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朴槿恵大統領(ロイター)
【視線】「韓国に来てね」と言われても… 日本人観光客が突出して減少
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140602/frn1406021545007-n1.htm
2014.06.02 夕刊フジ
今年の春以降、ソウル市内でタクシーに乗ると「日本人の客が少なくなった」と運転手からぼやかれるようになった。観光スポットの一つである南大門市場で、“お得意さま”である日本人観光客に韓国のりや高麗人参を売る店の経営者からも同じ話を聞いた。
“韓流ブーム”などで2009年に年間305万人を超えた訪韓日本人は、12年には351万人余と過去最高を記録した。
しかし、日本政府観光局によると、昨年韓国を訪問した日本人は274万7750人で前年より21・9%も減った。日本人50万人以上が訪問した国の中では韓国の落ち込みがもっともひどく、中国が18・2%減でこれに次いでいる。韓国銀行によれば、今年の第1四半期(1〜3月)の日本人観光客も昨年同期より20・8%減少。ゴールデンウイーク期間も同様で、韓国文化体育観光省の発表では4月26日〜5月6日の日本人観光客は10万1924人で昨年より14・5%少なかった。訪韓した観光客全体では0・6%減少の中、日本の数字は目立っており、韓国の「対日旅行収支」は赤字だ。
同時期に訪韓した日本の閣僚や政府関係者らは、韓日議員連盟の議員から「日本人観光客が減っている。どうにかならないか」と相談されたという。実際、韓国の財界人からも同様の懸念を耳にしたことがある。
訪韓日本人の減少について韓国では、円安傾向の影響とする見方が多い。また「08年秋のリーマン・ショックで円高が始まってからの数年間、訪韓する日本人観光客が飛び抜けて多かっただけ」という見方もある。しかし、円安の問題だけなのだろうか。今年1〜4月に海外へ行った日本人は昨年より4・4%減少したというが、なぜ韓国に来る日本人が突出して減っているかが問題なのだ。
さきほども書いたように、12年は過去最高の日本人観光客を記録した年だったが、実はこの年の8月に李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)が、大統領として初めて竹島(島根県隠岐の島町)を訪問、上陸し、日本人の国民感情を刺激した。翌13年に就任した朴槿恵(パク・クネ)大統領も、外国訪問などでの各国首脳との会談で、直接、間接的に歴史認識問題をめぐって日本批判を繰り返してきた。こうした執拗(しつよう)かつ露骨な姿勢は当然、われわれメディアを通して日本に伝えられる。とくに大統領の語調や表情、態度がどんなふうであるかは映像で如実に伝えられる。
3月下旬にオランダ・ハーグで行われた日米韓首脳会談が記憶に新しい。会談の冒頭、安倍晋三首相が朴大統領にたどたどしいながらも、わざわざ韓国語であいさつした。ところが、朴大統領は反応せず、安倍首相と視線も合わさなかった。この態度は、日本に甘い顔を見せない大統領として、韓国国内向けとしてはよかったのかもしれない。だが、この様子は世界に伝えられ、多くの日本人も見ていた。
訪韓する日本人が激減した原因が、円安なのか日韓関係の悪化なのかは断定できない。ただ、ここ2年足らずの韓国大統領の反日発言を振り返ると、日韓の関係悪化が確実に影響していると思わざるを得ない。
「日本人の観光客が減った」と嘆く韓国の財界人や観光関係者ら現場の声に対し、筆者は「日本で韓国製品の不買運動があるわけでもない。大統領の態度を見て、韓国に来たいと思う日本人がどれだけいるでしょうか」と答えている。
日本人の韓国観の変化に気付いている韓国人は少なくないが、表向きは問題視されていないようだ。おおっぴらに問題視したくないのかもしれない。(ソウル支局編集委員・名村隆寛)
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