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朴槿恵大統領(AP)
【日韓の深層】「粉飾史観」に突っ走る韓国 日本人も笑えない封建主義懐古
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140530/frn1405301140001-n1.htm
2014.05.30 夕刊フジ
★(3)
韓国の朴槿惠(パク・クネ)大統領の「反日」について、「父親の朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領も反日だったのではないか」という人がいる。確かに、彼は強烈な愛国者だった。その意味で日本を見返してやりたいという意志が強固だった。しかし、朴槿惠氏の反日とは明らかに違う。
朴正煕氏の独立心は、中国にも向けられていた。「漢字を使っていることは恥だ」としてハングル化を進めたのは象徴的だ。
彼は、韓国の過去の歴史、特に李氏朝鮮について激しく否定的だった。「わが歴史は退嬰(たいえい=尻込みして、引きこもること)と粗雑と沈滞の連鎖史」「李氏朝鮮時代は四色党争、事大主義、両班(ヤンバン=官吏貴族)の無事主義な生活態度によって子孫まで悪影響を及ぼした民族的犯罪史」「民族の中興を期するなら悪の倉庫のようなわが歴史は燃やすべし」といったような言葉を吐いている。
ところが、現在の韓国は、カラフルで明るい韓流歴史ドラマに見られるような「粉飾史観」へ突っ走っている。朴槿惠氏の歴史観もその路線に沿ったものだ。
日本人でも、苦労して成功した人はそのことを誇りにするが、その子供たちは「本来は名家の出身だったが落ちぶれて…」とか言いたがることが多い。朝鮮半島系の人々の身の上話でも、不自然に没落両班や元名家が多い。朴正煕氏は貧しい農民から立身出世したことを誇りにしたが、娘はそれを恥としているようでもある。
日本統治のおかげで、高い教育を受け、貧困から抜け出した人も多いはずだが、現在の韓国ではそういう話はほとんど聞かないから不思議だ。日本による併合や統治を全体として否定的に見たとしても、教育を普及させ、身分社会を打破したことは、以前の韓国や北朝鮮の人々は認めてくれていた。子供の世代になると忘れてしまったようだ。
ただし、この韓国における封建主義への郷愁を日本人は笑えない。
貧しくひどい身分社会だった江戸時代への肯定的な評価と、明治維新への否定的な見方の蔓延(まんえん)にみられる、儒教社会再評価は日本にもある。徳川幕府や李氏朝鮮の封建社会や鎖国を肯定的に評価すれば、明治日本の急速な近代化は否定されるべきものになるのだ。
中国でも儒家の始祖、孔子が再評価され、指導者たちは親類縁者を取り立てたり、地位にふさわしい生活を誇ることが良いことのように思いつつある。沖縄でも琉球王国への郷愁が強まっているが、すべて根は同じだ。日本人自身が「東洋の不幸の種」である封建主義への誤った郷愁を否定しない限り、この問題に活路はない。
■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に「本当は偉くない? 世界の歴史人物」(ソフトバンク新書)、「日本史が面白くなる『地名』の秘密」(洋泉社)など多数。
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