケート調査を行った際も「面接などの採用過程で兵役履行者を肯定的に評価したことがある」という回答が87.1%に上った。
韓国人としての義務感を入隊理由に挙げたケースもある。海兵隊1160期で入隊、西海(黄海)最北端のペンニョン島で軍隊生活を送り、今年1月に転役したファン・ミニクさん(25)がこうしたケースだ。カナダの永住権を持つファンさんは「2010年に哨戒艦『天安』爆沈事件で戦死したほとんどの海軍兵士、延坪島砲撃事件で戦死したソ・ジョンウ下士官とムン・グァンウク一等兵は、皆私と同年代だった。祖国を守るために命をささげて下さった方々のおかげで、多くの恩恵と権利を得ることができたが、私もそれ相応の義務を負うべきだと思った」と明らかにした。昨年兵務庁が実施したアンケート調査でも、志願入隊の動機2位は「兵役履行への義務感」(23.5%)だった。
長年の海外生活で揺れる韓国人としてのアイデンティティーを確立するために、軍への服務を希望したケースもある。2012年9月に入隊した国軍体育部隊勤務支援隊所属のイ・ハンジン兵長(23)は「韓国語も上手で韓国文化にも慣れている『本当の韓国人』になりたくて入隊した」と話した。米国のロサンゼルスで生まれ、英国のサウサンプトンで幼年時代を過ごしたイ兵長は、米サンディエゴのカリフォルニア大学応用数学科2年生のときに入隊を決めた。イ兵長は「卒業が2年遅れるなど時間を無駄にするようでためらったが、『軍隊で得られることははるかに多い』という父の忠告を聞き、悩んだ揚げ句、入隊することになった」と話した。
■軍生活で得たもの
国外永住権者らが軍隊生活で得たものは大きかった。イ・ハンジン兵長は、学んだものは「忍耐力」と答えた。イ兵長は「訓練所時代に化学兵器訓練などは本当に大変で、やりたくない訓練が多かった。学校に通っていた時は、したくなければしなくてもいいことが多かったが、軍隊では自分勝手に諦めることができなかった」と話した。また「どこでもきちんと学ぼうと思えば苦労せざるを得ないのと同じで、軍隊でも苦しい訓練を通じて忍耐することを学んだ」と話した。言語の問題も同様だった。イ兵長は入隊した当初、韓国語が下手で、言葉をほとんど交わせなかった。しかし今は違う。イ兵長は「英語と違って尊敬語がある韓国語を、それも階級社会で使用する際にどこでどう使うべきか判断できなかったが、今ではむしろ面白く感じる」と笑みを浮かべた。
ファン・ミニクさんは「軍服務で経験し学んだことが、今後生きていく中で大きな力になると信じている」と話した。キム・サンフン上等兵も「今後は何でもうまくやっていけるという自信が付いた。喫煙所の建物を建てたり、塗装したりする作業も生まれて初めてだったため、意欲が湧かなかったが、実際にやってみると難しくないことが分かった」と話した。来月2日に兵役を終えるイ・ハンジン兵長も「入隊前には韓国で就職する気がなかったが、軍隊生活を通じて『私には韓国人と一緒にいる方が向いている』ということに気付き、考えが変わった。兵役終了後に大学を卒業したら、韓国に戻ってきて職場を探すつもりだが、その際は軍隊での経験が大きく役に立つと思う」と語った。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。