タイ軍、情報統制を強化　200超のサイトを遮断［日経新聞］
2014/5/29 0:28

　【バンコク＝京塚環】軍事クーデターでタイの全権を掌握した「国家平和秩序評議会（ＮＣＰＯ）」が、情報統制を一段と強化している。すでに200超のウェブサイトを遮断、「フェイスブック」などソーシャルメディアの検閲も強化しているもようだ。ＮＣＰＯが不適切と判断した内容の投稿者には召喚も辞さない構え。クーデター批判の抑え込みと治安維持に神経をとがらせる。

　地元メディアによると、情報通信技術省は28日までに、王室を侮辱する発言・行為や、国内対立をあおる内容を掲載したとして、ＮＣＰＯの命令により計219のウェブサイトを遮断した。同省は今後、投稿内容の検閲などの体制を強化する。

　同日午後４時半（日本時間同６時半）ごろにはフェイスブックの閲覧・投稿が約30分間できなくなった。同省筋は「軍の命令で一時的に遮断した」としたが、軍報道官は「技術的なトラブル。軍は命じていない」とこれを否定。今後の統制強化に向けた軍の試験的な遮断だったとの見方も出ている。

　ＮＣＰＯのプラユット議長（陸軍司令官）は26日の記者会見で「報道機関やソーシャルメディアが対立をあおった場合、軍事裁判所への召喚も辞さない」と強調した。バンコクでは28日も反クーデター集会が開かれており、軍はネット上での情報交換や呼びかけが集会拡大につながると警戒感を強めている。

　軍はクーデター後、英国放送協会（ＢＢＣ）や米ＣＮＮ、ＮＨＫなど海外の報道14番組の放送を停止中。政治色が濃い衛星テレビ局などの放送差し止めも継続している。

　クーデター後、軍への出頭を命じられた対象者は28日までに250人を超え、うち約200人が応じた。「赤シャツ隊」で知られるタクシン派の政治団体、反独裁民主統一戦線（ＵＤＤ）の幹部10人は同日、軍施設から解放されたが、幹部の一人は「今後政治活動に一切関わらないことが条件」と明かした。

　一方、軍の出頭命令を拒み、27日のバンコクでの記者会見直後に兵士に連行されたチャトロン前教育相は、通常の刑事裁判所ではなく軍事裁判所で審理を受けることが決まった。最大２年の禁錮刑となる可能性がある。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2803E_Y4A520C1FF1000/?n_cid=TPRN0005

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