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タイ、クーデター宣言 陸軍司令官「行政権限掌握した」
バンコク=翁長忠雄
2014年5月22日 asahi.com
政治的な混乱が続いていたタイで22日夕、国軍幹部がクーデターを決行したと発表した。20日に戒厳令を発
令して以降、軍主導で対立する政治勢力間の対話を促していたが、不調に終わりクーデターに踏み切った模様だ。タイには約3900社の日系企業が進出しており、影響が懸念される。
タイでの軍事クーデターはタクシン元首相が失脚した2006年9月以来。
クーデターの声明はプラユット陸軍司令官がテレビに出演して発表。「バンコクや郊外で起きている暴力のために無実の市民が死亡し、傷ついている。この状況が続けば国の安全と国民の生命と財産に深刻な影響を及ぼす恐れがある」と状況を説明したうえで「陸海空軍、国家警察からなる国家平和秩序評議会が午後4時半をもって行政権限を掌握した」と宣言した。
国王に関する条項を除き現行の憲法を一時停止し、夜間の外出禁止令も発令した。時間帯は午後10時から午前5時。出歩いている人に対しては兵士や警官は必要な措置を取ることができると警告した。
一方、国民は落ち着いて普段通りの生活をし、政府機関の職員は通常通りの業務に戻ってほしいとも述べた。大使、領事、国際機関、外国人については安全を保証し、諸外国との関係もこれまでと同様であるとした。
タクシン元首相派と反タクシン派の長引く政治対立を受け、軍は20日に全土に戒厳令を発令。21日に双方の指導者や政府・与野党関係者らをバンコクの陸軍施設に集め、昨年11月の大規模デモ以来初めてとなる代表者会議を開き、対話を促していた。
22日にも関係者を集めたが、妥協点を見つけられず、軍はクーデターに踏み切った。集められた与野党関係者らは軟禁されている模様だ。
陸軍部隊は政府を支持するタクシン元首相派がバンコク郊外で開いていた集会の排除を始めた。数十発の銃声が聞こえたとの情報もある。負傷者が出たかどうかは不明だ。(バンコク=翁長忠雄)
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〈タイの政治危機〉 昨年11月、2006年の軍事クーデターで追放されたタクシン元首相の実妹インラック首相(当時)が率いる政権が、タクシン氏の帰国に道を開く恩赦法案を下院で可決しようとした。これに反政府派が反発し、その前後からデモを始めた。政権側は下院を解散し、今年2月に総選挙を実施しようとしたが、反政府側が妨害。さらに憲法裁判所が5月、過去の政府高官人事をめぐってインラック氏を首相から失職させると、タクシン派もデモ集会を始め、混迷が深まっていた。
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戒厳令下のタイ、1930年代以降19回目のクーデターになるか
By JAMES HOOKWAY
2014 年 5 月 21 日 ウォールストリートジャーナル
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303923004579574664215946736?mod=trending_now_2
【バンコク】タイ陸軍は1930年代に絶対君主制に終止符を打って以来、18回クーデターを行った。20日の戒厳令の発令が19回目のクーデターになるのかどうかは、プラユット陸軍司令官(60)の次の一手にかかっている。
同司令官は20日朝、国営テレビを通じて、軍は直ちに法と秩序の維持の責任を負うと表明した。バンコク周辺のテレビ局にはこのメッセージを確実に放送させるために部隊が派遣され、一方でタクシン元首相派と反タクシン派の暴力的対立を鎮静化させるために、各派を支持する衛星テレビやケーブル放送網を遮断した。
バンコク市内では、武装した兵士が主要地域をパトロールし、市の西部郊外に集まっている赤シャツ派(タクシン派)に目を光らせている。
プラユット司令官は、戒厳令の発令はクーデターではないと強調した。しかし、誰がタイを支配しているかについて疑念の余地はほとんどない。同国政府は戒厳令について事前通告を受けておらず、同司令官が戒厳令の発令で準拠した100年前の布告によって、同司令官は実質的に文民指導者の上に立ち、広範な権力を持つことになる。
今年中に退任する予定である同司令官が次にどのような措置を取るかが問題だ。
タイの同盟国である米国は20日、戒厳令は短期間に終わらせるべきだとの見解を表明した。関係筋によると、タイ軍の指導者らはタクシン首相が追放された2006年のクーデター時には米国の反応にうろたえたという。タクシン氏は自主亡命地から今でもタイに影響力を及ぼしており、その妹のインラック氏は5月初めに憲法裁判所によって失職させられるまで首相を務めていた。
プラユット陸軍司令官 Agence France-Presse/Getty Images
一部の政治アナリストは、軍は今回の介入を限定的なものにするだろうと楽観している。以前の民主党政権に参加していたチュラロンコン大学(バンコク)のパニタン・ワッタナヤゴルン政治学教授は、軍は戒厳令の布告によってタクシン派と反タクシン派を交渉のテーブルに着けさせ、選挙前に各方面が受け入れ可能な新首相を就任させることができるかもしれないと述べた。
10年10月に陸軍司令官に就任した際にタカ派とされたプラユット氏はタイ憲法は尊重されなければならず、政治的対立は法律に従って解決すべきだと繰り返し主張して多くの人を驚かせた。就任に先立つ同年5月に数万人が参加したバンコク市内でのデモの際、治安維持に力を発揮したことの印象が強かったからだ。この時100人近い死者が出たが、その多くはタクシン派の人たちだった。
同氏はここ数カ月、両派の対立が激しさを増す中で、テレビに何度も出演して、軍のクーデターはないと述べていた。しかし、過去数週間に緊張は高まり、過去何カ月かの間に二十数人に上った死者が今後さらに増えるとの恐れが強まっていた。
憲法裁判所がインラック首相を失職させたあと、反タクシン派は残りの閣僚を排除し、上院に対して暫定首相を選ぶよう圧力をかけていた。これに対してタクシン派はバンコク西部の郊外で独自のデモを行っている。その指導者の1人ジャツポルン・プロンパン氏は20日、タイを長く支配してきた上流階級や公務員から民主主義を守る決意を表明した。
パニタン教授は「問題は赤シャツ派が暫定首相を選ぶための交渉に応じるかどうかだ」とし、「軍は両派が話し合うとの見通しの下で、いちかばちかの賭けに出ている。その実現のためには軍は信頼できる勢力とみなされなければならない。赤シャツ派が交渉に応じなければ、軍はもっと強く出て、その結果タイの問題は大きくなる可能性がある」と話した。
他の観測筋は、タイは既に19回目のクーデターに向かっているとみている。京都大学東南アジア研究所のチャチャワンポンパン・バビン氏は「私は個人的には戒厳令の発令がクーデターの前触れだと考えている」と述べた。その上で、「クーデターかそうでないかはともかく、本当に問題なのは軍がコントロールしているということだ。私は首相が何らかの形ですぐに指名されるかもしれないと見ている」と述べた。
そうなると、プラユット司令官は、新政権への国際的支持をどう得るかなど、06年にその前任者が経験したような多くの問題に直面する公算が大だ。その上、タクシン氏とその妹に繰り返し票を投じてきた赤シャツ派と数百万の国民をどうなだめるのかという新しい、より困難な任務もあるのだ。
[訂正]第1段落の「8年前にタクシン首相を追放してその「絶対君主制」に終止符を打って以来」を、「1930年代に絶対君主制に終止符を打って以来」に訂正します。これに伴い見出しも訂正します。
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